宮内悠介『盤上の夜』の感想
表題作「盤上の夜」読んだ。囲碁の盤面を知覚する人間の話。人間ダルマから賭け碁で抜け出す話は奇譚として完成度が高い。題材はショッキングだが、盤面を知覚する能力の描写はとても魅力的。
2012-04-08 12:21:142作目「人間の王」。これ何を書いてもネタバレになりそう。チェッカーの話かと思いきや、「終わったゲーム」としてのチェッカーを取り上げることで、何のためにゲームをするのかの話になっていて興味深い。人間がつくりだしたAIと人間をつくりだした神とAIがつくりだした人間の話。
2012-04-08 12:44:02移動しながら「清められた卓」。二度目だけど、これは本当におもしろい。この小説を超人麻雀バトルと呼ぶのはためらわれるけど、超人麻雀バトルとしても圧倒的におもしろい。
2012-04-08 15:08:11「象を飛ばした王子」。釈迦に捨てられた王子がチェスや将棋の原型となったボードゲームをつくるという、おそらくは偽史と原始仏教の教義を描く。しかしボードゲームしばりでよくこれだけいろんなものを書けるなあ
2012-04-08 15:39:56自分の生まれと置かれた状況に翻弄されながらボードゲームに惹かれていくラーフラには、この本全体で反復されるテーマがよく出ている気もする。
2012-04-08 15:45:25「千年の虚空」。タイトルと前半の内容から連想されるのは中上健次だが、量子歴史学だとか、将棋を通じて神を再発明するとか、SF的な嘘を混ぜてくるところがいい感じ。完全解がわかっても、それでもまだゲームをする意味はなんなのかという問はここでも出てくる。
2012-04-08 18:24:04「原爆の局」のエピソードは実話のようだったが、ほんとにそのままあったことなんだな。途中で原爆が落ちたが、そのまま本因坊戦の対局をつづけた、すごい話だ。 http://t.co/k2AkvUU6
2012-04-09 01:33:23『盤上の夜』、ゲームを題材にしてるけど、作品自体もゲーム的に書かれてるようなところがあって(少なくとも取材とアイデアを元に理知的に構築された作品である)、しかし有限のルールに従ったゲームが異様なものを生み出してしまう、という作中で描かれる現象が、この作品自体にも起きている感じ。
2012-04-08 21:20:54『盤上の夜』、やや深読み的に読むと、世界宗教の影でひっそりと生まれた将棋、囲碁、麻雀といったボードゲームのミームが、千年の潜伏期間をへたあと(機械による完全解析をへて)、シンギュラリティ以後の人類を生み出すというビジョンを提示しているのではないかな。
2012-04-08 22:12:22おお、こういうのがあるのか。 / “宮内悠介『盤上の夜』収録作品の人気投票を実施します[2012年3-5月]|Science Fiction|Webミステリーズ!” http://t.co/M41pLXU0
2012-04-08 22:15:57“宮内悠介『盤上の夜』(創元日本SF叢書)、3月22日発売 - Togetter” http://t.co/TfPInYds
2012-04-09 00:23:49“Jun Mukai - Google+ - 宮内悠介『盤上の夜』を読んだ。創元SF短編賞からのデビュー作「盤上の夜」をはじめとした連作短編集。…” http://t.co/5trDYsoA
2012-04-09 00:27:42