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ドゥームズデイ・ディヴァイス #1

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
文学 書籍 ニンジャスレイヤー
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第二部「キョート殺伐都市」より:「ドゥームズデイ・ディヴァイス」#1
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デスドレインは跳ね起き、部屋の隅、壁を背にうずくまって寝るランペイジの顔を蹴った。「……!」ランペイジは目を覚まし、身を起こそうとする。デスドレインはその首を右手で掴み、締め上げた。「テメェ、言ってみろ」「……」ランペイジは睨み返す。口の端から血の筋。ウシミツ・アワーだ。3
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「テメェ、そろそろ、やめときゃよかったとか考え出してねェか?俺についてきた事を後悔してンじゃねえか?」デスドレインは血走った目でランペイジを凝視した。「それとも飽きてきたンじゃねえだろうな?」ランペイジは目を逸らさない。デスドレインは舌打ちした。部屋の隅で寝るアズールを見る。 4
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「あのガキもテメェもムカつく」デスドレインは絞り出すように言う「俺の事を売るつもりか?それともよォ」ランペイジはまだ答えない。首を締められても、苛立たしげに眉間に皺を寄せるだけだ。殺風景な、コンクリート剥き出しのビルの一室。「テメェのその腕で、この間合いの俺を殺せるか?ア?」5
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「……やってみるか」ランペイジが掠れ声で言った。デスドレインのニューロンを粘つく殺意が駆けた。彼はもう一度舌打ちした。ランペイジを撥ねつけ、寝ているアズールを蹴った。「うッ」少女の苦しげな呻き。デスドレインは部屋から出てゆく。その背には「咎」のカンジ状に抉られた傷痕の一部。 6
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やがて、隣室から断末魔の絶叫が、哀願が、声にならない呻きが聞こえる。女と、男だ。解体して殺している。デスドレインの声は無い。彼はたいてい笑いながら殺す。だが、こんな時は彼は無言だ。ランペイジはアズールを見る。「平気か」答えるかわりに、少女は身を起こし、ランペイジを無言で見る。 7
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隣室で縛られていた男女は「ベントー(弁当)」だ。デスドレインはそう呼ぶ。殺したくなった時にいつでも苛んで殺せるよう、攫ってきて自由を奪った相手をねぐらの側に転がして取っておく事を、彼はそこそこ好む。当然、こういった時、そうした犠牲者たちは憂さ晴らしとして消費される。 8
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酸鼻な血の臭いが戸口から漂って来る。ランペイジは立ち上がった。そして備えた。やがて隣室は静かになり、デスドレインが戻って来る。「きったねェから、出るぜ、ここをよ」「そうか」ランペイジはデスドレインを見据えた。デスドレインはバツが悪そうに頭を掻いた。「裏切らねえよなあ?テメェら」9
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……デスドレインは当初、ダークニンジャのカンジ・キルによってつけられた傷を「ハクをつけた」程度に楽観して捉えていた。手ひどい傷であったが、彼自身のアンコクトン・ジツ……ヘドロめいた暗黒物質を体内に循環させることで、驚く程に速く治癒させた。少なくとも肉体的には。 10
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だが、徐々に、澱のような不快感が彼のニューロンを苛むようになった。目覚めている時はいい。眠るたび彼は、それまで彼が己の性的快楽の為だけに理不尽に殺害してきた者たちの呻き声に包まれた。彼は死んで行く罪なき老若男女の声を聞くのが好きだった。だが、その呻き声はただただ重苦しいのだ。11
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デスドレインはこの不快感に困惑した。インガオホー。罪の重み。彼の頭は罪悪感を覚えるようにはできていない。だが不快だった。ダークニンジャは彼を殺さなかった。しかし、殺そうと思えば殺せたのではないか。デスドレインはそうした疑念を発作的に抱くことがあった。死よりも不愉快な結果。 12
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散々に他者を蹂躙し、人生を狂わせた挙句にその者自身が満足して死ぬとすれば、それは身勝手なリセット、逃げ切り、解放、自己満足とも言えよう……カンジ・キルはそれを許さぬ。いずれ収まる病か?それとも、二度と逃れ得ぬものなのか?答えは無い。 13
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デスドレインは己の幸運について、絶対の自信、確信を持っていた。何をやっても許される。そして実際許されてきた。だが皮肉にも、ニンジャソウル憑依を経て、圧倒的なジツを身につけた後、インガの歓迎を受けることとなったのだ。ダークニンジャ。そして遺跡に現れたニンジャスレイヤー。14
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デスドレインの鋭敏な知覚能力は、あの一瞬の邂逅時、ニンジャスレイヤーの揺るがぬ瞳の中に、凄まじい憤怒を感じ取った。正体のわからぬニンジャソウルを。彼は畏れた。それが許せぬ。奴が許せぬ。畏れた己が許せぬのだ。(俺は最強、俺のジツは最強、何もかもうまくいくんだろ?) 15
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「……裏切ると思うのか」ランペイジは言った。「ヘッ!裏切らせるもンかよ。もう始めちまってンだよ、俺たちは!わからねえなら、いつでもわからせてやるよ!」デスドレインは笑った。ランペイジの眉間に血管が浮き上がり、消えた。一瞬のことだった。「そうだ。俺はランペイジだ。わかるか」 16
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「意味わからねぇ事、言ってンじゃねえよ。誤魔化してんじゃねえ」デスドレインは睨んだ。「……証拠を見せろよ。ランペイジ。ランペイジの証拠を見せろ」「……」「わかってンだろうが!マグロアンドドラゴンだよ。アァ?やろうぜ、やるよなァ?やらずにいられねえよな?こうなったらなァ?」17
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マグロアンドドラゴン。彼の人生を破滅させ、彼がランペイジとなる原因を作った暗黒メガコーポ。デスドレインはそれを潰すというのだ。だが……「くだらん事を」ランペイジはデスドレインを凝視したまま吐き捨てた。「アァ?」デスドレインの目が血走り、足元に黒いタール状の物質が染み出す。 18
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両者の間の緊張が高まる。アズールはガラスのような目でそれを眺める。やがてランペイジは言った。「だが、それでお前が満足するなら、よかろう、そこをやる」「……何だ、テメェ?」デスドレインは不満げだった。だが暗黒物質は引っ込めた。「テメェの敵だろうが!ランペイジ」「……」19
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彼らにはまだダルマを売り払ったカネがあり、気ままに暮らす事には当分困らない。だがデスドレインは動かずにはいられない。そして、動かずにいるつもりが無いのはランペイジも同じだった。マグロアンドドラゴン。くだらない。だが、そこから始めるなら、そこでいい。ランペイジは淡々と考えた。 20
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(第二部「キョート殺伐都市」より:「ドゥームズデイ・ディヴァイス」#1 終わり。 #2へ続く

コメント

オスツ🍣 @alohakun 2012年4月16日
ドゥームズデイ・ディヴァイス #2 http://togetter.com/li/288997
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