#366days 4月まとめ

予言された日まで残り9カ月。 世界は着実に軋みはじめている。
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まとめ #366days 3月まとめ 告げられた日まで残り10カ月。 人々は逃げ場がないことに気付き始める。 1275 pv 5
相応恣意 @aioushii

たとえ手段があっても、誰もが実行に移せるわけではない。その後起きるだろう世界の混乱を考えれば、躊躇するのが当然だ。しかし真っ当な常識など彼には通じない。 #366days 斯くして実験は為され世界に運命の日が告げられた。奇しくもそのことを端緒に、名もなき“それ”に名が与えられる。

2012-04-01 23:51:34
相応恣意 @aioushii

予言された日まで9カ月。社会システムは急激に軋みだした。今まで何もせずにいた人々が、一斉に職を辞したからだ。心機一転、何かを始めるのにうってつけの春という季節は、皮肉にも何かに終わりを告げるのにも適していた。 #366days 加速を始めた世界の終焉。悪夢はまだ始まったばかりだ。

2012-04-03 00:30:51
相応恣意 @aioushii

建築家は焦っていた。9カ月後に迫った運命の日に何が起こるか分からない。だからこそ万全を期して、大規模なシェルターを作るべきではないか。そんな彼の真摯な呼びかけを、荒唐無稽と他人は嗤う。 #366days 必要と分かってからでは遅いこともある。彼を笑う人々の想像はそこまで及ばない。

2012-04-04 00:10:01
相応恣意 @aioushii

老夫婦は蓄えてきた富を惜しみなく使い、先の見えぬ未来に備えていた。物資は十分、あとはそれを誰に運用させるかだ。求めるのは今の段階で危機感を持ち、あらゆる状況を想定できる人物。その条件に合致したのは―― #366days 彼らが未来に託す生きる手立て。その最初の一歩が芽吹き始める。

2012-04-05 01:32:34
相応恣意 @aioushii

かつての委員長は同窓会を企画した。今、話している友人とはもう会えないかもしれない。そんな思いが、会に沈鬱なムードを流しつつあったその時、誰かが呟いた。「俺たちで、何か出来ることはないかな」 #366days 1人で出来ることは限られる。でも皆で力を合わせれば?彼らの挑戦が始まる。

2012-04-06 00:02:23
相応恣意 @aioushii

社会人は自問した。今まで俺は、何かに本気で取り組んだことがあったか?否。与えられた作業をこなしてきただけだ。このままでいいのか?思いは不意に口をつく。「俺たちで、何か出来ることはないかな」 #366days 本気で取り組んでも成果が出るとは限らない。それでも得るものはあるはずで。

2012-04-07 00:25:35
相応恣意 @aioushii

主婦は退屈な日常に飽いていた。運命の日の予言は非日常を期待させたが、訪れたのは今まで通りの日常で。だからこそ「俺たちで、何か出来ることはないかな」その言葉に彼女は胸躍らせた。 #366days 日常を生きる者は非日常に憧れ、日常を失った者は日常を惜しむ。誰が見ても隣の芝生は青い。

2012-04-08 00:02:22
相応恣意 @aioushii

ロマンチストは感激した。世界を救う英雄になるなんて夢物語だと、とうの昔に諦めていた。それでも「俺たちで、何か出来ることはないかな」その一言で彼は気づかされた。今なら誰だって、世界を救う英雄になれる。 #366days 失われたはずの夢の欠片。取り戻すのに遅すぎるなんてことはない。

2012-04-08 23:51:41
相応恣意 @aioushii

「俺たちで、何か出来ることはないかな」その一言にめんどくさがり屋は口を噤んだ。確かに皆で力を合わせれば、何か出来るかもしれない。だがそれを、どうして俺たちがしなきゃいけないんだ? #366days 誰もが理想に殉じられるわけではない。集団行動に生じる意識のズレは、避け難き世の常。

2012-04-10 00:12:54
相応恣意 @aioushii

かつての担任は教え子たちのやり取りを興味深く見ていた。「俺たちで、何か出来ることはないかな」その言葉に皆が積極的ではないことを彼は看破していた。それは彼にとって、あまりに見慣れた風景で。 #366days 異なる価値観のぶつかり合い。それは幾年を経て繰り拡げられる、学級会の再現。

2012-04-10 23:59:56
相応恣意 @aioushii

薄情者は幼女との生活を続けていた。最初はすぐに追い出すつもりだった。けれども「おかえりなさい!」「ありがとう!」そんな他愛ない言葉の積み重ねが、いつしか彼に幼女を手放したくないと思わせていた。 #366days 固く凍てついた心を解すのは難しい。けれど想像するよりは容易いことで。

2012-04-12 00:47:18
相応恣意 @aioushii

幼女は薄情者の元を離れ難くなっていた。迷惑をかけないよう、すぐに出ていくはずだった。それなのに「おかえりなさい!」「ありがとう!」そんな当たり前の言葉で驚く彼を、気づけば放っておけなくなっていて。 #366days 誰かを思いやる気持ちに年齢は関係ない。その人を心から想うのなら。

2012-04-13 02:29:22
相応恣意 @aioushii

天文学者は戦慄した。「どうして誰も気づかなかった?」彼が見つけたのは地球へと向かってくる彗星。計算が正しければ地球に衝突するのは――来年の1月1日。 #366days 計算ミスがあるかもしれない、いや、あるはずだ。煩悶ゆえに秘められし真実。明かされた時、世界には何が齎されるのか。

2012-04-14 02:11:01
相応恣意 @aioushii

花見客たちは静かに花見を楽しんでいた。時折思い出したかのように上がる笑い声も暫くすれば収まり、また静寂が訪れる。彼らはこの日初めて知った。桜がこんなにも美しかったのだと。 #twnvday 最期の花見の楽しみ方なんて知らなくて構わない。美しいと思う心のまま、愛しめばいいのだから。

2012-04-15 01:22:16
相応恣意 @aioushii

怖がりは眠れぬ夜を過ごしていた。もし寝ている間に隕石が降ってきたらどうすればいい?大地震が起きたら?火山が噴火したら?圧しかかる漠たる不安が、それを妄想と切り捨てることを許さない。 #366days 実態を伴わない抽象的な死の恐怖。何を恐れるべきか分からないことこそ、恐怖の対象。

2012-04-16 05:51:19
相応恣意 @aioushii

学生は勉学に励む意味を見失っていた。将来のためにと、これまで友達も作らず頑張ってきた。だのに、希望の大学に入学を決めた途端に鎖された未来。俺は一体、何のために生きてきたんだ? #366days 未来は今の積み重ね。今を犠牲にして手に入れた未来は、きっと失った物の残骸でしかなくて。

2012-04-17 01:07:49
相応恣意 @aioushii

考えなしは路頭に迷っていた。あと1年の命と知ってから働くのが馬鹿らしくなり、気ままで自堕落な生活を送っていた。そんな生活が長く続くはずもなく、彼は今や全てを失っていた。 #366days 未来は今の積み重ね。今を刹那の快楽に委ねれば、待っているのは救いようのない陥穽でしかなくて。

2012-04-18 02:50:24
相応恣意 @aioushii

実業家は呆れ果てていた。先が見えないと今に絶望するのも、先を見据えることなく今を浪費するのも、どちらも人生を無為に生きているとしか思えない。ただ、今を生きる。それだけのことがなぜできないんだ? #366days 未来は今の積み重ね。全力で今を生きなければ、掴みとれない未来がある。

2012-04-19 01:43:17
相応恣意 @aioushii

「好きです、付き合ってください!」一世一代の告白を「嫌よ、どうして私が貴方なんかと」喪女は一蹴した。「たとえ残された時間が少なくても、私にだって選ぶ権利くらいあるわ!」 #366days 理想を目指し決して妥協しない。それは気高くもあり、何か大切な物を見落としているようでもあり。

2012-04-20 00:18:39
相応恣意 @aioushii

「好きです、付き合ってください!」ヘタレの一世一代の告白は「嫌よ、どうして私が貴方なんかと」あえなく一蹴された。けれど彼の表情は、どこか晴々としていて。 #366days 彼がその告白で失ったのは恋、手に入れたのは勇気。残り僅かな時間でそれを手に入れたことは、きっと無為ではない。

2012-04-21 00:58:36
相応恣意 @aioushii

歌手は今や歌姫と称されるまでになっていた。そんな彼女の元を訪れたのは1人の詩人。彼が示した一片の詩を見て歌姫は驚愕する。「これを私に歌えと言うの?」「貴女にしか出来ないと思いまして」「……言ってくれるわね」 #366days 歌姫の胸に燃える闘志。もしかしたらこれが伝説の始まり。

2012-04-22 00:08:09
相応恣意 @aioushii

公務員は疲れ果てていた。日が経つにつれ、仕事量は加速度的に増えていった。どれだけ働いても終わりは見えず、残業や休日出勤は当たり前。繰り返されるのはただ仕事をこなし、眠りに就くだけの無味乾燥な日々で。 #366days 誰もが求める、生きる意味や目的。見失った者が辿る末路はいづこ?

2012-04-23 00:45:47
相応恣意 @aioushii

警官は呆然としていた。住民のトラブルを諌める、簡単な仕事のはずだった。しかし運命の日が迫る住民たちのストレスは既に限界で、手元の狂ったナイフは深々と警官の胸に―― #366days 心の準備もできずに訪う、本来の死のあるべき姿。予言が招く全ての死に、万端の備えができるはずもなく。

2012-04-24 04:16:43
相応恣意 @aioushii

未亡人は現実を受け入れられずにいた。声を聞かなかった2人に待っているのは、幸せな日々だと信じていた。それなのに現実はどこまでも残酷で、警官の妻としての覚悟も虚しく、ただ声にならない声で哭き続ける。 #366days 大切な人を失う喪失感。訪れてみればどんな覚悟も意味を持たなくて。

2012-04-25 00:45:32