ぷよ魔ついのべ

140字以内SSS。主にシェアル寄り。
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ソラマメ @soramame_sss

群がっていた大量のフナムシが、もう殆どを喰い尽くしている。僕はそれらを両手で掬い、蠢く肢体を頬張った。彼の肉と魔力で膨れたフナムシの弾ける感触、歯触りの、なんと美味なことか。頭だけになってしまった彼がこちらを睨みつけている。身体中に染みていく君を感じながら、恍惚の表情で見返した。

2014-07-08 14:13:01
ソラマメ @soramame_sss

天井を眺めていると、黒い点がじわり、と浮き出てくる。じわり、じわり。無数の点は大きな染みとなり、壁へ、床へと広がっていく。足、腕、胴体、頭、瞼へ。最後に目を閉じ全てが黒に染まった時、全ては闇の中にあった。 あの声を聞いた日から、運命が転じたのだ。もう、目を開けることは出来ない。

2014-07-04 21:34:17
ソラマメ @soramame_sss

膝に絡む水草を掻き分け、半分水に沈んだ遺跡を進む。パンを気に入ってかずっと後を着いてきた小さなフナが、突如行く手を阻むようにまとわりつく。無視して進むと、フナは先へ飛び出し突然現れた巨大魚に食われてしまった。お節介な。大きな腹を掻っ捌いて出したフナは、少し微笑んだように見えた。

2014-07-04 15:33:44
ソラマメ @soramame_sss

遠くからでも正確な軌道を描く魔導弾は、小さな少女の威力とは思えない。考える間も無く、繰り出された拳の風圧が頬を裂き、闇を纏った切っ先が喉に突き付けられる。「分かった雇う!力試しは合格だ!」思わず声を上げると、動きを止めた3人は不敵に笑った。厄介な奴らを護衛に選んだかもしれん…。

2014-06-24 23:25:33
ソラマメ @soramame_sss

しくじった。最後に毒爪で脚を掻き切られるとは。痺れが消えるまで、岩肌で囲まれた窪みに這い息を潜める。夜の帳が下り、外套が凍り始めた頃、丸いものが殺気も無く近づいて来た。毛玉の様な体は心地良く、首に巻き付けられた尻尾は身体を温めた。そいつはただ身を寄せ、夜明けと共に去っていった。

2014-06-22 22:35:31
ソラマメ @soramame_sss

離れた街に居ても、別々の遺跡の中でも、例え未知の地だとしても。或いは髪留めに、或いは額に手を当てると、相手の存在を感じることが出来る。互いの魔力を帯びた布は、共に生きることへの誓いの証。余りにも脆く頼り無い布切れ。そのくらいで良い。いずれ朽ちてゆく命の間、結んだ契りを守り抜く。

2014-06-21 09:14:10
ソラマメ @soramame_sss

〈寝ぼけてたらしっぽが動くのにつられて頭を無意識に揺らしそうよね〉

2014-06-10 17:11:17
ソラマメ @soramame_sss

ぼくの趣味は、ご主人様の写真を密かにこれくしょんすることです。戦う姿が多いのですが、この間は寝ぼけていたのかりゅんくすせんぱいのしっぽが動くのにつられて頭が揺れていて、思わず連写してしまいました。お得意様のゲイさんに高く買いとっていただいたので、今日の夕食はごうかになりそうです。

2014-06-10 17:10:08
ソラマメ @soramame_sss

一度きりしか身を投じなかった箱庭。作りかけで投げ出したミニチュア。その中でも一際古びた台座が、時間の流れに耐え切れずにまた崩れかけている。私が作った世界。私が最も愛した者たち。記憶の欠片を拾い集め、継ぎ接ぎだらけの台座の欠落を埋める。この時が、一番幸せな時間なのかもしれない。

2014-06-10 13:00:13
ソラマメ @soramame_sss

夢を見た。深く、身体の芯が冷えるような闇の空間に、無数の人影が浮かび上がる。透ける髪、白磁の肌、白や漆黒の服。少しずつ髪型や服の形が違うものの、並んでいる顔は皆恐ろしく整っている。まるでエノキみたい、自分の声が一斉にこだまする。自分の後ろには、少しずつ違う自分が無数に並んでいた。

2014-06-10 11:17:52
ソラマメ @soramame_sss

ここから頂いたお題は括弧内で表示します。

2014-07-08 22:56:17
ソラマメ @soramame_sss

鬱々とした地上を離れ、空へ向かって舞い上がる。厚い雲を抜けると、眼下に壮大な雲海が広がった。この場所でなら、唯一素直に会話が出来る。想い人をいつから月に重ねていたか。どんなに進んでも辿り着けないことは分かっているけれど。時々雲間から落ちてくる流れ星は、彼女が蹴った星屑だという。

2014-05-22 22:15:33
ソラマメ @soramame_sss

たまにはお酒以外のものを。ルルーから貰った「珈琲」というものを淹れてみる。苦い、というので牛乳を注いでみると彼はそれをいたく気に入ったようで、しまいには勝負の言い合いにまで使ってくる。ミルク抜きだなんて言われたら黙っていられない!なってあげようじゃないか、君好みのカフェ・オーレ。

2014-05-14 22:03:44
ソラマメ @soramame_sss

深淵の黒。静寂の闇の中でこそ己の存在を、進むべき道を、確かに感じる。生きるべき世界。その筈だった。気がつけば目で追う鮮やかな碧のアーマー。繰り返す敗北に倒れたまま動けず仰ぐ空。そよぐ風にふと、忘れていた心地良さを思い出し一人戸惑う。侵食。夜と朝の間に染まる群青を見て、そう呟いた。

2014-03-23 22:00:56
ソラマメ @soramame_sss

苦い。歪な形の方は眉間に皺が寄るほど変な味がする。このカレー風味などというものは、最早チョコの形をしたカレーだ。いつものように「お前が欲しい」と言うと渡された大量のチョコ。「これがキミにあげられるボクの全部」と言ったその顔を窺う前に、身を翻された。最後の一つは、ただただ甘かった。

2014-02-15 16:06:23
ソラマメ @soramame_sss

目の前で射られた無数の弓矢が、漆黒の外套を貫く。囚われた僕の代わりに彼は犠牲になったのだ。胸を引き裂くような痛みが思考を分断した。僕の、僕の半身。制御されていた感情も魔力も、全てのバランスが崩れ落ちる。怒りのまま叫んだ悲鳴は、咆哮となった。彼を受け容れない世界など、壊れてしまえ!

2014-01-17 22:07:33
ソラマメ @soramame_sss

夢、希望、そして未来が詰まっているという宝箱。ありふれた話だが、どうやらある遺跡に眠るものは本物らしい。真直な情報屋から在処を聞いた旅人は、ついにその宝箱を発見した。蓋を開けた瞬間、たちまち旅人は喰われてしまった。ーその宝箱は、夢、希望、そして未来を抱いた者たちで満たされているー

2014-01-14 22:22:20
ソラマメ @soramame_sss

無限の回廊を映し出す迷宮。永遠に終わらないかのような広さに辟易し、座り込む。滑らかで冷たい鏡の表面を撫でていると、どこからか声がした。「誰」「僕は、君だ」意味を図り兼ねて声の主を探ろうとした時、鏡に当てた手に指が絡み付く。「そして、君は、僕だ」目の前に映る僕が、確かに笑っていた。

2014-01-13 19:06:06
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