安冨さんの見事な弁証法論理の展開

安冨歩さんが語ることの中に見事な弁証法を見ることができる。あまりに見事なので誰かに話したくなるような衝動を感じる。素晴らしいものを誰かと分かち合いたいという気持ちだ。
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木下秀明 @khideaki

礼①安冨歩さんが『生きるための論語』の第4章で展開している「礼」に関する論理展開は大変興味深く面白い。それは僕が勉強してきた弁証法論理に通じるもので、弁証法の有効性を改めて確認させてくれた。マルクス主義が衰退してから弁証法に関心を抱く人も少なくなったと思うがそれはまだ有効だと思う

2012-04-23 23:13:05
木下秀明 @khideaki

礼②例というものを礼儀作法などの連想で捉えてしまうと、何か固定した規範を守ることが礼のように感じてしまう。しかしそれは安冨さんが展開する「礼」とは全く正反対のものになってしまうだろう。それは現実の条件によって変化していくものであり、過程として捉えなければならない。まさに弁証法だ。

2012-04-23 23:15:46
木下秀明 @khideaki

礼③安冨さんは、「(礼/非礼)→礼」という図式でその過程的構造を説明する。これは、礼と非礼の区別を知るところから礼のなんたるかを知るという図式だ。この時、区別が固定的なものであれば、そこには過程が存在せず学習するものが無くなってしまう。単に規範を暗記しておけばすんでしまう。

2012-04-23 23:18:22
木下秀明 @khideaki

礼④安冨さんは、礼の微細なレベルにおける調整のことを語っている。この微妙な判断は、規範を覚えていたからといって分かるものではない。現実から学び取らなければならない。自分の行為が相手にどう受け取られるのかを相手の反応から読み取り、それを生かしてまた自分の行為を変えて行く学習をする。

2012-04-23 23:20:49
木下秀明 @khideaki

礼⑤つまり礼というのは、外から見た形式において同じように見えても、条件によってはそれが礼になったり非礼になったりするものなのだ。それは対立を背負っている弁証法的存在だ。この礼と非礼を峻別するところに学習が始まる。ではどのようにして峻別できるのか?それは規範による判断ではない。

2012-04-23 23:23:20
木下秀明 @khideaki

礼⑥規範によって判断してしまえば、それは礼の学習の持つダイナミックな弁証法性を失ってしまう。しかし判断の方法がないというこの矛盾をどのようにして解決すればいいのか。この具体的解答を安冨さんが提出している。これは僕には目から鱗が落ちるように見事なものに見えた。自分の感覚を大事にと…

2012-04-23 23:25:32
木下秀明 @khideaki

礼⑦例の背負っている矛盾を発見するきっかけは自分の感覚なのだ。「何か変だ」とか「これは分からない」という感覚を持ったとき、それが本当に礼なのかどうかというといが生まれる。その時に礼と非礼を区別する学習がスタートする。自分の感覚に素直に従えない人間は、礼と非礼の区別が自分で出来ない

2012-04-23 23:28:57
木下秀明 @khideaki

礼⑧礼の学習をするには、礼と非礼を自分で区別し、その過程から学習をしなければならない。判断をいつでも他者に委ねていたのでは学習が出来ない。たとえ判断が間違っていようとも、自分の感覚からスタートしなければならないのだ。これは、板倉聖宣さんが語っていた仮説の提出にも似ている。

2012-04-23 23:31:15
木下秀明 @khideaki

礼⑨板倉さんが語る仮説というのは、「これは○○ではないか」という予想を持つと言うことだ。予想を持って現実に当たるというのを、板倉さんは「実験」と呼んでいた。予想がないと予想外のものも見つけることが出来ない。礼に関していえば、それが礼である、あるいは非礼であるということが仮説になる

2012-04-23 23:33:49
木下秀明 @khideaki

礼⑩その仮説を持って自分の行為を結果として礼になっているか非礼になっているか判断することで、そこにある弁証法性を学ぶことが出来る。この時の判断には「和」という調和に通じる概念が役に立つ。コミュニケーションに調和がある行為が礼にかなうというわけだ。そしてこの和も弁証法性を持っている

2012-04-23 23:37:40
木下秀明 @khideaki

礼⑪僕が安冨さんに感じる魅力は他にもたくさんあるが、見事な弁証法を発見できるという点が僕には一番魅力的に見える。それだけに、安冨さんが語ること自体も、変化し発展する認識であって、書かれたものを固定的に受け取ってはいけないと感じる。どのように発展していくかいつまでも楽しみが尽きない

2012-04-23 23:40:28