主流派経済学の不寛容 - 一例

himaginaryの日記:主流派経済学者の不寛容(http://d.hatena.ne.jp/himaginary/20100604/The_Macroeconomic_Reversal)に関連して
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池尾和人 @kazikeo

(1)再整理すると、インフレ率と失業率の間のトレード・オフは短期的にはみられるものの、長期的には存在しない(自然失業率仮説)。それゆえ、2%とかのインフレ目標を掲げたからと言って、直ちにFRBの使命の1つである「(持続可能な)雇用の最大化」に反するものではない。

2010-05-27 12:05:43
池尾和人 @kazikeo

(2)本来の意味でのインフレーション・ターゲティング(IT)は、金融政策の運営枠組みであり、インフレ目標を掲げることはその1つの要素に過ぎない。逆に、中長期的な物価安定の数量的な目安がなくてもいいというような中央銀行関係者は、(日本を含めて)世界のどこにもいない。

2010-05-27 12:05:59
池尾和人 @kazikeo

(3)標準的なニュー・ケインジアン(NK)モデルにおいては、ITとは、要するにテーラー・ルールに従って金融政策を運営するということであり、それが最適な金融政策ルールだといえる。ただし、これはモデルにおいて価格の粘着性しか摩擦要因を考慮していないことに専らよる。

2010-05-27 18:20:29
池尾和人 @kazikeo

(4)今次金融危機以前のグレート・モデレーション期には、標準的なNKモデルの結論に基づいて、物価の安定を図れば経済全体の安定も図れるという理解がコンセンサスとなっていた。バーナンキがかつてITを推奨していたのも、こうしたコンセンサスを共有していたからだとみられる。

2010-05-27 12:06:36
池尾和人 @kazikeo

(終)危機以後は、金融市場その他に関する摩擦要因も重要だという理解になり、そうした要因を考慮に入れるとITが最適金融政策ルールであるとは一般的にいえないという認識に変化してきている。にもかかわらず、大平穏期の頃のコンセンサスをいまだに世界標準だとかいっている人もいる。

2010-05-27 12:06:50