RRof3Rさんによる題して「ごみセメントじゃないんです。見方を変えればエコなんです(産業者目線)」
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さて、エコセメント問題を追及する以上、なぜエコセメントがエコなのかについて独り言。題して「ごみセメントじゃないんです。見方を変えればエコなんです(産廃業者目線)」 @yuKIiyomi
2012-05-02 16:35:14ごみの殆どは産廃なんです。廃棄物と呼ばれるもののうち、約1割が一般廃で、残り9割が産廃。で、この産廃の量というのが年々減り続けてはいるものの、年間で約3億9千万tも排出されます。それを排出事業者や我々ゴミ屋が再利用等を促進し、1.35千万tまで減らしてから最終処分しています。
2012-05-02 16:39:56一方、産廃の最終処分場は、皆さんの反対運動等の効果wにより、年々建設が困難となっているため、残余容量は1億7千万m3(約10年ちょっと)しか余力が無いと言われてます。脅すつもりはありませんが、2022年には、このままいくと企業がゴミを捨てられなくなってしまうのです。困りましたねw
2012-05-02 16:42:58そのため、リサイクル率の更なる工場と、最終処分場の延命策として、国交省を中心に関係各所で考え出されたのが、セメントを中心としたリサイクルシステムです。セメント工場は現在、3R全てを満たす、最終処分場を不要とする救世主として、ごみ処理業界に君臨する、歴とした産廃屋でもあります。
2012-05-02 16:45:39セメント工場でのリサイクルは、大別すると3種類あります。1.可燃物をキルン炉の燃料として混焼。 2.汚泥や残土を粘土の代替素材として流用。 2.焼却灰を石灰石の代替え品として流用。 この3種の3Rにより、ごみの削減や再利用だけでなく、最終処分場不足解消にも貢献しています。
2012-05-02 16:48:41セメントは、ざっくり言うと、石灰石と粘土と他の調整材や鉱石類を、キルン炉と呼ばれる加熱炉で加熱することで作られます。1.の代替え燃料は、重油をベースにした熱風を吹き込む代わりに、古紙や廃木材などを混焼することで、セメント会社にとっては燃料代削減と営業外収益が得られる仕組みです。
2012-05-02 16:52:22現在、岩手県の廃木材を中心に、太平洋セや三マテが県外広域処理を受け入れてる仕組みは、この代替え燃料としての混合焼却です。蛇足ながらセメントは石灰石の成分が可燃物の焼却灰のそれと似通っていることから、JIS規格の範囲内であれば、灰を封入することが出来るメリットもあります。
2012-05-02 16:54:39また2.の汚泥や残土の代替についても、本来であれば粘土山から取ってこなきゃな原料を、下水汚泥や建設残土に石灰系固化材を混ぜることで成分調整し、原料コストの削減と営業外収益を得る仕組みですが、現在、汚泥については一部受入れがストップしているので、ここは気にしなくてもいいかもです。
2012-05-02 16:57:13そして3.の石灰石代替えこそが、最終処分場延命策の切り札でもある、所謂「エコセメント」です。既述の通り石灰石と焼却灰は成分が非常に似通っているため、主原料である石灰石鉱山の延命、原料コスト削減、営業外収益向上の仕組みとして、各社が積極的に導入を図ろうとしています。
2012-05-02 17:00:32但し、エコセメントには弱点があります。焼却灰には塩安が多いため、強度と耐久性に問題が出ることから、エコセメント専用のJIS規格となっており、全てのセメント代替え品としては使用できません。公共投資における建設関連費が減少基調にある昨今では、全体の10%前後しか需要は無いとのこと。
2012-05-02 17:03:09いずれにせよ、一般廃棄物処理場から排出され本来であれば最終処分場に埋め立てられるはずの焼却灰は、エコセメントとして再利用されることが出来れば、その分全てが無かったことになるのです。最終処分場とエコセメント、どちらも悪とした時に、少なくともエコセメントなら、処分場は不要となります。
2012-05-02 17:06:38さて、現在のアジェンダに話を戻しましょう。東京都多摩市を中心とする一般廃棄物処理施設は、処分場不足解消を目的に、東京たまエコセメント工場に焼却灰処理を委託し、最終処分場に処分費(5千円/m3が相場か?)を払う代わりに、エコセメント工場を運営し、セメント原料に加工しています。
2012-05-02 17:08:58僕も驚いたのですが、東京西部も1F水素爆発の影響を多分に受けているため、その焼却灰には、当然ながら100-1000bq/kg程度の放射能汚染が見られます。一般廃焼却炉の様式により多少の差こそあれ、約6割を占める主灰に若干の、約4割を占める飛灰にかなりの汚染が確認されています。
2012-05-02 17:11:56東京たまエコセメント工場では、まず主灰(焼却残渣)を、もう一度加熱炉で焼いて細かい灰にします(前処理)。そしてその灰と飛灰を合わせてもう一度焼いて、セメント原料に変えています(後処理)。通常セメントの石灰石処理も似たような余熱炉を通過させるので、基本的に同じと言えば同じです。
2012-05-02 17:14:59但し、焼却灰を焼きなおすため、後処理で出てくる排気中に含まれる不純物や重金属を回収するための湿式スクラバがついており、そこで使用される水は700L/日で、蒸発等を除くと300L/日が汚染水として出てくるのですが、これを東京たまでは場内循環させることなく下水道に流しています。
2012-05-02 17:17:37焼却灰は塩分が多いという話を覚えていますか? どうやら塩化セシウム化合物は水に溶けやすい性質を持っているようです。都の一般廃焼却炉で濃縮された塩化セシウム化合物は、東京たまで更に濃縮されて、その排水に溶出している模様です。直近では200Bq/L前後との記録があります。
2012-05-02 17:19:44水質汚濁防止法では、河川等の公共水域に放流する場合の制約が(ザル法ですが)決められており、また特措法でもCs134+137で75Bq/Lという基準が設けられています。但し下水道は公共水域に該当せず、クリアランスが無いまま、200Bq/Lが放流され続けてます。
2012-05-02 17:22:13その汚染水は、八王子の下水処理施設に流れていきます。下水処理場には1.沈砂槽、 2.沈殿・油水分離槽、 3.曝気槽、4.最終沈殿槽、5.消毒槽、といった浄化プロセスを経て自然放流(または再生水利用や地域暖房利用)されますが、この沈砂・沈殿プロセスでは汚泥が発生します。
2012-05-02 17:26:14この汚泥は、本来であればセメント工場の粘土代替え材として流用可能なはずですが、雨水等の集積により降下放射線が集積されています。また汚泥は含水比が高いため処理に困ることから、脱水して焼却することでセメント屋や産廃屋に回る。沈殿堆積した上に、焼却濃縮まで行われるので高い数値なのです。
2012-05-02 17:28:52ところが、ここで我々を混乱させる問題が出てきます。1.エコセメ排水中のセシウムは溶出するため、汚泥に堆積されていない(可能性が高い)。 2.八王子下水処理場は他にも多くの下水が入るため、希釈されて空間線量にも影響ないし、自然放流される水もN/D(1Bq/L未満)となっている。
2012-05-02 17:32:45エコセメ工場で問題を発見しても、基準が無いため75Bq/L以上で下水に放流されてしまう。下水処理場では降下放射能の問題や希釈効果により問題が発見できない。ましてや玉川上水に溶出している可能性もあるのに仮設でしかない。これが東京たまエコセメントが現在抱えている問題です。
2012-05-02 17:35:53エコセメント工場は、東京たまの他に、千葉県(市原エコ)や兵庫県(環境創造協会)、山口県(山口エコ)等も存在します。(愛媛あたりにもあったような、忘れたw) 「灰は被災地に返す」という大臣談話は、ひょっとしたらエコセメ経由で製品として返す(でもセシウムは放流)という懸念があります。
2012-05-02 17:39:29尚、最後になりますが、現時点では、セメントの代替え燃料として廃木材を受け入れる方法を取る場合、製造プロセスが違うために、この汚染水放流問題は発生しないと考えられています。これについては、既に連TWIしすぎなので、また改めて(機会があれば)書きたいと思います。以上
2012-05-02 17:40:49