クローズアップ現代「眠れる熱エネルギーを活用せよ」書き起こし・ほぼ完全版 #nhk
- toshihiro36
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梶山:まず2000年に、再生可能エネルギーの電力の買い取り制度を導入しました。これは日本が、ようやくこの7月から導入しようとしているものです。あと2003年に電力で出た熱を回収する…いわゆるコージェネですね。これで作った電力も買い取る制度も作りました。
2012-05-24 23:15:52梶山:そうですね、若干高い価格で買ってくれると。それによってインセンティブがつきましたので、より熱を利用しようという動きが広がっていったんです。
2012-05-24 23:21:39梶山:オイルショックの時に日本が努力をして、省エネ大国になったのは事実です。ところが、特に80年代の後半からエネルギー価格がだいぶ安くなりまして、それで省エネの進歩が止まってしまった。それにもかかわらず、省エネ大国という神話だけが残ったというのが実際のところです。
2012-05-24 23:29:06国谷:なるほど。さあ、熱利用でいま関心が高まっているのは、発電所や工場の排熱だけではありません。これまでほとんど注目されることがなかった、意外な熱利用も行われています。
2012-05-24 23:31:57VTRが流れます
<ナレーション> おととい開業した東京スカイツリー。人々が注目するのは上の方ばかりですが、実は地下にも画期的なシステムが導入されています。施設の冷暖房に使われているもの、それは地中熱です。青いチューブの中を循環しているのは水です。
2012-05-24 23:36:29<ナレーション> 大気に比べて夏は冷たく、冬は温かい地中の熱を運び出しています。地中熱を運搬する水は、この送水管を通して施設全体さらには近隣の建物にも送り出されています。その範囲は周辺2つの駅を含む10ヘクタールに上っています。
2012-05-24 23:42:17<ナレーション> 地中熱というのは火山帯の地下2~3000mにある地熱とは異なります。水を流すチューブを埋める深さは、せいぜい100mです。温度は年間を通じて15℃前後。冷暖房に使うエネルギーを減らす効果があるといいます。
2012-05-24 23:46:14<ナレーション> 通常の冷暖房は大気を利用しています。しかし、夏は暑い大気を冷やすために、冬は冷たい大気を暖めるために多くのエネルギーを消費します。これに対し地中熱は、大気に比べ温度変化が小さいため、冷やしたり温めたりするエネルギーが少なくてすむのです。
2012-05-24 23:50:56<ナレーション> 東京スカイツリーの1階では、地中熱の利用によってエネルギーの消費を48%、CO2の排出を40%削減できる見込みです。
2012-05-24 23:53:58東武・今野:どこでもできるという普遍性がある手法なので、いずれこれ(地中熱利用)が広がっていくのではないかと思っているところです。
2012-05-24 23:56:20<ナレーション> 大気との温度差を利用できるのは、地中熱だけではありません。温度変化の少ない河川や海水などの熱を、周辺のビルや観光施設の冷暖房に利用する取り組みが各地で始まっています。さらに、思わぬ場所の熱を利用する取り組みも始まりました。
2012-05-25 05:53:17<ナレーション> なんと下水です。風呂やシャワーの排水が流れ込む下水。大気より温度が高めになるため、その熱を暖房や給湯に利用しようというのです。下水網は町じゅうに網の目のように張り巡らされているため、実用化できれば地域全体のエネルギー消費を大きく減らすことができます。
2012-05-25 05:58:51大阪市立大学・中尾:下水が資源ですね。都市内にたくさんの管路網がありますので、資源が流れている。これをうまく使おうということですね。
2012-05-25 06:04:52<ナレーション> 目指しているのは、下水の熱を効率よく取り出す器具の開発です。金属性のチューブの中にはきれいな水が流れていて、その水に下水の熱を移し替えます。現在、さまざまなタイプのものを試しています。
2012-05-25 06:10:59中尾:プラスチックの錆びにくいというメリットと、金属製の熱伝導率かいいというメリット。それをあわせ持つような、いいとこ取りしたようなものを考えております。
2012-05-25 06:14:24<ナレーション> 下水熱の利用効率を、もっと高める方法もあるといいます。赤で表示された建物は、冷暖房に多くの熱を必要とするホテルやマンションです。一方、青の表示は多くの熱を排出している、冷凍工場や清掃工場などです。
2012-05-25 06:20:24