NHK・クローズアップ現代「シリーズ沖縄復帰40年②“基地と金”の深層」書き起こし・ほぼ完全版 #nhk
- toshihiro36
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<ナレーション> これ以降、基地に関連する新たな振興策が次々と立ちあげられ、多額の予算が沖縄に投入されました。 基地がある嘉手納町に整備された公共施設。入口に住民たちが作ったレリーフがあります。振興策にかかわった政府関係者が飾られているのです。
2012-05-15 21:29:51<ナレーション> その一人、岡本行夫さんです。首相補佐官として各市町村の要望を聞きながら、配分される金額の調整などにあたっていました。
2012-05-15 21:33:54岡本:沖縄の市町村長たちは非常に堅実で立派な考え方をする人たちですね。我々は出来る限りのことをすべきではないか。それには何でもお金がかかるわけですから。
2012-05-15 21:37:32<ナレーション>当時の振興策ではいわゆる箱モノなど、すぐに目に見える成果が重視されていたと証言する人もいます。内閣府の官僚として沖縄の振興策にかかわっていた樋渡啓祐さんです。
2012-05-15 21:42:35樋渡:「早く形を見せようよ」って。「基地の返還をスムーズにしようよ」「移設をスムーズにしようよ」と。僕は真横で聞いたこともあります。「形を見せれば沖縄の人たちはうんといってくれるよ」って。
2012-05-15 21:46:33前宜野座村長・浦崎:各市町村「今だ」という感じがあったと思います。みんな「取り勝負」と言ったら語弊があるんですけど、事業採択に向けて、させるために一生懸命でしたからね。
2012-05-15 21:52:49<ナレーション> しかし振興策で作られた施設の中には、自治体の大きな負担になっているケースも出ています。宜野座村に10年前21億円かけて建設された、海水を使った入浴施設です。アジア最大級を謳いオープンしましたが、利用者の多くは地元のお年寄りで累積赤字は1億5千万円に上ります。
2012-05-15 21:58:42野中広務:何のために沖縄県民をこのような形にしてしまったんだ。沖縄県民の中にも「もらわにゃ損だ」「この時に取っとけ」「この時やっとけ」という気持ちを常に大きくしてしまったと。やっぱり政治が悪かったんだと。
2012-05-15 22:08:09前宜野座村長・浦崎:「沖縄にはお金を与えていけばOKするよ」という雰囲気を作らせてしまったのは沖縄かもしれませんけど、でも「沖縄をこんな状況にさせたのは誰だ」と言いたい気持ちでいるんですけどね。「自立」いい言葉ですけど、見いだせきれない。
2012-05-15 22:14:29VTR終わり
国谷:今日は沖縄の政治と振興策についてたいへんお詳しい早稲田大学教授、江上能義さんにお越しいただきました。江上さんは昭和52年、復帰5年目の沖縄で25年間琉球大学で教鞭をとられまして、沖縄の変化をつぶさに見てこられました。
2012-05-15 22:21:15国谷:自立を求めていた自治体が、今のVTRにありましたように政府の振興策に飛びついて、箱モノが次々と作られ、結果として振興策に依存する経済構造が生まれていった。40年経った今の沖縄経済の構図っていうのを、どう読み解かれますか?
2012-05-15 22:25:14江上:沖縄は復帰前、基地経済といわれまして基地に依存する経済だったのを脱却するために、沖縄の自立経済を構築するために日本政府に要望しまして、振興計画をこれまで40年間続けてきました。そういう意味ではインフラが整備されまして、経済発展の基盤が整備されたんですけども。
2012-05-15 22:31:08江上:しかし、それが40年も経っても公共工事が継続され続けて、沖縄県の国に対する財政依存度は約40%と。他府県の20数%と比べてはるかに多い依存度で。公共投資という自立の基盤を作るためのものが、依存体質を深めたというところでゆがんだ構造になっていると思います。
2012-05-15 22:37:59江上:基地から得られる収入は、かつての15%くらいから5%くらいまで下がりまして、非常に少なくなりました。結局、基地があるがゆえに公共投資が今日まで続けられてきて、財政依存度が高まったと。それは国にとってはアメリカ軍の基地を沖縄に維持するためには都合のいい部分もあったと思う。
2012-05-15 22:48:03国谷:基地に依存する経済構造。自治体の中でも、巨額の振興策を受け取ってきたのが普天間基地の移設先とされます名護市です。2年前、名護市には移設に反対する市長が誕生し、今後は地域が自立した経済発展を目指したいとしているんですけれども。
2012-05-15 22:53:06VTRが流れます
<ナレーション> 普天間基地の移設に強く反対する名護市の稲嶺市長。しかしその稲嶺市長、今ある基地の返還は求めていません。跡地の利用が難しいとして、一部の基地を返還しないよう国に要望書を提出しています。背景には住民の生活の隅々にまで入り込む、軍用地料の存在があります。
2012-05-15 23:00:49<ナレーション> 名護市きせ(?)区の自治会長、幸地常一さんです。この地区はアメリカ軍が土地を利用する見返りに、年間3800万円を受け取っています。長年、祭りやスポーツ大会などさまざまな行事、さらには簡易水道の整備にまで軍用地料を充ててきました。
2012-05-15 23:07:21幸地:結局、軍用地料が入ってこれまでやってきてるから、これがなくなると一からやり直さんといかんから。それを考えると「継続してほしい」としか言えないよ。
2012-05-15 23:11:59