クローズアップ現代「眠れる熱エネルギーを活用せよ」書き起こし・ほぼ完全版 #nhk

5月24日に放送されたものを文字起こししています。 進行:国谷裕子アナ ゲスト:梶山恵司(富士通総研・主任研究員) 排熱を利用したエネルギー消費の削減について。
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とし @toshihiro36

堤:私たちはエネルギーを完全に使い捨てするものだという前提だった。そうじゃなくて、熱は循環できますよと。

2012-05-24 21:15:24
とし @toshihiro36

<ナレーション> 堤さんが注目したのが、熱を持った気体を圧縮すると温度が上がるという原理です。通常、燃料を燃やして蒸気などの形で利用した熱は、使い終わると温度が下がり排熱として捨てるしかありません。堤さんは温度が下がった熱を、圧縮することで再び温度を上げようとしています。

2012-05-24 21:22:19
とし @toshihiro36

<ナレーション> 温度が上がれば、その熱は元通り利用することができます。これを繰り返せば、圧縮をするのに多少のエネルギーを使うだけで、熱を何度でも利用できるようになり捨てる熱はなくなります。新たに燃料を追加する必要もなくなるため、大幅な省エネにつながるというものです。

2012-05-24 21:27:00
とし @toshihiro36

<ナレーション> 本当に理論通りいくのか。実験用のプラントに圧縮機を取りつけ、2年にわたる実証実験が行われました。結果は成功、圧縮に使うエネルギーを含めても、従来に比べエネルギー消費を7分の1に減らすことができました。

2012-05-24 21:38:29
とし @toshihiro36

新日鉄エンジニアリング・木内:最初は自分も半信半疑なところもあったし、会社の方もそう考えていたところがあって…理論の政界から実証の世界へもっていけたので、非常に良かったと考えています。

2012-05-24 21:42:24
とし @toshihiro36

堤:エネルギーの使い方そのものの原理を、新しい原理に変えたと。いま用いられているエネルギー技術のすべてに、原理的には適応できることになります。

2012-05-24 21:45:12
とし @toshihiro36

<ナレーション> 熱利用の制約を根本から取りはらおうという試みも始まりました。熱はさめてしまうため、保存したり運搬したりすることが困難です。その壁に挑んでいるのが九州大学の石原達己教授です。石原さんは工場の廃熱を使って、水から水素を作ろうとしています。

2012-05-24 21:50:27
とし @toshihiro36

<ナレーション> 排熱のエネルギーを水素に蓄えようというものです。水素は今後普及が期待される燃料電池自動車などの燃料となり、保存や持ち運びも可能です。排熱の利用範囲が広がれば、その分エネルギーの消費を減らすことにもつながります。

2012-05-24 21:54:44
とし @toshihiro36

石原:水素という形にして持ってきて、実際に僕らが使うところで使いましょうと。そうすると時間と空間を超えて、いま使われていないエネルギーを有効に運んできて、また使うようになる。

2012-05-24 21:57:27
とし @toshihiro36

<ナレーション> 実用化のカギを握るのは、水素を水蒸気から分離する時に使う電解質と呼ばれるフィルターです。石原さんはさまざまな元素を組み合わせ、新たな電解質の開発に成功しました。電解質は水蒸気を分解する際に酸素だけを通すことで、水素と酸素を別々にする役割を持っています。

2012-05-24 22:03:06
とし @toshihiro36

<ナレーション> しかし従来の電解質が機能するには1000℃もの高温が必要で、それよりはるかに温度が低い工場の排熱では酸素を通せませんでした。これに対し石原さんが開発した新しい電解質は300℃で機能するため、工場の排熱を利用することが可能となったのです。

2012-05-24 22:06:46
とし @toshihiro36

<ナレーション> 開発にあたっては3年がかりで、200種類に及ぶ元素の組み合わせを試しました。さらに、性能を高めるためレーザーを使って200分の1ミリまで薄く加工しました。石原さんは現在、さらに低い温度も排熱も利用できるようにしようと研究を進めています。

2012-05-24 22:13:06
とし @toshihiro36

石原:排熱を回収して儲かる産業が日本の中からでき上がって、それが新しい日本の大きな柱となって…世界のエネルギーの使用料を減らして、そういう問題を解決するのに貢献できたらと思います。

2012-05-24 22:16:55

スタジオに戻ります

とし @toshihiro36

国谷:今夜はエネルギー政策がご専門の、富士通総研の梶山恵司さんにお越しいただきました。熱利用をめぐる研究や開発が、今熱気を帯びていますけれども。この広がりをどうご覧になりますか?

2012-05-24 22:20:32
とし @toshihiro36

梶山:これはまさにこれからの産業で、正しい一歩です。エネルギー消費削減の可能性というのは膨大ですので、これこそがまさにこれからのエネルギー戦略の根幹になるべきです。しかもエネルギー消費を削減するということは、国内の投資です。

2012-05-24 22:24:31
とし @toshihiro36

梶山:しかもそれによってCO2の削減とか環境への負荷も削減することができるということですので…今までのようにエネルギーを外から買うと、お金が外に出ていくばっかりですが…エネルギー消費削減は国内でビジネスを成長させるということですから、これこそがエネルギーの本来の姿と言えます。

2012-05-24 22:29:36
とし @toshihiro36

国谷:ですが熱を利用しようとすると…熱は運んでいくうちに冷めていくものですから、かなり場所場所で限定した施設が次々にできるということになるわけですか?

2012-05-24 22:32:45
とし @toshihiro36

梶山:電力の場合は系統につなげばどこでも使えますが、熱の場合は作ったところで使わなければなりませんので…そういう点では現場現場で対応が必要ですし、しかもいろいろな再生可能エネルギーとの組み合わせも可能になります。

2012-05-24 22:37:53
とし @toshihiro36

梶山:現場ごとに特性が異なりますので、まさに現場に合わせて対応していくということで…地方でのビジネスにもつながるわけです。ですから、そこには膨大な可能性があります。

2012-05-24 22:41:07
とし @toshihiro36

国谷:日本の成長にもつながるのではないか、雇用を生み出すのではないかということですけども。本当にエネルギーの消費を減らしながら、そんなことが可能なんですか?

2012-05-24 22:44:09
とし @toshihiro36

梶山:それこそが、まさに21世紀の経済のあり方です。まず、こちらをご覧ください。こちらはドイツと日本を比較したものです。ドイツは経済成長しながら、エネルギー消費を減らしています。むしろエネルギー消費を減らすことこそが、成長の源泉になっているわけですね。

2012-05-24 22:48:48
とし @toshihiro36

梶山:それに対して日本はGDPの拡大に伴って、エネルギー消費も拡大している。まさに20世紀の成長パターンそのままなわけです。ですからこれをこのような(ドイツのような)21世紀型の成長パターンに変えていくというのがエネルギー政策の根幹となるべきですね。

2012-05-24 22:53:20