NHK・クローズアップ現代「あなたの町は守れるか~消防団の危機~」書き起こし・ほぼ完全版 #nhk
- toshihiro36
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<ナレーション> 櫻井さんは津波が来る直前、消防車を飛び降り近くのビルに逃げ込みました。しかし、ギリギリまで活動を続けた2人の消防団員が犠牲になりました。
2012-05-17 06:31:38櫻井:人を逃がさなくてはいけない、自分が助けなければならないというのが消防団だと思っているから。市民の財産と生命を守らなくてはならない。自分だけ逃げるわけにはいかなかったですね、立場上。
2012-05-17 06:35:04スタジオに戻ります
国谷:今夜は国の消防団活動の安全に関する検討会のメンバーでいらっしゃいます、環境防災総合政策研究機構の理事・松尾一郎さんにお越しいただきました。危険な地域にとどまった方、あるいは地域に戻っていかれた方。使命感の強さを改めて感じさせられますけれども。
2012-05-17 06:43:09松尾:そうですね、254という数字ですが…私は犠牲になった方々の思いを聞くことができません。ですがやはり多くの方が、「こんなはずではなかった」と思って活動の中で犠牲になったんじゃないかと思っています。
2012-05-17 06:49:18松尾:あの時は多くの市民は、大きな揺れと同時に避難されているんです。高台へ行ったりとか、安全な避難所に移動したりとか。消防団はそれとは逆方向に海岸へ向かって、津波に向かって行ったんです。そういうことを考えた時に、いろんな行動の中で…実は防潮堤にはゲートや水門があります。
2012-05-17 06:56:26松尾:そういう施設を操作したり、避難の誘導をしたり、避難の呼び掛けをしたり、救助・救護をしたり…さまざまな活動を津波が来る30分・1時間のなかでやっているわけです。平日の昼間の地震でしたから、地元にいた団員の方というのは非常に限られた。そこも課題だった。
2012-05-17 07:01:20松尾:活動中に無線が使えなかった、あるいは携帯電話も使えなかった。そういうなかで行動中の一部の団員は、近くに津波が来ている状況を理解しないで巻き込まれた方もいたのではないかと思っています。今後いろんな安全対策など、消防団員の不安を解消する仕組みが必要になるのかなと考えている。
2012-05-17 07:06:33国谷:仕事で戻ってこられない方が多かったなかで、あまりにも多くの任務を担われた。そしてあまりにも団員の安全確保に向けた態勢が十分ではなかった。こういうことを浮かび上がらせたということですね。
2012-05-17 08:46:35VTRが流れます
<ナレーション> あの日から1年、いま消防団はどのような状況におかれているのか。アンケートからは、新たな危機に直面している実態が浮かび上がってきました。9割を超える消防団が「活動の維持・継続に不安がある」と答えたのです。
2012-05-17 08:53:08<ナレーション> その最も大きな原因は団員の減少です。震災で最も大きな被害を受けた宮城県石巻市。4年間消防団員をしてきた柴田滋紀さんです。震災後、消防団をやめました。柴田さんは消防車で避難を呼び掛けているさなか、津波に襲われました。
2012-05-17 08:58:11柴田:もともと人のためにとか役に立ちたいという気持ちはありますけど、まず自分を守る、自分の家族を守るというか。それがあって、地域だったりとかのお役にたてるんじゃないのかなと思いますね。
2012-05-17 09:05:35<ナレーション> 石巻市の消防団員はおよそ2100人。そのうち、わかっているだけで102人が消防団をやめました。被災地で最も多い数です。団員の減少に歯止めがかからない事態に、消防団の幹部からは不安の声が相次いでいます。
2012-05-17 09:09:47会議の発言:「こないだまでに3名の退団者が出て、きょう月浦班全員やめるということで9名の退団届けを持ってきて・・・」 「いま(団員が)仮設に散らばっている状態で、急遽の(災害の)場合は集まりにくい」
2012-05-17 09:14:28<ナレーション> すでに災害現場でも大きな影響が出始めています。去年、被災地で頻発した瓦礫火災。9月には1週間にわたって燃え続ける大規模な火災が発生しました。しかし団員が集まらず、消火活動は困難を極めました。深刻さを増す地域防災の現状を石巻市はどうとらえているのでしょうか。
2012-05-17 09:19:38石巻市・二上洋介課長:まだ復旧部分のさまざまな事業がございまして、その中での重点課題として取り組んではいるんですが…スピードに関しては、まだまだ現場の消防団の要望に応えられていない部分も否めません。
2012-05-17 09:24:23<ナレーション> 対策が遅れるなか、存続の危機に立たされている消防団もあります。石巻の中心部を管轄する消防団。13人の団員がいますが、震災以降活動ができずにいます。
2012-05-17 09:28:31会合での発言:「実際に火事現場に行って、着る服もない」「着る服もなければ、消す道具もないですからね」「だいたい俺たち(の状況)は特別だから…車もない(分団の)小屋もない、何もないんだからさ。活動といったって、そう簡単にはいかないわな」
2012-05-17 09:33:05<ナレーション> 消防車や施設などすべてを津波に流されました。1年が経ったいまも、復旧のメドすら立っていません。分団長の濱谷勝美さんです。消防団をやめないよう、必死に説得を続けています。
2012-05-17 09:37:27