丸山天寿先生の「仕掛けのある本・ミステリー編」

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丸山天寿 @tenjumaruyama

さて日曜日のお遊び。黄金週間の最終日。読書三昧の方も多かったのでは。たまには古本屋らしい話を。電子書籍が徐々に普及している。それはそれで便利だし、必要があるとは思うだが、紙の本にはそれとはまた違った楽しみがある。本日のお題は「仕掛けのある本・ミステリー編」。文中敬称略→

2012-05-06 08:18:58
丸山天寿 @tenjumaruyama

「私説博物誌」-筒井康隆。新潮社。最初はミステリーではないが筒井先生なので。一見普通の本だが、実はアンカット・フランス本。ペーパーナイフで、新しいページをカットして、わくわくしながら読み進む。当店の客の一人は2冊買い、片方だけを読み1冊を保存していた。一度に2冊売れる羨ましい本→

2012-05-06 08:21:16
丸山天寿 @tenjumaruyama

「SF大将」-とり・みき。早川書房。作品としては海外SFのパロディー本だが、本の作り方がミステリー。本の中にまた本があり、その中にも本があるという「入れ子構造」になっている。しかも一番内側の本が一番外側の本と同じ内容になっている、めまいのするような本。漫画家ならではの本である→

2012-05-06 08:22:44
丸山天寿 @tenjumaruyama

「倒錯の帰結 首吊り島 監禁者」-折原一。講談社。ミステリー作家の私が首吊り島に訪れ奇怪な密室事件に遭遇するが本の裏から別の話が書かれている。それは「アパートの一室に監禁されてミステリーを書かされている作家」の話。二つの話が中央にある「倒錯の帰結(袋とじ)」で出会う。凝った作り→

2012-05-06 08:24:12
丸山天寿 @tenjumaruyama

「遭難者」-折原一。実業の日本社。前記「倒錯の帰結」も凝った本だが、これもまた凄い。折原先生らしい凝りよう。遭難した山男を偲ぶ追悼文集と、その補遺として編まれたもう一冊の文集からなる異色ミステリー。登山記録から死亡診断書まで含まれている。箱入り二冊組。角川文庫からも出ている。→

2012-05-06 08:26:21
丸山天寿 @tenjumaruyama

「マイアミ沖殺人事件」-デニス・ホイトリー。中央公論社。作者は怪奇小説も書いているが、この本は実際の調書形式で書かれている(1930年代には珍しい)。作中に髪の毛などの「証拠物件」が挿入されているのがミソ。入手が大変に困難。中央文庫で復刻されたが、「証拠物件」は挿入されていない→

2012-05-06 08:27:43
丸山天寿 @tenjumaruyama

「十三人目の名探偵」-山口雅也。当時、流行したゲームブックの形で書かれたミステリー。読者の選択肢によってストーリーが変化する、という凝った作品。JICC出版局から出された。その後、「十三人目の探偵士」として東京創元社から復刻されたが、こちらはまた違う形式になっていて楽しい→

2012-05-06 08:29:24
丸山天寿 @tenjumaruyama

「生者と死者」-泡坂妻夫。新潮文庫。数ある袋閉じミステリー本の中でも最高傑作(と思う)。短編の袋閉じを開くと長編が現れる仕掛け。驚かされる。袋閉じには他にも、一編毎に袋閉じ解答編がついている「あなたが名探偵・講談社」や「どちらが彼女を殺した・東野圭吾・講談社」等楽しい本もある→

2012-05-06 08:30:49
丸山天寿 @tenjumaruyama

「秘文字」-泡坂妻夫、中井英夫、日影丈吉。社会思想社。難易度の最も高いと思われる暗号ミステリー。三氏の短編が一遍ずつ書かれているが、暗号で書かれているからそれを解かないと読めないという凝りよう。付録としてつけられた解説を読んで初めて内容が分かるという面白くも恐ろしい本である。→

2012-05-06 08:32:56
丸山天寿 @tenjumaruyama

私は古本屋だから様々な本を扱う。紙の本は物語の内容だけではなく、本自体の作り方でも楽しめる。これらの本を収集するのも楽しいし、(値段ははるが)、古本屋としても大変に嬉しい。今日、紹介したのはほんの一部。入手困難な本が多い(私も現物を見ていない物がある)が、捜しだす喜びもある 了

2012-05-06 08:35:05
木谷百里 @330could

@tenjumaruyama 今はほとんどつくられることはありませんが、化粧箱入りの本には憧れます。そのつくりを、まじまじと見てしまいますね。

2012-05-06 08:37:19
丸山天寿 @tenjumaruyama

@330could  お早う御座います。電子書籍もそれなりに良いと思いますが、美しい本には、内容以上の魅力を感じることもあります。素晴らしいつくりの本に出会うと、古本屋になって良かったと思います。

2012-05-06 08:43:23
木谷百里 @330could

@tenjumaruyama おっしゃる通りですね。本はつくりにも、大きな魅力を感じますから…。最近は、紙の匂いがする本も少なくなりました。

2012-05-06 08:46:46
SAKATAM @youmoutei

@tenjumaruyama 楽しい本をご紹介ありがとうございました。知ってるけど見たことがないものもあれば、知らないものもあり、面白かったです。私も思いついたので一つ、鯨統一郎『パラドックス学園』を。頁の隅にパラパラ漫画がついている(しかもそれが本筋に関係ある)という怪作です。

2012-05-06 08:40:59
丸山天寿 @tenjumaruyama

@youmoutei  お早う御座います。情報有難う御座います。鯨先生の本を書き落すとは、恥ずかしい限りです。他にもありますので、機会を見て呟こうと思います。

2012-05-06 08:45:35
ていおー @nteio

@tenjumaruyama おはようございます。本日は「本の作り」というツイートでしたが、「本の中に本がある」というものでは恩田陸の「三月は深き紅の縁を」というものもあります。本の中に、同一書名の本が出てきます。ご存知かもしれませんが、こういう場で紹介して頂けると嬉しいです。

2012-05-06 08:45:03
丸山天寿 @tenjumaruyama

@nteio  お早う御座います。情報有難う御座います。恩田先生の本を書きおとしてしまいました。すみませんでした。次の機会には加えようと思います。

2012-05-06 08:47:55
ていおー @nteio

@tenjumaruyama ありがとうございます。恩田先生の本は、読めば読むほどという、スルメのような味わい方の出来る貴重な本だと思っています。一読者として、恩田先生の本が一層広がることを期待してます。

2012-05-06 08:54:47