ツイッター小説 お気に入りセレクト 2012/05/23 (キスの日)

@Hiyoko_T

＃twnovel 「またつけた」合わせ鏡に背中を映して君が零す。「他のところだとすぐに蒸しタオルをあてるだろう？」キスマークをつけられるのを嫌がる彼女の背中に紅い華。そこは彼女一人では消せない場所。好きをくれても愛してるをくれない君だからせめて所有を印す確認のキスを。 #キスの日

とおる7th @windcreator

祖父は笑顔で逝った。駆け付けた子どもたちも、僕を含む孫たちも、まったく実感が湧かないままだった。危篤なんて、「家族の顔が見たい」っていう言い訳なんだと、皆で昨日も飲み明かしてた。早朝、ばあちゃんがじいちゃんに最期のキスをした。僕だけが、傍で見てた。恋する二人を。 #twnovel

夢名 七志 @mumei7c

深夜。階下から男女が言い争う声で目が覚めた。子供の声までしている。翌朝、しっかりと目覚めてみれば、安普請な二階建てのアパートでも、一階に住んでいるのである。大家に話せば、当然のように「昔は三階建てだったからな」と語る。そして「もうすぐ平屋になるから我慢しろ」と。 #twnovel

橘　颯 @so__w

気怠い溜息は窓硝子を乳色に染めては、涙滴にも似た雫を結ぶ。数えて既に五つ。幸福が逃げる事を懼れぬのかと揶揄する男に、丹花は艶やかに囁く。――内に何かを仕舞おうと思えば、何かを出さなきゃいけないのさね。婦の内から弾き出された物を問う事もせず、男は己の吐息を捩込む。 #twnovel

楠樹 暖 @kusunokidan

#twnovel 彼女とのファーストキスから一ヶ月、彼女が入院してしまった。伝染性単核球症、通称キス病という病気だ。その名の通り経口感染で伝染する。それからしばらくすると、彼女が出来たと言っていたクラスの男子達が軒並みキス病で入院し始めた。まさか……。彼女がニッコリと微笑んだ。