ツイッター小説 お気に入りセレクト 2012/05/14 (ついのべの日！)

pesipesi777 @pesipesi777

よるの底、夜陰の日溜りにねこをみつけた。白・黒・茶、三色の背中いっぱいに陽をうけ、きもち良さそうに昼寝をしている。時折鼻のあたりををひくひく細かく震わせる。ながいひげがつられて揺れた。何か夢をみているのかも知れない。　しばらくみていたが、猫の夢はわからなかった。 #twnovel

竹田康一郎 @tahtaunwa

#twnvday 空から恋石が落ちてきた。恋石は繁殖期の宝虫♂が♀に贈る石で、大きな石を贈る♂ほど♀にもてるから必死に石を運ぶ。運ぶ途中で過労死する♂もいる。だから時々、恋石が落ちてくる。それを拾い集め、昆虫学者に売って儲ける俺。その金で彼女に指輪を買うつもりだ。#twnovel

ろばたにスエノ🦀 @robatani

空から恋石が落ちて来た。大体の恋石が淋しさを理由に落ちて来る。記録に残る中で最大の恋石は超古代文明で有名な某大陸を見事沈めたが、殆どは落下中に熱意を失い小石サイズまで擦り切れるか灰になるかのどちらかだ。地上の恋石が完璧な形で見つかるのは希である。#twnovel #twnvday

工房径（koubou-kei） @pleaseinuplease

#twnovel もうすぐ君の誕生日。できるなら、ひらり、ツバメのように初夏の空を切り取って、プレゼントを包みたい。さあ、何が欲しい？　早咲きの薔薇？　新刊のミステリ？　誕生石のピアス？　君はちっちっ、と舌打ちして。「そういうときは『ワ・タ・シ』でしょ」おい、それは男の台詞だろ。

しーな@GO2完走 @xsheeenax

空から恋石が落ちてきた。 #twnvday 遥か遠くの星から渾身の力で投げられたそれは、まっすぐソラを突っ切って。長い旅の間に磨り減ったけれど、恋の力はそのままで、古びた首輪をぶら下げた野良犬のぼさぼさ毛並みにぽすんと着地した。老犬はまだ見ぬ異星に思いを馳せる。 #twnovel

miecha @miechorz

#twnovel 空からはしごが降りてきた。身ひとつで上れば天国が見えるという。有名な冒険家がはしごに足をかけた。一万、二万と歩を重ねて気付く、はしごでは休めず戻るには遠すぎると。頭上にははしごが続く……やがて冒険家は力尽き虚空に身を踊らせた。彼の行く先には天国が広がっている。

hypo- @hypohyphen

#twnovel わしは空に行ったんじゃ。そして種を蒔いてきた。あの蔦が十分育ったら、皆わしの偉大さを知るじゃろう。それが爺ちゃんの口癖だった。ある日、空から垂れ下がっている蔦を見つけた。爺ちゃんの言ったことは本当だった。興奮して蔦を引っ張る。とたん、ぷつん。太陽の光が消えた。

しーな@GO2完走 @xsheeenax

空から恋石が落ちてきた。 #twnvday 避けることなく一身に石つぶてを浴びている。痛い。でも、俺は愛も恋も知らないから。誰かの恋のカタマリを受けたらあんたでも少しはわかるんじゃないのって彼女が笑って言うから。痛い。痛い。苦しい。なぁ、恋ってこんなに痛いのか。 #twnovel

瀬口 @an2a_09

空から恋石が落ちてきた。 #twnvday どすん、どすんと音がする。重たい想いが詰まってるみたい。僕はそれを慎重に避ける。受け止められやしないのに、手を出したらおしまいだ。そう思ってたはずなのに。細かく砕いて風に流された君の恋意思をこんなに切なく感じるなんて。 #twnovel

瀬口 @an2a_09

海は空に憧れていました。「あなたは素敵ね、空さん。生き物は皆あなたに焦がれてるわ。いつも見上げて恋しく思うの。」空は海に返しました。「あなたも素敵よ、海さん。生き物は皆あなたから生まれたのだもの。」沈む夕陽を一緒に眺めて、一緒に頬を染めました。 #twnvday #twnovel

N.T.Works/凪司工房＠介護生活中 @nagi_tter

#twnovel 今日子さんは失踪する。「探さないで下さい。きょうこ」と置き手紙をして。僕が彼女の母親に「友達です」と言ったのが気に障ったみたいだ。僕は一人夕食を食べる。昨日のカレーを温めて。開かずの間のドアが何度か叩かれたが気のせいだ。「どうして探さないの！」「カレー食べる？」

セノにゃん @ceno_sougou

古代、あの世は海や山や河の向こうにあった。中世、人々があちこちを旅するようになったため、神はあの世を天空と地底に移した。現代、人々が上空と地下を探り始めたので、またあの世を移動させる必要が出てきた。次に選ばれた場所は過去と未来。こうしてあの世は現代から消えた。 #twnovel

ふじの @fujino0

空から恋石が落ちて来た。 #twnvday 「恋水じゃなくて？」と尋ねる貴方に、私は首を振った。恋の為に流す涙なんて、空はきっと持っていない。「水じゃなくて石なの」薄桃色の塊はひんやりと掌に心地良い。「じゃあこれは、恋そのものなのかな」綺麗で冷たい、丸い塊。 #twnovel

ヨシムラ @ortk

空から恋石が落ち て来た。 #twnvday 「しまった！」キューピッドは青ざめた。今年の分の石をまとめてバラ撒いてしまったのだ。無数の石は夜空に尾を引いて、聖なる夜に流星群を見た二人が結ばれると言う伝説になった。ほら。今夜も。「なあ、流星群、見に行かないか？」 #twnovel

Tsu mado @xxassydow

#twnovel #twnvday スマホを握り、誰もが手元を見ている。子供だけは車窓の景色を喜び、橙から青、その端の紫から濃紺に変わる空を見ていた。「ママ、キレイだよ」小さく訴える。ママはスマホを凝視して何も答えなかった。画面には夕焼けの写真。本当の空は、首を回した向こう側に。

浮世堂 @ukiyo_do

猫は気象予報士だ。生まれた時からそうだった。白かったからだは空を見るたびに模様がふえ、いつしか空色になった。猫はこのヴァニラスカイの模様を気に入っている。いずれ来る嵐と、その後の快晴を待ちわびながら、今日も猫は空を見る。 #twnvday #twnovel

Wanda @th_fall

悲鳴の後で降って来たのは大量のこんぺいとう。砂糖菓子まみれで立ち止まり、犯人を睨み上げる。「ごめんなさい！」校舎の外階段を落ちるようにやって来たのは、砂糖菓子よりも甘そうな女子だった。 #twnovel

DRY GIN @BIRDBIRDBIRD7

#twnovel 殿様蛙が目をぎょろつかせながら、「そこの雨蛙！貴様の泳ぎ方はなっとらん。この池で泳げなくするぞ！」などと脅しております。怯えた雨蛙は溺れてしまいました。「何て奴だ！蛙が溺れるとは！」。雨蛙は透き通るほど青くなって叱られておりますと、突然、白蛇に姿を変えたのです。

竹田康一郎 @tahtaunwa

#twnvday 空から恋石が落ちてきた。恋石は弓を使うほど進化していない始祖天使のアイテム。恋石に当たった者は原始的な恋に落ちるという。私は、これを拾って草食系の彼に投げつけた。でも、ちょっと力を入れすぎたみたい。今は救急車を待っているところ。#twnovel

南雲風花 @nagumohuuka

#twnvday　空から大きな石が降ってきた　その石はあまりにも大きくて　逃げ場がなかった　あっという間に　石の下敷きになった私は　思わず叫んだ　「恋って、こんなに重いものなの！！」　＃twnovel

☀️うに燦✹ @uni_16

空から恋石が落ちて来た。 #twnvday それは対象の頭蓋を貫く恋の呪い。恋石は脳に食い込み融合し、宿主の恋愛感情を支配する。外科手術で摘出することは不可能であるし、そう望むこともできはしない。送り主の熱が醒めるまで、呪いの楔は輝き続ける。#twnovel

南雲風花 @nagumohuuka

#twnvday 空から降ってきた「恋石」に　もろくも下敷きになってしまった私　どうしよう　胸の奥がズーンと痛い　胃もキリキリする　彼以外の事が考えられない　脳みそまで支配された　でもこの苦しみが消化　いや昇華されれば　世にも美しい「恋花」が咲くという伝説がある #twnovel

wacpre @wacpre

#twnvday どれだけ多くの人が綺麗な青色だと言おうとも、今の私にはそうは見えない。どれだけ雲が多くても、二人だと綺麗だと思えてたのに。そうか、私のココロを写す鏡なんだね。目を拭って深呼吸。見上げてみると、さっきよりも少しだけ明るい色に見えた。 #twnovel

wacpre @wacpre

空から恋石が落ちて来た。 #twnvday 違う、これでもない。すぐに道端に捨ててしまう。ずっと私に合うものを探しているのに、いつもハズレばかり。いったい何時になったら相応しいのが落ちてくるのかしら。早くしないと、こっちから探しに行ってやるんだから。 #twnovel

@m_iseki

#twnovel 五年前には笑うことのなかった彼が今はよく笑うので「どうしたの？」とたずねると「お金を払って要らないものを捨ててもらったんだ」と微笑んだ。 戸棚を見ると五年前にはあったはずの私との日々の記録ばかりがすっかりなくなっていた。 彼が笑う。 「ところで君は誰？」