【まわり道】福間健二　k2factory03

福間健二 @acasaazul

こわれながら、失いながら、だめになりながら、それでもサヤエンドウ。マヨネーズつけて食べ、きのうとは違うステップ踏み、まだ動けるとほっとしながら、崖っぷちの裏切り者を見る。莢ごと、要求なしの、こんにちは。むず痒いおしりを焼きたてのパンにして。（まわり道１） #k2factory03

福間健二 @acasaazul

生きぬく。ある種の「おいしい」に怯えながら。みんな、どうやって。夢でも。触れずにすむならその方がいい問題から抜けだせない。愛撫。まわり道。光る輪や赤らむ芽をめぐるカンのわるさや整理能力の欠如のせいにはできない。どこにいるのか。この世にいる。（まわり道２） #k2factory03

福間健二 @acasaazul

音楽は、いつでも鳴る。揺れやすいこの構造に、ある朝突然、どんな系列のどんな魅惑にも免疫ができたと確信しても。燃えやすいんだね。人間の耳。小さなやつら、自分たち、スイッチ切っても黙ってくれないさまざまの中心の、近くでも遠くでもないところで。（まわり道３） #k2factory03

福間健二 @acasaazul

踊っているのは、帽子と靴。人間は、扱いやすく救われ、群れに戻ろうとする。待てよ、「運命の日」を模倣した空の下、楽しそうに名前を呼びあって、いまさらどんな下着が似合うというのだろう。何が起こる。傷とナイフを一緒に埋める、大昔は海だった場所。（まわり道４） #k2factory03

福間健二 @acasaazul

このトゲは、この冷たさは、思わせぶりな秘密をつくって遊び、むさしの台地の、馬の背に乗る姉妹のご都合主義の思い出だ。効果を計算している芽生えとほほえみの変奏。痛いだけ。幸福になりたくないだけ。知っていることを言う、それが物足りなくなっただけ。（まわり道５） #k2factory03

福間健二 @acasaazul

ひとり歩きできない色と光をおきざりにして、つまり、目をつむって、のんきな手がその下で仕事するテーブルの表面に触れる。叩けば、悲しい音。だれの耳が聴いているだろう。とてもかすかに、アースラ・タッカーの声。「白い雲の川がわたしのなかを流れる」。（まわり道６） #k2factory03

福間健二 @acasaazul

さっきから寄ってくる虫は、死んだ兄ではない。そして、善良でも意欲的だったこともない「見えない目」で読めば、それは虫でもない。感情が解釈を拒んで動きまわっているだけだ。どうしようか。アースラのように囁いて、この台地、この世のリズムを聞きとる。（まわり道７） #k2factory03

福間健二 @acasaazul

あれっ、学校の裏にこんな抜け道あったんだ。先生、生徒、お母さんたち。露呈したそれぞれの悪魔性を蹴りあいながら、草むらに「きみがすきだ」を隠している。黄色い・三日月が・学校の給水塔の上に出て・涼しい風に・木が揺れる夜・だれが歩いてくる？（まわり道８） #k2factory03

福間健二 @acasaazul

きみのどの動きにも免疫のない、ケルアックに憧れるぼくだ。路上のそいつを、地図の嘘をほどきながら読む雲が、窓の外に流れ、その下の茶色い建物は郵便局で、その隣は豆腐屋さん。くにたち東四丁目の本当のこと。きみに、きみたちに、それを言ってなかった。（まわり道９） #k2factory03

福間健二 @acasaazul

見すてられているのは、きみだけじゃない。そしていまは冬じゃない。あまりおいしくない生活、悪いことばかりじゃない。Ｋたちにもらった砂漠よりも、澄みきった空の下のこの川だ。どこに行くのか。どんな海に出るのか。どんな虫の入ったボトルを拾うのか。（まわり道10） #k2factory03