誘拐犯「お前の子は預かった。返して欲しければ3億円用意しろ」親「あんなのいらないからあんたにやるよ!」

RTされまくったので書き続けているちょっとした物語をまとめました。未完です。ハッシュタグはわかりやすく「#誘拐犯物語」なのですが正式タイトルももう「誘拐犯物語」でいいやって思いますはい。 物語ツイートのみまとめてみました。物語だけ読みたい時にどうぞ。 http://togetter.com/li/286744 続きを読む
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不二式 @Fujishiki

そこへパスタの茹で汁をおたまじゃくしですくって入れ、少し白っぽくなったところで火を止め、タイマーが鳴ったところでザルにパスタを流し入れて湯を切り、パスタを先程のソースに絡めて、ペペロンチーノが完成した。 #twnovel #誘拐犯物語

2012-04-28 14:53:09

達夫は笑顔でぺペロンチーノを
盛り付けた皿を京の目の前に置いて言った。
「さあ、出来たぞー。召し上がれ」
「いただきます」

不二式 @Fujishiki

京は小さな声で言うと、フォークをぎこちなく使いながらペペロンチーノをズルズルと食べて言った。「ピリピリしていて美味しい…」達夫は台所に向かいながら振り向いて笑顔で言った。「そうか。そりゃあよかった」 #twnovel #誘拐犯物語

2012-04-28 14:56:11
不二式 @Fujishiki

達夫はすぐにミニトマトとレタスと刻んだキャベツにバルサミコ酢と塩とエクストラバージンオリーブオイルを混ぜたものをかけて出した。「ほれ、サラダも食べろよ。野菜も大事だからな」京はサラダも食べて言った。「甘酸っぱくておいしいです」 #twnovel #誘拐犯物語

2012-04-28 14:56:45
不二式 @Fujishiki

達夫は笑顔で言った。「よかったよかった」2人とも食べ終わると、達夫は洗濯機を回し、食器の後片付けをした。京はゲームをしていた。達夫は不思議そうな顔で言った。「ままごとはしないのか?」 #twnovel #誘拐犯物語

2012-04-28 14:57:47
不二式 @Fujishiki

京は恥ずかしそうな目をして言った。「達夫さんの見てる前だと恥ずかしいです…」達夫は笑って言った。「そうか。まあ俺がいない時にでも遊べばいいさ」すると、入り口の呼び鈴が鳴った。 #twnovel #誘拐犯物語

2012-04-28 14:58:31
不二式 @Fujishiki

達夫が洗い物をする手を止めて、京を手で制して、玄関ののぞき穴から相手を見ると、相手は警官だった。達夫はびっくりして後ろに下がって尻餅をつき、這って移動して京の耳元で囁いた。「警察だ」京もびっくりして声を出しかけたので達夫は急いで京の口を押さえた。 #twnovel #誘拐犯物語

2012-04-28 14:59:46
不二式 @Fujishiki

達夫は京の耳元で囁いた。「頼む。風呂場に隠れていてくれ。できるだけ音は立てるな」京は頷き、浴室に入った。達夫は京の靴とおもちゃを風呂場に隠して、急いでドアを開けた。そこにいたのは知り合いの警官の東 祐介だった。祐介は笑顔で言った。「こんばんは」 #twnovel #誘拐犯物語

2012-04-28 15:05:00
不二式 @Fujishiki

達夫も笑顔を作り言った。「こんばんは」祐介は言った。「お元気そうですね」達夫は頭をかいて言った。「おかげさまで。…その、今日は何の御用ですか?」祐介は笑顔で言った。「実は近隣住民の方から、留守中の河野さんのお宅から物音がするとのお話がありまして」 #twnovel #誘拐犯物語

2012-04-28 15:07:59

 達夫は動揺を抑えつつ言った。
「何の事でしょうか」
 祐介は笑顔で言った。
「彼女かご家族など、こちらにお住まいではないですか?」
 達夫は真顔で言った。
「いませんよ。ずっと自分一人です」
 祐介は首を傾げて思った。
(誰もいないのに音楽が聞こえるわけがない…)
 祐介は訝しみながら言った。
「あの…音楽はどうやって聞いてます?スピーカーですか?ヘッドホンですか?」
 達夫は言った。
「基本スピーカーで、近所迷惑になる時間はイヤホンですね」
 祐介は言った。
「仕事で部屋を空けている時に音楽がかかっているなんてことは?」
 達夫は言った。
「ありませ…ん」
 達夫は思った。
(あ…そうか、京のやつ、俺のいない間に音楽聞いてたってことか…まずいな…どう言い訳しよう)
 祐介は思った。
(何か隠してるなこれは)
 祐介は言った。
「うーん。ちょっと部屋を調べさせていただいてもいいですか?」
 達夫は内心ドキリとしながら言った。
「ど…どうぞ」
(やばい…やばいな…京の隠れてる風呂場だけは見せたくない…)
 祐介は部屋の中を物色して言った。
「達夫さん、ずっと1人で生活されているんですよね?」
 達夫は恐怖を悟られないように答えた。
「はい」
 祐介は訝しみながら言った。
「どうしてフォークが2個も流しに置いてあるんですか?」
 達夫は内心震え上がりながら平静を保ち答えた。
「今朝の分と夜の分ですよ」
「ふーん…」
 祐介は首を傾げながらまた部屋を物色した。 祐介は言った。
「達夫さん何か隠してますよね?わかりますよ」
 達夫は震えを止めながら答えた。
「な…何がでしょうか」
 祐介は言った。
「あれ、どう説明するつもりですか?」
 祐介の指差した方を達夫が見ると、そこには洗濯して干していた子供服があった。達夫は目を瞑って思った。
(も…もうダメだ…隠しきれるもんじゃない!)
 すると風呂場から京が出てきて言った。
「達夫お兄ちゃんを責めないであげてください!」
 祐介は表情を緩めて言った。
「誰だい?君は?」
 京は言った。
「私は河野京、達夫お兄ちゃんの妹です!」
 祐介は訝しんで言った。
「随分歳の離れた妹さんだね?しかも河野さんに女兄弟がいるって話は聞いたことがなかったけど」
 京は言った。
「…実は私、達夫お兄ちゃんとはお母さんが違うんです…」
 祐介は眉を寄せて言った。
「…隠し子か。でもなんでその妹さんが今頃…」
 京は腕をまくって言った。
「…これを見てください」
 そこには青アザや傷跡がいくつもあった。祐介はさらに眉を寄せて言った。
「ひどいな…」
 達夫は言った。
「おい!京!それは…」
 京は言った。
「私、河野の家に最近連れて来られて、虐待を受けていたんです…」
 祐介は言った。
「河野の家というと、実家かな?」
 京は頷いて言った。
「はい。そうです。それで、時々帰ってくる達夫お兄ちゃんには可愛がってもらえたんですけど、他の人には…」
 祐介は言った。
「…虐待を受けていたわけか」
 京は泣きながら言った。
「私…達夫お兄ちゃんしか頼れなくて…なけなしのお小遣いでお兄ちゃんのところまで逃げて来たんです」
 祐介は困り顔で達夫に言った。
「どうしてもっと早く言わなかったんですか」
 京は涙目で言った。
「私が、口止めするように言ってたから…」
 祐介は困って言った。
「うーん…家庭の事情に警察がでしゃばるのもなあ…確かにひどい虐待だけど…河野さんが育ててらっしゃるんですよね?」
「え…!?は…はい」
 達夫は苦笑いで答えた。
(どうしようなんかおかしな話に…京のおかげで最悪の事態は避けられたけど…)
 祐介は眉を寄せて言った。
「河野さんの家に戻すのもおかしいし、だからって子供を今頃河野さんの家に預けた親を頼るわけにもいかないし…やっぱりここは達夫さん頼りになっちゃうよなあ…うん…事情を知っていながら無責任だけど…」

京は涙ながらに言った。
「私、達夫お兄ちゃんのところにいたいです…」
祐介はしばらくうなっていたが何かを決めた顔で言った。
「よし、わかった。達夫くん、がんばって育ててくれよ?君だけが頼りなんだから」
「は…はい」
達夫は苦笑いしながら答えた。
祐介は京に微笑みながら敬礼して去っていった。
「ふぅ…」
達夫はどっと疲れたという感じで椅子にどすっと座った。

「京…ありがとうな…お前のおかげで助かったよ…」
京は恥ずかしそうにして言った。
「いえ…助けてもらっているのは自分の方ですし…」
達夫は疲れた顔で笑って言った。
「いやあ京は子役俳優になれるよ。すごく演技が上手い。頭もいいじゃないか」
京は恥ずかしそうに顔を伏せて言った。
「私…ただ夢中で…」
達夫は京のところまで歩いてきて京の頭を撫でて言った。
「ありがとうな」
京はまた恥ずかしそうに達夫を上目遣いで見上げていた。

※#twnovelハッシュタグはショートショート用のハッシュタグだとの指摘を受けましたので、これからはつけない、そして今日の分のツイートは消すことにしました。すいません

不二式 @Fujishiki

達夫は家事をしながら険しい顔をして何かを考えていた。達夫は夜、アパートを出て公衆電話から電話をかけた。次の日、達夫は京を連れて電車に乗った。京はきょろきょろしていたが特に何も言わず、達夫の後についてきていた。 #誘拐犯物語

2012-06-23 00:41:59
不二式 @Fujishiki

だが、電車を降りると、どこへ向かっているかがわかったのか、不安げな顔を覗かせた。豪邸まで着くと京はびくびくとしていた。京は達夫を不安げに見上げていたが、達夫は無言で京の頭を撫でた。豪邸のチャイムを鳴らすと、男性の使用人が対応してくれ、京を見て、達夫を通した。 #誘拐犯物語

2012-06-23 00:44:13
不二式 @Fujishiki

建物までたどり着くのに時間がかかるほどの豪邸だった。建物に入っても広く、そこの一室に通された。そこには少し顔に老いの色があるものの妖艶な魅力のある微笑んでいる女性と、むっとした顔をした初老の男性がいた。女性を見ると京は達夫の後ろにくっついてぶるぶると震えた。 #誘拐犯物語

2012-06-23 00:45:04
不二式 @Fujishiki

女性は微笑んで言った。「はじめまして、誘拐犯さん。どう呼んだらいいんでしょうねえ」「川野達夫…」初老の男性が言った。達夫は目を見開いて戦慄した。 #誘拐犯物語

2012-06-23 00:46:52
不二式 @Fujishiki

男性は言った。「君のことを色々調べさせてもらったよ。家庭の問題で色々困っていたらしいね。弟くんを助けるために多額のお金が必要だったわけだ」達夫は手の震えを抑え込みながら言った。「京さんを誘拐して申し訳ありませんでした…」 #誘拐犯物語

2012-06-23 00:47:53
不二式 @Fujishiki

男性は葉巻に火をつけ、くゆらせながら言った。「別に謝る必要はない。妻が言っただろう。その子は厄介者なんだよ」女性は鬼のような形相で京の髪の毛を引っ張って腹を拳で殴って言った。「こいつめ!あれほど買い物の帰りにはまっすぐ帰れと言っただろうが!」 #誘拐犯物語

2012-06-23 00:48:56
不二式 @Fujishiki

達夫は京の手を引き、女性から引き離して京の盾となった。京はさらに強く震えて頭を抱え、座り込み、ごめんなさいごめんなさいと繰り返していた。達夫は言った。「やめてください!まだ子供ですよ!?」 #誘拐犯物語

2012-06-23 00:50:34
不二式 @Fujishiki

女性は憤怒の顔で言った。「うるさい!そいつが悪いんだ!こいつが出来たせいで隆さんと私は結婚できず、出来損ないの女なんかと隆さんが結婚しなきゃいけなかったんだ!」京は震えながらごめんなさいごめんなさいと繰り返し、座り込んでいた。 #誘拐犯物語

2012-06-23 00:51:29
不二式 @Fujishiki

達夫は眉根を寄せて言った。「たとえどんな事情があろうと、子供に罪はないでしょう!?当たっても何の解決にもならないですよ!…とにかく、今日は他でもない京さんについてのお話をしに来ました」達夫は思った。(京を連れてきたのは間違いだった。これほどとは…認識が甘すぎた…) #誘拐犯物語

2012-06-23 00:54:56
不二式 @Fujishiki

震えている京も含め4人はソファーに座った。達夫は言った。「京さんを正式に譲り受けられないでしょうか」京は震えながら涙目でそのまま達夫を見た。 #誘拐犯物語

2012-06-23 01:00:28
不二式 @Fujishiki

女性は微笑んで言った。「願ってもない話だわ。まさか誘拐犯が子供に情をかけるとはねぇ…ひょっとしてもう手を出したのかしら?だから欲しくなった?」達夫は憎々しげに言った。「いいえ。京さんに手を出すつもりなんてありません!」 #誘拐犯物語

2012-06-23 01:02:09
不二式 @Fujishiki

女性は唇を歪めて笑って言った。「あらあら、ムキになって。ちょっとした冗談じゃあないの」隆は言った。「そう若者をいじめてやるな。お前の悪いクセだ」女性は微笑んで下がった。 #誘拐犯物語

2012-06-23 01:03:34

隆は言った。
「今の妻である陽子と京とは血が繋がっていないが、私は京の肉親だ。だが、京を引き取ってくれるならまったく構わない」
達夫は眉根を寄せて言った。
「あなたは実の父親なのに娘が虐待されていても守らず、子供を育てることも放棄するんですか!」

不二式 @Fujishiki

隆は葉巻を吸って、煙を長く吐いて言った。「…あんた、なんで少子化は止まらないと思う。医療技術が進み、治らない病気やケガも減り、出生率は上がったのに、なぜ少子化は止まらないか」 #誘拐犯物語

2012-06-23 01:10:17
不二式 @Fujishiki

達夫は怪訝な顔をして、しばらくしてから不機嫌そうに言った。「…国民にお金がないからじゃないですか?」隆は言った。「まあそれもある。だが、大きな理由はそれじゃない」 #誘拐犯物語

2012-06-23 01:12:09
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