ツイッター小説 お気に入りセレクト 2012/05/03

今日読んだついのべの中から個人的にお気に入りの作品を選んでみました。 ついのべ #twnovel とは140文字以内で書かれた短いお話です。
1
らし @rashi_catwillow

#twnovel 「海がみたい」と夢見るお前に、俺の返事は決まっていた。「いつか行こうな」俺はばかだ。動かなくなったお前に触れて初めて気付いた。二人で過ごせる時間の短さ、大切さに。どうすればいい?俺は、俺は…。灼熱の荒野。フンコロガシがフンコロガシを転がして、果てのない旅に出る。

2012-05-03 00:09:27
内藤みか(作家) @micanaitoh

あなたを私の部屋から追い出した。あなたの荷物があったスペースに観葉植物を置いた。あなたを私の心から追い出した。あなたを想っていた時間を、私は今、私のために使ってる。あなたはいない。わたしは自由。あんなにもあなたを好きだったはずなのに。私は今、哀しいくらい自由。 #twnovel

2012-05-03 01:10:30
☯️青山藍明&トトちゃんとラブちゃんとリズさん @rangming

黄色いバケツに何いれる?小川の水?道端に咲いた蒲公英?それとも、儚い想いがくだけたカケラ?迷ってばかりで決められないから、そうだ、君が決めてよ。お菓子もいいね。カケラと混ぜたら、黄色いマカロンが、たくさんできるよ。それでお店を開こうよ。 #twnovel

2012-05-03 01:27:32
ゆず @nanakoro8

#twnovel またその日がやってきた、「誕生日おめでとう」毎年の事ながら私は遠くの兄に向けて手紙を送る。兄は返事を寄越すことは無いが、寂しさをこらえて字を進める。ふと、手がとまり、そうだ今年はこの一文を付け加えねばならない「とうとう私も、あなたと同い年になりました、お兄さん」

2012-05-03 01:28:51
内藤みか(作家) @micanaitoh

娘がまたお皿を割った。これで何度目だろう。娘がそっと私の顔を見る。「いいのよ」。私は微笑んで許し、一緒に片付ける。夫がまた浮気をした。これで何度目だろう。夫がそっと私の顔を見る。私は微笑んで「今度やったら離婚だと言ったでしょ」と突き放す。後片付けは、自分でね。 #twnovel

2012-05-03 01:35:14
ゆず @nanakoro8

#twnovel 口を開けば「○○な男は最低」男を罵る事しか頭に無い女性が世に蔓延って数千年。その甲斐あって現代では「最高な男達」しか居なくなりましたが、女性はとんとモテなくなったそうです。皮肉な話ですが、最高な男達は女性ではなく最高な彼等同士を求めるようになってしまったのです。

2012-05-03 01:47:02
雨音 @candypeal

こぼしたビーズはきらきらと床に散らばり、輝きを増した。途方に暮れながらもそのあまりの眩しさに見惚れる。一粒摘みあげる度に何故かその輝きは私の人差し指に吸い込まれていく。全部拾い終わる頃にはすっかり深夜だったが、光を蓄えた人差し指のおかげで全く気にならなかった。 #twnovel

2012-05-03 01:52:30
min @37a_

#twnovel ペンを執った。綴り出した手紙は便箋5枚にもなった。長い月日を経て後に困って焦るあの人の顔が浮かんで思わずニヤける。少し躊躇って…未来郵便箱へ投函した。汽笛を鳴らす夜汽車に飛び乗って私は此所を発つ。厳重に封をした本音は、縁があれば何時かあの人の元へ届くのでしょう。

2012-05-03 06:26:14
ろばたにスエノ🦀 @robatani

十六体の乙女像が地上をならし、神々と人が文明を再び築いてどれ程経っただろう。乙女像に因んで十六星と呼ばれた大都市群も、「時」に敗北しもはや五つを残すのみ。全ての灯りが消える日まで、制御盤を操り、崩壊との戦いを続ける最後の女神。諸都市の亡霊に囲まれて。 #twnovel #創作都市

2012-05-03 07:29:46
@kin_san_worm

女の子だった。4歳になってもおぶって連れ歩くほど育ちの遅い子だった。「母ちゃん、木蓮の花の中になにか居る」と、背中からその子が言った。初めての言葉がやけに明瞭なのに驚いた。ぽとりと落ちた木蓮の花には、小さな鳥が囚われている。戦争が始まるよ、と娘は続けるのだった。 #twnovel

2012-05-03 09:29:54
七歩 @naholograph

電子書籍化?そんなの困るわ。だって本って飾りでしょ?よさげな本を棚に並べて知性やセンスをドーピング。見せびらかせなきゃ意味ないわ。#twnovel そんな貴方にお薦めです。電子書棚投影機。貴方がお持ちの電子書棚をお部屋の壁に映します。場所も全くとりません。今なら書棚着せ替え付き!

2012-05-03 11:55:57
すわぞ @suwazo

#twnovel 三百年続く老舗の焼鳥屋。「もうお前に教えることは何もねぇな。この店はお前に任せる」ついに祖父はそう言って、笑顔で壷の中へ入っていった。代々継ぎ足され受け継がれてきた秘伝のタレの入った壷。その夜だけは壷に寄り添って眠った。明日からは私が店主だ。頑張るよお爺ちゃん。

2012-05-03 15:49:08
銭喰 @zeniqui

#twnovel 天国の住人となった者達が暇つぶしに悪行自慢をしていた。窃盗だ暴行だのと些細な悪行が並べられ最後に生前は聖人と呼ばれた男の番となった。「私は魂の牢獄に繋がれたいた頃、何度も妊婦の腹を蹴ったことがある」あまりの悪行に一同息を飲んだが、意味を理解すると己の行動を恥じた

2012-05-03 15:49:51
miecha @miechorz

#twnovel ある小説家は言葉の海に溺死した。別の小説家は言葉が詰まって窒息死した。更に、心無い言葉に傷つき致命傷を負った小説家も現れた。しかし第三者では死因を特定できなかっため、彼らは自殺と断定されてしまった。

2012-05-03 18:41:59
日向日影🍊📖@文化系物書きVtuber(HUB) @hyuugahikage

#twnovel 透明な花火を作る職人がいた。今日も夜空に打ち上げる。音さえしないその芸術は誰にも気づかれない。もしあなたが不意に火薬の匂いを感じたり、急にもう夏だなぁと思ったり、何もないのに不思議とときめいたりした時、あなたの眼前には透明な花火があがっているのかもしれない。

2012-05-03 19:46:29
おぼろちゃん @oboroose

#twnovel 国王直属の電波監察官が各家庭を訪問している。目的は一つ、ラジオである。民衆の数少ない娯楽であり情報源であるラジオが本当に正しい放送をしているのか確かめる。というのも、自我に目覚めたラジオは、受信した電波を加工し、おのれの思想にあった内容へと改変してしまうからだ。

2012-05-03 21:33:51
layback @laybacks

息子と野球場を訪れた。社会人のチームが試合をしている。観客席は疎らだ。おおかた会社関係者や選手の家族といったところだろう。青いユニフォームを着たチームの投手がこっぴどく打ち込まれていた。息子が言う。「あれならママの投げるお皿のほうが速いね」「ああ。その通りだな」 #twnovel

2012-05-03 22:23:41
雨音 @candypeal

猫になって数ヶ月。気高さと孤独さに憧れて転種したが、逆に甘やかされてすっかり太ってしまった。特に、片思いだったあの子が毎日のようにご飯をくれるのが嬉しい。重い体で歩いていると、痩せた先輩猫が煮干しを投げつけ猫を舐めるなと怒鳴ってくる。ああ、額を撫でてあげたい。 #twnovel

2012-05-03 23:02:51
おぼろちゃん @oboroose

#twnovel 物語国は終末をむかえている。「どんなに複雑な問題でも単純な解決策がある」物語で育ったこの国の人々はそう信じている。滅亡回避の単純な方法が見つからないのは、きっと難しく考えすぎているからだ。人々は子どもの心を思い出すために、崩壊する空の下、ブランコに揺られている。

2012-05-03 23:11:03
@K_Ichida

#twnovel 君の不在は鋭いナイフとなって僕を小さな肉片に分ける。神経をむき出し、血と痛みにまみれて僕は肉片のまま走り出す。長い旅の果てに君を見つけた僕は言う。「やあ」「あら、不思議な姿をしているのね」「君のために身だしなみに気をつけるようになったのさ」

2012-05-03 23:43:55