「なあ。あんたのせいじゃないんだ。そうでなかったら、あたしがこんな伝言預かるもんか」「そう……ですわね」「あいつはいろいろ考えて、結局これでいいんだ、って言い聞かせながら突っ走っちまった」
2012-04-07 04:48:57インタヴュー・ウィズ・ミラクルズ
「そうですね。実を云うと『奇跡の』って付けられるの、昔は凄く嫌だったんですよ。いつもそれがついて回って、じゃあ実力じゃないのかな、って。でも、そうですね、丁度郷里で公演の時に、サプライズだったんですけどソロを任せてもらう機会があって。その時にね、凄く懐かしい声が聞こえた気がして」
2012-04-16 01:46:03と云って、照れ隠しのように彼は含羞む。「奇跡の左腕」の二つ名を、最初は嫌っていたと打ち明けてくれたが、それは私達にとっても伝説の、と云って差し支えない見滝原総合文化センター、その杮落しの一夜を機に変わったと云う。「あれは、ほんとうに奇跡だったんです。そう願ってくれたから、ええ」
2012-04-16 01:56:24傷痕は誰が為に
ちゃんと治癒しておけば消えるでしょう、そんな傷。「いいんだよ。あんたと違って残ってても誰も困らねえし、それにこの傷の数だけ助けてやったヒヨッ子が居る」勲章、みたいなものかしら。「ん、ああ。そんなとこかもな」ところで、私と何が違うって?「あいつには……見せられねえよな?」……もう。
2012-04-20 05:02:07確かにあの子には、見えない黒子の位置まで知られてはいるけれど。決して、私から甘える訳にはいかない——たとえあの子、いや彼が望んだとしても、だ。
2012-04-20 05:10:45街に殉ず
メモ:4/15に「はじまりの魔法少女」周辺の考察あり
4/8にも魔法少女始原考察
「ああ、見えるんだね。キミ達生命が感情のもとに知性を求めたとき、アレは必ず現れる。アレとの不断の闘争を勝利することでしか、生命に知性は授けられない——ずっと昔からそうだ。そしてアレに打ち勝って知性を得た生命は、アレと対峙し続けることを余儀なくされる。そう云う仕組みなんだよ」
2012-04-09 03:56:55船内に時折蔓延する謎の死病「眠り病」と、少女と呼んで相違ない若い女の失踪に関連があるかも知れないと気付いたのはいつの頃だったか。それは完全な消滅と云っても過言ではなく、質量センサの変動を見ても確かに数十kgほどの質量消滅が確認されている。……原因だけは、現在に至るも不明なのだが。
2012-04-29 05:03:14@_Ipiria 「そう。あの人もそう云ってたよ……残されたやつのことなんか全然考えないでさ。でもま、あたしもお前らを遺して逝っちまうのかも、な」心配そうに窺うそのかぶりに、「心配すんな。きっとまた逢える。それに」「”いつかはいまじゃない”」「って! お前、いつ来た?!」みたいな
2012-04-25 02:36:49「どの口が云うんだか。あん時あたしが止めに入ってなかったらアンタだって……」「それとこれとは別でしょう! まったく、アレからどれだけ経ったと思ってるのよ」「はいはい。あたしも後追いなんかされちゃ寝覚めが悪いしなあ、冗談だよ」
2012-04-27 01:43:30永劫交叉
もう、長くはない。主治医の見立てでは保って数日、或いは今夜が山だろうと云う。その床には、随分前から黒髪の少女が付き従う。なんでも、従姉妹筋の娘なのだと云うが、それにしては物腰と云い、落ち着きすぎている。その報にもただ「……そうですか」と、ひと言のみであったと云う。
2012-04-27 01:51:29それは、蝋燭の最後の輝きのようなものか。彼が目を覚ましたのは夜半もすぎのこと。傍らの娘は手を止め、静かに見つめる。「”姉さん”に、逢ったよ」そのひと言に。その表情は大きく引き歪み。その肩に掴み掛からんばかりに詰め寄って。「姉さんって、まさか」「……うん」精一杯の、微笑だった。
2012-04-27 03:20:56「きみは、ほんとうに……変わらないんだね」「……ええ。ごめんなさい、この所為で貴男にも、あの娘たちにも」「……いや。それでも、幸せだった」「……そう、そうなのね。もう全て、わかっているのね」「かも、ね」「……わかりました。こう云えば良いんでしょう、『またあとでね、タっくん』」
2012-04-27 03:31:03彼女がその部屋を出たのはいつ以来のことか。リノリウムに響く足音はひどく虚ろで、重かった。親族にひと言「……行ってあげて」と伝えてのち、その行方を知るものはいない。「……それで、よかったんですか」「ええ。大丈夫よ……だいじょうぶ」
2012-04-27 03:38:18