石川卓磨氏と土屋誠一氏の小磯良平談義

小磯良平 - Wikipedia http://bit.ly/K0CtDY 神戸市立小磯記念美術館 http://www.city.kobe.lg.jp/culture/culture/institution/koisogallery/ 兵庫県立美術館-「芸術の館」-【小磯良平記念室】 http://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/koiso/index.html
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Takuma Ishikawa @ishitakuma

小磯良平の《ビルマ独立式典図》(昭和19年)。この絵は、イギリスの植民地からの独立を喜ぶ静かで厳かな瞬間と言えるだろうか。それにしてもあまりに後ろ姿の人ばかりで表情が見えない。また奥に人たちは遠すぎて顔がぼやけている。 http://t.co/pWyQE5gz

2012-05-31 23:59:09
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Takuma Ishikawa @ishitakuma

それは、小磯が戦争画としての記録性よりも芸術性を重んじたからだろうか。なるほどこの作品は美しい。だが、そうではなかろう。ビルマはアウンサン(アウンサンスーチーの父)が日本の協力によりビルマ独立義勇軍を率いてイギリスと戦い独立を獲得した。その式典図なのだがどうも解放感がない。

2012-06-01 00:06:36
Takuma Ishikawa @ishitakuma

画面左は日本の軍人が占め、ビルマ(現ミャンマー)の人々は左側に追いやられている。画面の中心にはイギリス人と思わしき白人が立っている。眼鏡をかけた男は式典ではなく日本兵を見ている。その後ろに立っている同じく眼鏡をかけた白人も、その男と同じ日本人か、あるいはその眼鏡の男自体を見ている

2012-06-01 00:13:04
土屋誠一 @seiichitsuchiya

@ishitakuma 横槍失礼。むしろこの絵は、写真的リアリズムによって成立しているように見えます。画面手前、つまり式典の後方が小磯の立っている位置。ただ、創意は、代理観者のようにプロフィールをさらして立つ、軍服を着た日本人の位置。彼は、対角線上の日の丸と、丁度対をなしている。

2012-06-01 00:15:52
Takuma Ishikawa @ishitakuma

さて、ビルマの人々と白人は同じ白い服を来て混じりあい、日本兵のカーキの軍服で対比的になっているのは、明らかに小磯の意図するところである。何故ならわざわざ1人だけ紺の服を着せて白人を浮き立たせているからくらいだからだ。そうまでして、白人とビルマの人々をつなげたのはどうしてだろう?

2012-06-01 00:16:18
Takuma Ishikawa @ishitakuma

.@seiichitsuchiya はい、僕もそう思います。写真的リアリズムによっていると思います。ただ写真的リアリズムだとしても、なぜこの位置なのか。確かに小磯にとって服による表現はマネを踏襲していると思いますが巧みです。それが1つのメッセージになっているような。

2012-06-01 00:26:23
土屋誠一 @seiichitsuchiya

@ishitakuma アップなさった図版では判然としませんが、服装から判断すると会場のおおまかな並びとしては中央がビルマ人、その外周に英国人、一番外側が日本軍、という配置なのでは。つまり、ビルマと英国を調停したのが日本である、という寓意とも解せます。

2012-06-01 00:28:41
土屋誠一 @seiichitsuchiya

うーん、私のこの読みだと、ちょっと図式的かな。

2012-06-01 00:29:47
Takuma Ishikawa @ishitakuma

.@seiichitsuchiya 僕が思うに小磯はこのビルマの一時的な独立を悲観的に観ていたのではないか?国のために描きながらもなんか不思議な絵だな。そう予感させる英国人の背中だなと。もちろん僕の予測に過ぎません。国旗と日本人の位置について同意します。

2012-06-01 00:29:53
Takuma Ishikawa @ishitakuma

@seiichitsuchiya いや、もちろんそういう絵でなければいけない絵なんですよね。だから僕が勘ぐりでしかないといわれればそうかもしれません。

2012-06-01 00:31:26
土屋誠一 @seiichitsuchiya

@ishitakuma 小磯がマネを踏襲しつつ、巧みな服装描写を行っているのは、服装の差異によって国家のアイデンティティを表示しているのではないでしょうかね。

2012-06-01 00:32:01
Takuma Ishikawa @ishitakuma

.@seiichitsuchiya これですよね。”服装の差異によって国家のアイデンティティを表示しているのではないでしょうかね。”まさにだと思います。でも調停にしても独立だからもう少しイギリス人とビルマの人々を http://t.co/ARVsW0jv

2012-06-01 00:38:33
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Takuma Ishikawa @ishitakuma

.@seiichitsuchiya 分けないかなと。白がとても美しい絵であり、画面の中心に堂々とした白人の背中。カーキの軍服はけして美しくみえない。

2012-06-01 00:40:38
土屋誠一 @seiichitsuchiya

思わず絵に反応して、石川卓磨さんに横槍入れてしまったが、小磯良平は、とても気になる画家。描写、構図とも、抜群に上手い。しかし、何の内容もない。その空疎なマニエリスムが、一体何に由来しているのか、日本の近代絵画の帰結として、ひとつの参照すべき点になるように思う。

2012-06-01 00:40:59
Takuma Ishikawa @ishitakuma

この絵には不思議と抵抗を感じたんですよね。空疎にしていくマニエリスムとは違う手応えが。戦争画だからかそりゃそうか。だから意外だった。あるいは全く逆で、植民地支配をして来たイギリス人を浮き上がらせているのかもしれない。そこのところを調べてみようと思う。

2012-06-01 00:46:27
Takuma Ishikawa @ishitakuma

僕も土屋さんと同じで、参照すべきところがあると思います。小磯は明らかにバカに見えないので、調べてみようと思います。

2012-06-01 00:49:07
土屋誠一 @seiichitsuchiya

@ishitakuma 無理に言えば、「記録」画のリアリズムの要請と、小磯自身の「白」の描写への欲望が、画面の左端と中央で分裂している、と言えるかもです。小磯にとって、「白」は特権的な対象であるように思います。

2012-06-01 00:51:58
土屋誠一 @seiichitsuchiya

@ishitakuma 小磯の「白」で言えば、適当に画像検索したリンクで恐縮ですが、たとえばこのへんとか。http://t.co/2WOf9nfe

2012-06-01 00:55:29
Takuma Ishikawa @ishitakuma

説明が足りなかったので補足。これが描かれたのは1944年。独立が1943年です。ビルマが寝返り、再びイギリス軍と結託し、日本に勝利するのが1945年3月。すると小磯は、日本の状況がどうなってるか、ビルマがどうなるかわかってておかしくない。日本の孤立がここに現れてると思ったんです。

2012-06-01 00:58:34
土屋誠一 @seiichitsuchiya

小磯良平は晩年、マニエリスムを先鋭化させて、オランダ静物画とキュビスムの折衷のような、奇妙な絵を延々と描き続けていたりする。それまたバカテクで描かれていて、メタルの速弾きっぽいエクストリームな空虚さがある。ただ小磯は、あんまり絵の内容に踏み込んだことを言い遺しておらず、真相は不明

2012-06-01 01:04:32
Takuma Ishikawa @ishitakuma

.@seiichitsuchiya 土屋さんはフォーマルな欲求と「記録」画としての要請に折り合いのつけられない拮抗ないしジレンマがあったということですね。そういう部分は小磯は強かったはず。僕はここでは形式と内容を統合していると思ったんです。マネ的に。隠れたメッセージとしてですが。

2012-06-01 01:08:05
Takuma Ishikawa @ishitakuma

.@seiichitsuchiya 白へのこだわりは、色への欲求でもあったと思います。つまり、戦争時代は、絵の具の制限がかなりかかっていたはず。そのなかで小磯的透明感をいかに作り出すか。そう考えたのではないか。そこから生まれた白への固執というのも考えられないことではないですね。

2012-06-01 01:09:56
Takuma Ishikawa @ishitakuma

ああ、こんな時間だ。土屋さんとのお話がおもしろいのに。寝なければ!なるほど、メタル話ももう少しお聞きしたかったw

2012-06-01 01:12:58
土屋誠一 @seiichitsuchiya

@ishitakuma いや、石川さんの読みに引きつけてあえて言えば、そういう拮抗があると言えなくもないかも、という程度です。真相は不明。ただ、小磯は基本的には調和の人だから、あんまり画面に分裂は起こさせないですよね。

2012-06-01 01:13:19
Takuma Ishikawa @ishitakuma

@seiichitsuchiya ああ、そうか!ありがとうございます。確かに。まぁちょっと勝手な僕の妄想です。調べてみます。

2012-06-01 01:15:23