クローズアップ現代「眠れる熱エネルギーを活用せよ」書き起こし・ほぼ完全版 #nhk
- toshihiro36
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冒頭のVTR
<ナレーション> ズラリと立ち並んだ工場の施設。特殊なカメラで見ると、熱を出している高温の部分が赤く浮かび上がります。町中でも空調の室外機など、あちこちで熱が放出され捨てられています。
2012-05-24 20:05:17<ナレーション> こうした排熱を有効利用することで、深刻化するエネルギー問題の解決につなげようという取り組みが始まっています。工場からの廃熱を繰り返し使うことで、燃料の消費を大幅に抑えるという研究。意外な場所の身近な熱を、冷暖房などに利用する取り組みも広がっています。
2012-05-24 20:09:32<ナレーション> 建物の下にある地中の熱を使う試み。都市全体に張り巡らされた下水網から熱を取り出す調査も始まりました。これまで注目されることがなかった熱のエネルギー。秘められた可能性をどう生かすか、その最前線を追います。
2012-05-24 20:14:25ここからスタジオです
国谷:こんばんは、クローズアップ現代です。すべての原発が止まり、夏の電力不足が心配されています。加えて世界的にエネルギー価格が高騰していまして、燃料の大半を輸入している日本の経済への影響も懸念されています。
2012-05-24 20:17:39国谷:エネルギーの消費を減らしながら、いかに経済成長につなげられるのか。電力に頼らない、安くて効率的なエネルギー確保の方法はないのか。実は日本で大量のエネルギーが、有効利用されないまま捨てられています。
2012-05-24 20:20:44国谷:そのエネルギーというのは熱。日本が消費する石油や石炭・天然ガスといった燃料。その燃料が持つエネルギーのうち、実際に熱や電気に変換され企業や家庭が消費しているのはわずか3分の1。残りの3分の2は排熱、熱が利用されずに放出されています。
2012-05-24 20:24:48国谷:例えば発電所の場合、燃料が燃やされてタービンが回されています。そのとき電気として取り出せるエネルギーは4割ほどで、残りは排熱、熱が捨てられています。この捨てられている熱を有効利用することができれば、燃料の節約につながり、二酸化炭素の排出削減にも結び付けることが可能に。
2012-05-24 20:29:23国谷:今これまで利用されずに捨てられていた熱を、活用しようという研究や取り組みが活発になっていまして、新たな産業のフロンティアが生まれるのではないかという期待も高まっています。電力不足の懸念という逆境の中で始まっている、排熱利用の最前線をご覧ください。
2012-05-24 20:33:21VTRが流れます
<ナレーション> いま企業の間である設備を導入する動きが広がっています。まずは電力不足に備えるための自家発電機。そのすぐ裏側に設置したのは、発電機から出る排熱を建物の空調などに利用するボイラーです。
2012-05-24 20:39:22<ナレーション> 電気を作りその時に出る熱も利用するこのシステム、コージェネレーションと呼ばれています。これまで工場で使う電気と熱は、それぞれ別の燃料から作られていました。このうち発電に使う燃料の持つエネルギーを100%とすると、実際に電気として取り出せるのは40%。
2012-05-24 20:48:00<ナレーション> 残る60%は廃熱となっていました。コージェネレーションではこの排熱を利用します。その分、もともと熱を作るのに使っていた燃料を大幅に減らすことがせきるのです。
2012-05-24 20:51:42<ナレーション> 10年前からコージェネレーションの設備を販売しているこの会社では、去年の原発事故を機に企業からの注文が殺到するようになりました。昨年度の実績はその前の年の15倍、今年度はさらなる拡大を見込んでいます。
2012-05-24 20:58:47<ナレーション> 販売会社ではその取り組みを一歩進め、自然エネルギーとの連携にも乗り出しています。太陽光や風力などの自然エネルギーは、天候に左右されるという弱点があります。そこで自然エネルギーの出力が低下するところを、コージェネレーションで補うシステムを開発しようというのです。
2012-05-24 21:02:19<ナレーション> 例えば太陽光発電は、太陽が出ていないと必要な電力を賄うことができません。こうした時だけコージェネレーションを稼働させて、不足分を補い安定したエネルギー供給を実現させる仕組みです。
2012-05-24 21:05:55エネルギーアドバンス・三浦:太陽光・風力あるいはバイオマスを入れても、コージェネレーションで不足部分をカバーできる。再生可能エネルギーとの連携は、非常に取りやすいシステムになると思っています。
2012-05-24 21:09:03<ナレーション> 工場などから出る排熱を徹底的に使い尽くそうという、画期的な研究も始まりました。東京大学の堤敦司教授は、工場から出る排熱を1回だけでなく何度も繰り返し利用する方法を考えています。
2012-05-24 21:12:36