- zyosehuinu
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エミリーは11歳の女の子。パパの都合で日本へ越してきたのですが、日本の何かが合わなかったのか。元々体が弱かったのが、病気がちで満足に小学校へ通えていない状態でした。段々塞ぎこんでいくエミリーを元気づけようとしたパパはある日、エミリーを自室へ呼び、パソコンの画面を見せたのです。
2012-03-19 17:05:45「ねぇパパぁ。本当に、この【ついったあ】ってのをやったら私にも友達できる?」 「勿論だよエミリー。これはやっているだけで当意即妙の受け答えが出来るセンスが生まれ、友達もドンドン増える魔法のサイトさ! ママと運命的な直け…出逢いをした時もこれにお世話になったものさ」
2012-03-19 17:06:23エミリーは無邪気に喜びます。これで私にもお友達が出来る、さみしくない! パパにキャプチャしてもらったお気に入りのアニメ画像をアイコンにして、エミリーは意気揚々とTwitterを始めました。 ママの影響で身につけたブラインドタッチもノリノリです。
2012-03-19 17:06:43初めはなかなかフォロワーが増えず、望む交流もほとんど生まれずパパをひっぱたいて話が違うと怒ったエミリーでしたが、アカウントのPOST数25万のパパはプロツイッタラー。的確なアドバイスを与えて、エミリーのTwitterライフを徐々に楽しい物へ変えていきます。
2012-03-19 17:07:39お友達と呼べるほど親しくリプライを飛ばしあう相手も何人か出来、満足していたエミリーでしたがある日、心無い相手(フォロー外)からこんなリプライが飛んできます。 「おっさん今日もなりきりお疲れさん」 「おっさんそろそろキモいから自重しね?」こっちはDM。
2012-03-19 17:09:23今日びそんなことを、しかも直接言ってくる相手なんて逆に珍しかったのですがそんなことは知らないエミリー。一体どういうことだろう。パパに相談しようかとも思いましたが、ママからエミリーをTwitter漬けなんかにして!と怒られていたのを思い出しぐっと堪えます。
2012-03-19 17:10:05しかしそこは小学生のメンタル。すぐに呟きへ何かあったのかと匂わせるようなことを垂れ流すようになってしまいます。そんな時、届く一通のDM。 「最近エミリーちゃん元気ないね。何か、俺で相談に乗れないかな?」
2012-03-19 17:10:47顔の見えない繋がりでも、私を心配してくれる人がいる!嬉しくて舞い上がってしまったエミリーは、DMをくれた相手に最近おっさん扱いされることが増えてきたことを相談します。親身になって話を聞いてくれるフォロワー。相手を信頼し、エミリーは徐々に個人情報も漏らすようになっていきます。
2012-03-19 17:11:54またしばらく経ったある日のこと。相手から「エミリーちゃんと会えないかな。お家の近くまで俺遊びに行くよ」との誘いがDMで届きます。迷うエミリー。許可を取らない外出は両親から止められています。体調はずっと小康状態で良くなった訳ではないのです。――エミリーを待ち受ける運命とは。続く
2012-03-19 17:13:07彼の名前は✕✕。どこにでも居るしがないフリーター(28)で、勤労意欲は乏しく、趣味も友達も侘しい普遍的な男でしたが、唯一熱意を持って取り組んでいることがありました。Twitter――それも、SNSを使って多少判断力の足りない女性を探し、直結を望むという所謂「出会い厨」行為でした。
2012-06-03 21:34:30といっても未だ第一号すら引っかからず、段々彼に出会い厨行為は旨いと吹き込んだ碌でもない友人のことを疑いだしていた頃、一人の女性アカウントを見つけます。それが「エミリー」過去彼が女性だと断定に至った垢は皆スレた調子でしたが、その中でエミリーは眩しすぎる程の純朴さで彼を惹きつけました
2012-06-03 21:35:04彼は逸る気持ちを精一杯押し込め、聖人君子の如き振る舞いを続けることによってエミリーの信用を地道に積み上げていきます。交流するうちにわかったことですが、どうやらエミリーは本当に年端もいかない少女の様子。手を出したら完全に犯罪ですが、かかった魚は大きい、と彼は仮面の下で舌なめずり。
2012-06-03 21:35:37そしてXday。ついにオフで会う約束を取り付けた彼は、喜び勇んで待ち合わせ場所に向かうのですが、30分、1時間、待てど暮らせど現れない。当然連絡も全く取れません。さては担がれたかと頭を沸騰させ、彼は帰宅してからTwitterで報復の為の情報収集を始めるのですが――どうもおかしい。
2012-06-03 21:36:36エミリーのアカウントが消えていました。それだけならまだしも、彼とエミリーはまぁまぁの数、年単位程度の付き合いな共通フォロワーが居たのですが、その誰に探りを入れても「エミリーって誰?」のような答えが返ってくるのです。グルになって担がれているのかと疑うも、少し規模が大きすぎるような。
2012-06-03 21:37:43Xdayに至るまで、エミリーのホーム監視やフォローフォロワー全チェック等彼は当たり前にやっていた為、共通フォロワー以外にも手を伸ばして探りを入れてみるのですが、やはりエミリーなんて垢は知らないと口を揃えて返ってくる。おかしい、どういうことだ、段々と彼は恐怖めいた寒気を覚えます。
2012-06-03 21:38:38確かに居た筈だ。居たんだ。俺とエミリーは長いこと交流があったじゃないか。この際出会い厨の目的はさておくにしても、自分以外が誰も覚えていないような失踪なんて有り得ない。何かに追い立てられるように、彼はエミリーの情報を探しまわりますが、ナシのつぶて。全く、なんにも、見つかりません
2012-06-03 21:39:29元々の執着と、転化した怒りからの恐怖。まさかとは思いつつも、一部のトンデモ推論や超常現象が答えだという期待と不安。様々ないまぜに迷走を続けた彼は、ある時ふと憑き物が落ちたように天啓を得ます。新しくTwitterアカウントを作る――IDは勿論、画像も、かつてのエミリーと全く同じに。
2012-06-03 21:40:37