- sodaame140
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赤い流れ星を観測しだしたのはいつ頃からだったろうか。 はじめは死にゆく星の涙かと思った。しかしどうも違うらしい。それは縦横無尽に空を駆けた。星々の間を縫うように、気まぐれに、二つの光が並んで暗闇を泳ぐのだ。 それが今、戸惑った様子で立ち止まっていた。 #りぐと星座と空飛ぶ猫 5
2012-03-17 00:25:45「よだか君、僕です、黒猫です。そんなに泣いてどうかしたのですか」 黒猫が大きな声で呼びかけると、よだかはそうっと扉を開けて、ほんのちょっとだけ顔を出しました。 ずいぶんひどく泣いたと見えて、眼は真っ赤に腫れていました。そうしてぶるぶる震えているのです。 #りぐと星座と空飛ぶ猫 6
2012-03-17 00:45:59世間で全く騒ぎになっていないところを見ると、今のところあの流れ星に気づいているのは自分だけらしい。彼は考えたあげく、その不思議な流れ星に名前をつけた。 彼は誰にもその話をしなかった。そうして自分だけの秘密にしてしまいたかった。 りぐ。彼は小さく呟いた。 #りぐと星座と空飛ぶ猫 7
2012-03-17 00:57:40「あなたは私をなじろうとはしないのですか?」 「とんでもない!」黒猫は驚いて言いました。 「あなたは悪いことをなんにもしないのに、どうしてなじろうと言うのです?」 それを聞いてよだかはまたおいおい泣きました。それから扉を開けて黒猫を招き入れました。 #りぐと星座と空飛ぶ猫 8
2012-03-17 00:58:07~つづく~
わたくし乃亜によるりぐと星座と空飛ぶ猫ですが、全く無計画にここまで書いてきて、三話にしてやっと天恵がおりてきました。方向性はないけど核心が生まれたので方向はあとからついてきます。えぇ、もうこれで最後までいけますです。 よく見ると変なこと言ってるね?
2012-03-17 00:06:53~隠れキャラ参戦!どどん!~
りぐは星を見るのが好きでした。歯を磨いて寝る準備を終えたなら、寝床に入る前に決まって夜空を見上げに外に出るのが習慣でした。今日も今日とてその習慣にそって星を見に表にでます。「今夜は特に澄んだ空だ。きっといつもより星が綺麗に見えるに違いない」 #りぐと星座と空飛ぶ猫 1
2012-03-17 04:17:26今日も今日とて黒猫は食料を求め夜の街を歩く。しかし今日に限って食べ物は中々見つからず、やっとの思いで見つけた頃には月は西へと大きく移動してしまっていた。「こんばんは。黒猫さん」不意に背後から声が掛けられた。しまった。食べる事に夢中で気配に気付かなかったのだ。#りぐと星座と空飛ぶ猫
2012-05-02 23:57:31前回からものっそい間があいてるので、もう忘れたよ!とか言われそうですが最後まで書き終えたらトゥギャるつもりなのでご安心を。...最後まで書き終えられたね。
2012-05-02 23:59:29~emiru編~
ひとりぼっちの少年は悲しみに暮れ泣いている。りぐは声をかけずに寄り添った。暖かく柔らかな感触に少年は顔を上げた。りぐはその少年をよく知っていた、だってそれはいつかの自分だったから。#りぐと星座と空飛ぶ猫 zero1
2012-03-15 22:27:11ふと気付くと、いつもの夜空に浮かんでいた。りぐは悲しくなった、いつかの自分が何故悲しんでいるのか、ちっとも思い出せないのだもの。 #りぐと星座と空飛ぶ猫 zero2
2012-03-15 22:34:54ふと気付くと、りぐは春の星座を漂っていた。あの少年の事を考え初めてから、ずいぶん時間が経ってしまったようだ。下を見下ろすと桜が満開に咲き誇っている、その光景をみた時、りぐは曖昧な記憶の一部を思い出した。それは、切なく悲しく、暖かなものだった。#りぐと星座と空飛ぶ猫 zero3
2012-03-31 21:21:34りぐがあの少年だった頃大切にしていた少女がいた、少女は病にかかり外に出ることすら儘ならなかった。そんな少女を少年は励まし、部屋から星座や、季節の移り変わりを一緒にみながら過ごしたのだ。穏やかな時間が流れ、やがて少女との別れが訪れる。#りぐと星座と空飛ぶ猫 zero4
2012-03-31 21:26:29それ以上の事を思い出そうとすると、胸が苦しくなり思い出すことが出来ない。思い出してはいけない記憶なのか?気にはなっていたが、それ以上考えるのはやめることにした。今何故自分がこうしてるのかも分からないのに、思い出せる訳がない。 #りぐと星座と空飛ぶ猫 zero5
2012-03-31 21:30:10そう、自分はとても曖昧な者。存在しているのか、意識だけここにあるのかすら自分で分からない。ただ、ここにある胸の痛みと、今、頬をつたう涙は現実であって欲しいと願っていた。季節はめぐる、きっと思い出せるはず。りぐは桜ふぶきを目にぼんやり考えた。#りぐと星座と空飛ぶ猫 zero6
2012-03-31 21:40:24ねぇどうしたの?りぐ!と、肩を叩かれ思わずふぇ?と言ってしまった。馬鹿に熱い…そこでりぐは思い出した。今自分がキャンプに来ている事を…現実を思い出したとたん、先程までの事をすっかり忘れてしまった。#りぐと星座と空飛ぶ猫 zero7
2012-04-04 20:58:25何か、もどかしく、切ない思いが胸にあったはずなのに…一体どうしてしまったのだろう。幼馴染みの女の子がりぐを呼ぶ。今行くよ!と返事を返し、夜空を見上げたら夏の星座がまたたいていた。そんな一瞬の隙に意識が空へかけ上がり、もうあの子の声も聴こえない。#りぐと星座と空飛ぶ猫 zero8
2012-04-04 20:59:47あれは蛍火だったのか、それとも流れ星?ぼうっとした光を最後に見た気がした。涼しい風が頬を撫でる。今見ている光景は、一面のすすき野原、空には大きくまんまるな満月が輝いている。今度は楽しげな感情が感じられる。一体僕は何者なんだろう?#りぐと星座と空飛ぶ猫 zero9
2012-04-04 21:03:25さっきいた場所が現実なのか?りぐは混乱した。…暗転…一面の雪原、雪がちらつき寒い。りぐはやわらかな毛をぶるっと震わせて思った。そうか、これは誰かの記憶なんだ。何かの拍子に入り込んでしまったのだろう。一体誰の?#りぐと星座と空飛ぶ猫 zero10
2012-04-04 21:05:42その時、りぐの目の前に小さな黒猫が現れた。君は誰?ぼくはりぐ。黒猫は言った、僕は君の心だよ…もう何もかも思い出す時が来たのさ。と、黒猫は悲しそうに笑った。その瞬間、すべて思い出した。今まで観た光景は、自分が観たかった光景だった。#りぐと星座と空飛ぶ猫 zero11
2012-04-05 21:00:19そうか、僕はもういない者なんだね。あの少女は自分の姉であり、病を患っていたのは僕だった。姉と一緒にみた素晴らしい四季を最期にみたいと望んだのは僕だ。そう、僕の名前はりぐではなく… #りぐと星座と空飛ぶ猫 zero12
2012-04-05 21:04:00そしてまた黒猫のりぐは、夜の星座をだたよっている。君が居なくても季節はめぐる。そう言うとりぐは、一粒涙を落とした。ひときわ明るい北極星だけが、 微笑むようにまたたいた気がした。~終~#りぐと星座と空飛ぶ猫 zero13
2012-04-05 21:06:12~あとがき~