集団遺伝学の新概念と外国の童話(Goldilocksと三匹のクマ)
現在研究内容が大幅に変わるために、ヒトゲノムについて様々勉強中である。若いころに勉強した分野だが、その後の技術的進展には隔世の感がある。特に多型については疾病との関連について相当研究の蓄積があるため、浦島太郎状態である(続く)。
2012-05-21 14:54:22(多型と童話1)先ほど、浦島太郎という日本の童話で、私自身の情報の遅れを表現したが、疾病関連遺伝子探索のための分子遺伝学の分野ではGoldilocks変異という言葉がある。
2012-05-21 14:55:49(多型と童話2)このGoldilocks変異というのは、アレルの頻度が0.5%~2%の中間的な希少変異のことである。この程度の変異だと数千人規模のゲノムワイド関連解析で、疾病と相関すると統計学的に有意に出る一方、すぐには集団から除外されない有害変異である可能性がある。
2012-05-21 14:59:27(多型と童話3)このGoldilocksというのはアメリカの童話の主人公の、金髪の少女である。Goldilocksは、朝食前に一家で散歩に出かけたクマの家に家宅侵入し、彼らが用意した朝食を勝手に食べ、椅子を壊し、最後には彼らのベッドで勝手に二度寝する。
2012-05-21 15:01:33(多型と童話4)最後に散歩からクマが帰ってきたら、家の惨状と金髪のGoldilocksを発見する。朝食を食べ散らかされて嘆くクマ一家をしり目にGoldilocksはそのまま逃亡しておしまい、という日本人の倫理感からは到底受け入れられない話である。
2012-05-21 15:03:27(多型と童話5)ところで、なぜこのとんでもないGoldilocksが疾病関連遺伝子探索のところで出てくるかだが、彼女はクマ一家の人数分用意されている食事やベッドについて、常に中間のものを選ぶのである。熱すぎず、冷たすぎず、硬すぎず、柔らかすぎず、という感じである。
2012-05-21 15:05:17(多型と童話6)遺伝子ハンターの立場に立った集団遺伝学で考えると、疾病に強く関与する遺伝子は自然淘汰の対象になりやすく、集団には残りにくい。かといってあまりにも弱い関与ではせっかく探索したのに費用対効果比が低くなってしまう。
2012-05-21 15:08:05(多型と童話7)そこで、常に中庸を選びながら悪事を働く少女Goldilocksはまさに疾病遺伝子ハンターの標的なのだ。実にうまいネーミングである。
2012-05-21 15:09:34(多型と童話8)ただ、残念なのはこのGoldilocksの話が日本人には童話として到底受け入れられないような内容であるため、日本人にはまったく知られていないことだ。日本人でもある程度わかる逸話で、中間を好む、というか中間であることが大事、みたいなものを募集します。
2012-05-21 15:12:14@raota 日本語訳ですか?私は留学先のアメリカで、子ども用に手に入れた本でした。子どもに説明しながら内容を読んだときにあまりの倫理観のなさに呆然としたものです。だって、クマ全然悪くないよ。native americanから略奪したのと同じか?と思ってしまいました。
2012-05-21 15:15:15@jyasuda1 日本語訳では「3びきのくま」という題がついてました.子供ながらに女の子ひどい奴やと思ったもんです(笑)熊の親子は家中引っ掻き回されて..どういう意図のお話だったんでしょうね.
2012-05-21 15:18:16@raota 一つは子供を楽しませるだけということですが、逆にこれではよくないよね、と問題提起するという側面も期待されているのだと思います。
2012-05-21 15:31:40(多型と童話9)日本人にはサルかに合戦や桃太郎、舌切り雀のような勧善懲悪、因果応報、白か黒かみたいな話が多い。舌切り雀にしても中間のサイズのつづらがあって、おじいさんがそれを選んでくれれば舌切り雀変異とか言えたのだが。
2012-05-21 15:35:39@jyasuda1 @raota 『3びきのくま』はよく読まれているのでは?Goldilocksといえばpolvoronを思い出してしまう私はオヤジかも。http://t.co/mzyMZhkJ
2012-05-21 15:45:32@MoriiY @raota では若い人向けにはある程度通じるのかもしれませんね。英語も含め、もっといい表現を提唱したほうが良いのかもしれません。なぜそれにしてもフィリピンのお店で売っているスペインのお菓子がオヤジなんですか?
2012-05-21 16:01:28@MoriiY @raota そうなのか・・・学会でセブ島に一回行ったことあるだけですが、いいところでしたよ(ホテルしか知らないし)。
2012-05-21 16:15:26@raota @jyasuda1 日本の絵本だと一番小さいのを選ぶようなので、ちょっとわかりにくいネーミングかも知れませんね。http://t.co/88Px6dRG
2012-05-21 16:15:57@MoriiY @raota 成程、小さいのがちょうどいい、というのが本当かも知れませんね。記憶ではちょうどいいのを選ぶというのを繰り返すのでした。
2012-05-21 16:20:21@jyasuda1 @MoriiY これ見て思い出しました.うちにあったのはほるぷ出版の本で,女の子の名前はキャンディでした.性格の悪そうな女の子だった(笑)
2012-05-21 16:22:42@MoriiY @raota 私の読み取った「中間」はサイズではなく程度でしたね。私が作った舌切り雀の話は適切ではないと思います。いずれ日本の民話などでは類例がないので、考えないと。http://t.co/oJWMw6oh
2012-05-21 16:39:52