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整備兵氏(@seibihei)による「戦術の基礎(D. Wyly海兵隊大佐)」("Maneuver Warfare Handbook"付録)翻訳・第3課―2

目次:http://togetter.com/li/269377 たとえ攻撃だろうと防御だろうと遭遇戦であろうとも、「主努力」=「重心」を明確にせねばならない。 決心せよ。さもなくば敗北するであろう。
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名無し整備兵 @seibihei

指揮官が、彼の左翼が弱点であるように見せかけた布陣を考えてみよう。彼は、敵をそこ(左翼)に引き込もうとしている。敵には二つの選択肢がある。左翼の「弱点」を攻撃するか、右翼の強点を攻撃するか、だ。

2012-03-22 00:47:46
名無し整備兵 @seibihei

どちらを選んでも、敵は困難に直面する。我がしっかり準備した強点にまともに当たるなら、損害を覚悟しなければならない。もし敵が「弱点」を突いてくるなら、我の罠にはまることになる。

2012-03-22 00:49:30
名無し整備兵 @seibihei

もちろん、敵が強点を攻撃してきた場合、我は流動的な戦術を利用して、主努力を変更して、別の罠にはめてやることもできるだろう。

2012-03-22 00:50:56
名無し整備兵 @seibihei

敵が我が左翼(弱点)を攻撃してきた場合を考えてみよう。敵は、我にその側面を暴露することになる。そうなれば、我は予備隊を主努力として、その側面に対して投入するだろう。

2012-03-22 00:53:22
名無し整備兵 @seibihei

もちろん、予備を投入するのには他のやり方もあるだろう。しかし、この例は決定的な一撃を与えるための予備隊の投入方法の一つを示すものである。大規模な予備隊は、攻撃戦闘であれ防御戦闘であれ常に必要なものであり、投入された場合には、主努力そのものか、或いはそれを支援するものになる。

2012-03-22 00:57:51
名無し整備兵 @seibihei

ドイツ軍の例をここでは用いたが、主努力は、他の国の軍隊の戦い方と全く関係ないわけではない。ただし、明確さにおいては劣っている。

2012-03-22 01:05:13
名無し整備兵 @seibihei

我々(米軍)自身の戦いの原則、1920年代のイギリスから輸入したこれを見ても、「主努力」に似た考え方は書かれているのだ。

2012-03-22 01:06:29
名無し整備兵 @seibihei

「目標」の原則を考えてみよう。主努力とは、決定的な成果を得るために考察するものであり、つまり目標を選定するときに考えているものなのである。ここに相互の関係がある。

2012-03-22 01:10:38
名無し整備兵 @seibihei

「集中」の原則も考えてみよう。ドイツ軍は10コの装甲師団のうち7コを主努力として狭い正面に集中し、残りの3コを右翼の広い正面に分散している。主努力として、敵の弱点に戦力を集中したのだ。

2012-03-22 01:15:54
名無し整備兵 @seibihei

「集中」は米軍の戦いの原則の一つであり、また南軍のネイサン・ベッドフォード・フォレスト将軍が「多くの兵士とともに、早く至れ」と語ったときにも、この原則のようなものを考えていたのだろう。

2012-03-22 01:25:33
名無し整備兵 @seibihei

「経済」の原則も、主努力と関係がある。使用できる資源には限りがあるのだから、どうすべきかを決定して、最も効果的に資源を配分し、敵の弱点を突かなければならない。即ち、資源を節約しなければならない。敵の強点に叩き付けて浪費するようなことがあってはならない。

2012-03-22 01:32:35
名無し整備兵 @seibihei

「簡明」の原則も、主努力の概念と関連させるべきだ。10個の別なことを行うより、一つのことに集中すべきである。他の多くの努力が同時並行的に行われることがあるだろうが、それらは一つの主努力を成功させるために指向されるのである。

2012-03-22 01:34:56
名無し整備兵 @seibihei

主努力から何が得られるのか?方向を見出すことができる。流動性が得られる。速度が得られる。侵攻するドイツ軍に対してポーランド軍が行ったように、全戦場に努力を分散してしまうようなことが防げる。ポーランド軍は800マイルにもわたる前線全てを守ろうとしたのだ。

2012-03-22 01:38:53
名無し整備兵 @seibihei

彼らには主努力が無く、あらゆる場所を強化しようとして、全ての強化に失敗した。この「全ての陣地を強化」しようとするのは、素人指揮官が計画するときの共通の失敗である。決心を避けようとするという病気である。

2012-03-22 01:41:52
名無し整備兵 @seibihei

主努力を決定することで、明確な決心を下すことができる。そうすることで、隷下指揮官が指示を求めに来る必要を少なくすることができる。彼らが指揮官の主努力を理解しているなら、通信が遮断されても作戦を継続できるし、新たな命令を待たなくていいので速いテンポでの作戦が継続できる。

2012-03-22 01:45:00
名無し整備兵 @seibihei

常に主努力を明確にすることで、「表面と間隙」概念や「任務戦術」概念により部隊が戦場で混乱するのでは、という疑念に応酬することができる。主努力を知っているなら、部隊は混乱することはない。戦場の航空写真では、部隊が混乱しているように見えるかもしれない。しかし、それは正しくない。

2012-03-22 01:49:24
名無し整備兵 @seibihei

明確な形になっていないが故に、敵を混乱させ、良い成果を挙げられる。部隊は指揮官の企図と任務、そして主努力を知っており、それらに基づいて判断できるのだ。

2012-03-22 01:51:52
名無し整備兵 @seibihei

君たちは、主努力を選択するような訓練を受けることになるだろう。その主努力を迅速に決定し、迅速に変更するような訓練を行わなければならない。「今現在の主努力は何か」という問いに、常に簡潔かつ明確に答えられるようにならなければならない。

2012-03-22 01:55:16
名無し整備兵 @seibihei

この質問への答えは短くなければならない。任務を与える時の命令は長いかもしれない。その命令には「~のために」という言葉が含まれているだろう。それが「何故この部隊が主努力になるのか」という説明になる。

2012-03-22 01:56:49
名無し整備兵 @seibihei

しかし、主努力は簡明でなければならない。「我が主努力は第1小隊である」「我が主努力は第3大隊である」というように。そのように指定した部隊とその部隊の任務が、君の努力の焦点となる。

2012-03-22 01:58:19
名無し整備兵 @seibihei

指揮官が決心したならば、必ずやらなければならないことがある。これは、道義的にも必要なことだ。それは、責任を認め、それをとることである。もし戦闘が思うようにいかなかったら?指揮官は、部下を責めてはならない。自分を責めるしかない。

2012-03-22 02:00:30
名無し整備兵 @seibihei

何を為すべきであり、そのためには何が主努力になるかを決定したのは指揮官本人である。このため、主努力を決定するためには、勇気と道義心が必要となる。弱い指揮官や素人が失敗するのは、このためである。

2012-03-22 02:02:06
名無し整備兵 @seibihei

実際には、弱い指揮官は主努力を選ぶことを意識して避けようとする。性格が弱い指揮官にとっては、戦闘が思うようにいかなかったときに誰かの失敗のせいにできるので、主努力を選ばないことは、かえって都合がいいのだ。

2012-03-22 02:05:32
名無し整備兵 @seibihei

自らの責任を明らかにし、主努力を選んでしまうと、そうはいかない。この意味で、主努力とは、道義に関わることでもある。

2012-03-22 02:05:53
名無し整備兵 @seibihei

主努力とは、戦闘において実施されることの全ての基礎にある。今まで述べてきた概念の中で、最も重要なものを一つ選べと聞かれたならば、私は主努力「Schwerpunkt」だと答えるだろう。

2012-03-22 02:07:09