牧眞司の文学あれこれ

牧眞司（shinji maki）『『けいおん！』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

「潜水夫に似た運転手」って、何？ （続く

牧眞司（shinji maki）『『けいおん！』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

怪奇小説ファンはもちろんのこと、尋常ならざる作品（世界文学とか異端・実験・前衛小説とかスペキュラティヴ・フィクションとか）が好きなひとも、これは読んだほうがいいと思う。きっとびっくりするよ。

牧眞司（shinji maki）『『けいおん！』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

怪奇小説ファンはもちろんのこと、尋常ならざる作品（世界文学とか異端・実験・前衛小説とかスペキュラティヴ・フィクションとか）が好きなひとも、これは読んだほうがいいと思う。きっとびっくりするよ。

牧眞司（shinji maki）『『けいおん！』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

『おばけずき』収録作品で、なにがなんだかよくわからなかった作品がひとつ。「鎧」という小説なんですが、これは、まったく異なるふたつのエピソードが抱き合わせになっているのかな？　しかし、行アキもなしにつながっているので、面食らう。　（続く

牧眞司（shinji maki）『『けいおん！』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

それぞれのエピソード内では場面転換のときに行アキが使われているのだけど、ふたつのエピソード間にはそうした処理がなく、ただ改行ひとつでつながっている。いや、もしかしてぼくが読みそこねているだけで、入れ子構造とかウロボロス構造になっていたりするのか？

牧眞司（shinji maki）『『けいおん！』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

レーモン・クノー『はまむぎ』（水声社）読了。凄いすごい！ 面白いおもしろい！ 旧訳で4～5度読み、こんかい新訳であらためて読んだけど、読むたび「驚愕的傑作」の確信が強まる。ぼくはこれまで2万冊近く本を読んでいるが、そのなかのベスト5に入ることまちがいない。

牧眞司（shinji maki）『『けいおん！』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

クノー『はまむぎ』の面白さをひとことで示すことはできない。表現・筋立て・挿話・視点・全体構造・小道具・人物……すべてにおいて風変わり、しかも世界文学を見わたしてもトップレベルの面白度なんだもの。　（続く

牧眞司（shinji maki）『『けいおん！』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

以下、だいぶ不完全だけど、ぼくが「これはヤラれた！」と思ったポイントを箇条書きしてみます。　（続く

牧眞司（shinji maki）『『けいおん！』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

(1)「くだらぬモノ」「あほらしい思いつき」がきっかけとなって物語が駆動し、登場人物の運命が転がりはじめる。ゴムのあひるとか、フライドポテトの看板とか、ゆで卵薄切り器とか。　（続く

牧眞司（shinji maki）『『けいおん！』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

(2)桂馬飛びのような語りかた。基本的に時系列に沿って進むけれど、ときどき事件や場面のつながりがぽーんと跳んで、あとになって「ああ、あそこでこんな経緯があったんだ」と気づかされる。　（続く

牧眞司（shinji maki）『『けいおん！』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

これは、ミステリがよくやる「あえて隠す」「別な意味にとれるように語る」なんて手品ではなく、もっと大らかなクノー独自の脈絡で、読者はちょっと面食らいながら愉快になってくる。　（続く

牧眞司（shinji maki）『『けいおん！』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

これは、ミステリがよくやる「あえて隠す」「別な意味にとれるように語る」なんて手品ではなく、もっと大らかなクノー独自の脈絡で、読者はちょっと面食らいながら愉快になってくる。　（続く

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(3)不意打ちの奇想性。『はまむぎ』はファンタスティックな要素はそれほど濃くないのだけど、スポット的に不思議・異常性が高まる局面があって、その唐突感も面白い。端的なのは終盤の戦争のくだり。時空が歪んだように、あれよあれよとヘンな出来事が……。

牧眞司（shinji maki）『『けいおん！』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

(3)不意打ちの奇想性。『はまむぎ』はファンタスティックな要素はそれほど濃くないのだけど、スポット的に不思議・異常性が高まる局面があって、その唐突感も面白い。端的なのは終盤の戦争のくだり。時空が歪んだように、あれよあれよとヘンな出来事が……。

牧眞司（shinji maki）『『けいおん！』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

(4)夢の論理が大胆に取り入れられている。複数の人物の夢が連珠のようにつらなったり、日常のなかで夢想が横滑りしていったり。夢の内容だけでなく、夢の感触がまざまざとある。　（続く

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(4)夢の論理が大胆に取り入れられている。複数の人物の夢が連珠のようにつらなったり、日常のなかで夢想が横滑りしていったり。夢の内容だけでなく、夢の感触がまざまざとある。　（続く

牧眞司（shinji maki）『『けいおん！』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

(5)文章実験もやすやすと。ジョイスはだしの荒技が、通常の語りのなかにすんなりと嵌めこまれている。実験性と愉快性との幸福な合一。 （続く

牧眞司（shinji maki）『『けいおん！』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

(5)文章実験もやすやすと。ジョイスはだしの荒技が、通常の語りのなかにすんなりと嵌めこまれている。実験性と愉快性との幸福な合一。 （続く

牧眞司（shinji maki）『『けいおん！』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

(6)卓抜したユーモア感覚。マヌケ、ドタバタ、ブラック、ナンセンス、脱力、微妙……多彩なユーモアが随所にちりばめられている。　（続く

牧眞司（shinji maki）『『けいおん！』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

(6)卓抜したユーモア感覚。マヌケ、ドタバタ、ブラック、ナンセンス、脱力、微妙……多彩なユーモアが随所にちりばめられている。　（続く

牧眞司（shinji maki）『『けいおん！』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

(7)物語の入れ子構造。クノーは大仰にやるのではなく、ちいさなメビウスの輪をちょこっと結んでみたりする。　（続く

牧眞司（shinji maki）『『けいおん！』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

(7)物語の入れ子構造。クノーは大仰にやるのではなく、ちいさなメビウスの輪をちょこっと結んでみたりする。　（続く

牧眞司（shinji maki）『『けいおん！』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

(8)輻輳する物語。『はまむぎ』には夥しい登場人物がいて、その結びつきも複雑だ。敵なのか味方なのかよくわからない間柄だったり、ゆきずりだったはずが別な人物を介して別なつながりができたり、しかも、関係は流動的で、めまぐるしく組み替わっていく。　（続く

牧眞司（shinji maki）『『けいおん！』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

(8)輻輳する物語。『はまむぎ』には夥しい登場人物がいて、その結びつきも複雑だ。敵なのか味方なのかよくわからない間柄だったり、ゆきずりだったはずが別な人物を介して別なつながりができたり、しかも、関係は流動的で、めまぐるしく組み替わっていく。　（続く

牧眞司（shinji maki）『『けいおん！』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

そのなかで、いくつもの物語が進行し、それが互いに干渉したり陥入したり縺れにもつれ、いっときたりとも予断を許さない。　（続く