アルゴリズム化されたランダム性と視聴覚表現 (タイポグラフィを主として)

4/2(日)にTDC DAY 2012で講演されたMr. Porter (Underware) と Mondra (Martin Borst)という2つの書体をきっかけにして始まった議論のまとめです。
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aisasaki @mashcosan

あ、あ、アキームさんに、Mr.Porterのことをお聞きしました!

2012-04-02 20:40:14

狩野宏樹 @KAN0U

東京TDC賞受賞の、PHP+PDFLibで出力したMondra。作者は「フォント化不能」と言うが、直線や円弧の長さをランダムに変化させるだけならType2 charstringのrandom命令を使えばできるはず。実験してみた。 http://t.co/RA1awzqG

2012-04-02 22:48:41
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狩野宏樹 @KAN0U

@KAN0U 同じ四角形を斜めにずらしながら5回描画しているが,確かに長さがランダムに変化している。だが、乱数の種を初期化する方法が分からないので文字を描くたびに同じ形が出てしまう。Private辞書のinitialRandomSeedを読み書きするのだろうがやり方が分からない。

2012-04-02 22:52:39
狩野宏樹 @KAN0U

@KAN0U OSのレンダラはrandom命令を含む文字をレンダリングしてくれないようなので、InDesignのFontディレクトリに直接インストールしている。initialRandomSeedを0以外の値に設定して表示させてみたらWindowsが青画面も出さずいきなり落ちた。怖

2012-04-02 22:57:56
狩野宏樹 @KAN0U

Type2 charstringでの乱数のシード法が分からないので65ドル出してBeowolfを買おうかと思ったが、 http://t.co/f30alCGC を読んだら「最近はrandom命令が動かないからOTF版では各文字10種用意して切り替えている」だって。結局無理なのか…

2012-04-03 12:22:54

Taro Yamamoto @ragged_right

@mashcosan アルゴリズミックな表現は60年代からの永遠の課題で、パラメータの組み合わせとその結果の組み合わせが膨大になるので、範囲を絞りこまないと上手くいかなかった。というのが個人的感想。

2012-04-02 07:13:14
Taro Yamamoto @ragged_right

結局、既存のもののコピーにもならず、自由に制御できて、しかもそれなりに全体的に一貫性のある結果を出そうとすると、やれることは限定され、限定されるけど新しいことをやろうとすると、それなりに「コンピュータ○○」みたいなものになってしまう。というジレンマかと。

2012-04-02 07:15:57
Taro Yamamoto @ragged_right

もともと論理的な必然性のない事柄を論理的なアルゴリズムで表現しなければならないことの矛盾では。

2012-04-02 07:17:11
Taro Yamamoto @ragged_right

言い換えると、視覚的表現を見たり利用したりする時点で、受け手のの知覚や解釈と、その表現の制作時に用いられた論理的なアルゴリズムが直線的に結びつくことは滅多になくて、それ以外の要素の方が影響を与えてしまう。

2012-04-02 07:20:38
Taro Yamamoto @ragged_right

たとえば、ある画像にノイズを付加したら、すごく効果的だったと仮定。だけど、その「効果」はそのノイズ生成のアルゴリズムや確率分布やパラメータ設定から直接に生み出され、直線的に関係づけられるものではない。

2012-04-02 07:23:05
Taro Yamamoto @ragged_right

ベラスケスが用いた絵具や絵画組成がベラスケスの表現内容と等価でないのと同じように、アルゴリズミック・アートにとって、その表現とアルゴリズムは等価ではないわけで。

2012-04-02 07:25:26
Taro Yamamoto @ragged_right

そこを「アルゴリズムと表現は等価だ」などと言ってしまうと、真っ赤な嘘になる。アルゴリズムは限定された計算機上の手続きを記述するに過ぎず(手続き記述と状態変化)、それが画面になったり色になったりした「表現」とは直接には関係ない。関係づけるのは制作者の恣意と、鑑賞者の解釈なわけ。

2012-04-02 07:27:59
Taro Yamamoto @ragged_right

とはいえ、伝統的な手法では不可能な効果を得ることはできるわけで、音楽ではクセナキスとかが大昔からやってました。フランスのIRCAMとか今でも熱心。1970年代は米国の高校生のコンピュータ・アート展とかが雑誌で取り上げられたり。あの頃は良くてもペン・プロッターしか使えなかった。

2012-04-02 07:39:10
Taro Yamamoto @ragged_right

文字と文字との組み合わせを、単なる組み合わせと考えるか、現実の自然言語で起こるcollocationと考えるか、文字から文字への遷移確率として考えるか。色々可能。そこからリガチャーや文字の組み合わせによる字形の変化をアルゴリズミックに記述すること自体は難しくない。

2012-04-02 23:15:01
Taro Yamamoto @ragged_right

だけどそういう方法論って、実は大昔(1950-60年代)からあるわけで、一部の音楽作品を除けば、残念ながら豊かな展開を遂げずに終わってしまっている。今やるべきことは、なぜ失敗したのかについてよく考えることだと思う。

2012-04-02 23:17:40
Taro Yamamoto @ragged_right

Knuth先生のMETAFONTの場合も、目的は静的に字形を定義することにあって、ダイナミックな要素はないが、定義する過程では、与えられた制約を自動的に解消するメカニズムを提供している。複雑な関係を記述するには有効だが、その字形を宣言的に定義可能な点は活用されていない。

2012-04-02 23:22:43
狩野宏樹 @KAN0U

@ragged_right やはり技術的なハードルが非常に高いことが最大の原因でしょう。表現できるのは簡単なランダム性に限られ、手の動きの揺らぎなどは無理。この辺、マルチプルマスターがフォントフォーマットとしては廃止され裏方の技術に回ってしまったことと共通性があるように感じます。

2012-04-02 23:33:51
aisasaki @mashcosan

@ragged_right そのへんのことをこんどタロさんにお聞きしたいですよ……

2012-04-02 23:34:34
Taro Yamamoto @ragged_right

最初はライン。プリンターやテレタイプで絵を描く、というところから始まったのだと思います。それにプロッターをつなげることも始まる。蓄積管型のディスプレイに表示したり。ここまでが1970年代まででしょう。John Cageは数値をプリントアウトした結果を使って作詩・作曲しました。

2012-04-03 00:23:36
Taro Yamamoto @ragged_right

私も学生時代は数値を出力した結果を手で描いたりして、抽象的な図形を作ったりしました。工業デザイン分野ではプロッターや工作機械を利用したでしょうが、一般人の手には届きません。

2012-04-03 00:25:52
Taro Yamamoto @ragged_right

音楽も同じで、最初はアルゴリズムを実行した結果を数値でプリントして、それで作曲していた。ブーレーズとかクセナキスとか。アナログ機材を使っていたミュージック・コンクレートの延長だったのでしょう。

2012-04-03 00:27:28
Taro Yamamoto @ragged_right

視覚表現で一般的なのは、数学のグラフによる表現ですね。これは可能性が豊富なので、今でもいろいろ作られています。単純に言えば、数学的な法則性の視覚的パターン化ですね。ヴィジュアライゼーションに通じています。数値や数量を図形の面積や明度に置き換えたり。ここでは変換や写像が用いられる。

2012-04-03 00:30:41