- toshihiro36
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冒頭のVTR
<ナレーション> あなたの歯はあなただけのもの。そこに刻まれているのは、あなたが生きてきた記録。 東日本大震災…最も多くの犠牲者を出した宮城県。あの日、数えきれない人々が命を奪われた。そして、多くの人々は名前も失った。身元不明…いったい誰なのかわからなくなってしまった犠牲者たち。
2012-06-03 10:57:37<ナレーション> あの日から1年過ぎた今も、身元不明ゼロを目指す作業は続いていた。宮城県には今も1500人あまりの行方不明者と、200を超える身元不明の遺体が残る。犠牲者たちの名前を取り戻し、家族のもとへ。歯による遺体確認。
2012-06-03 11:02:08<ナレーション> 遺留品やDNAと並び、歯は身元確認の重要な手掛かりとなる。歯科医院に残るカルテと、遺体の歯の状態を照合すれば個人を特定できる。震災直後から警察とともに、気の遠くなるような作業を続けていたのは歯科医師たち。
2012-06-03 11:08:28<ナレーション> 普段患者の生死と向き合うことのない彼らは、あの日以来壮絶な現場を見てきた。その一部始終を歯科医師たちは記録していた。 未曽有の災害…日本全国から延べ2600人を超える歯科医師たちが、犠牲者と家族をつないだ。カギとなるのは遺体の歯1本1本に残された治療の痕。
2012-06-03 11:12:59<ナレーション> 明日もおいしく食べるため…それだけではない歯科医師の仕事。犠牲者と残された家族の明日のために。 身元確認…それは大切な人が確かにそこに生きていたという証を見つけること。
2012-06-03 11:31:51ここから本編です
<ナレーション> その時まではいつもと同じ1日だった。宮城県歯科医師会で身元確認班・班長を務める江澤庸博さん、2時46分は午後の診療が始まったばかりだった。
2012-06-03 11:36:36江澤:ここで根の治療をしていました。まるで誰かが家を持ってシェイクされているような感じでした、音が「ジャカジャカ」って。縦というか、全体に振っている感じですね。しばらくはそこで逃げて、収まって…電気がダメなので待合室で根の治療を続けましたね。
2012-06-03 11:44:38江澤:県警の機動鑑識の伊藤さんから「明日から若林体育館で検視を行うので、検死要員3名を用意してほしい」と。それが第一報ですね。
2012-06-03 11:50:25柏崎:夜の11時半ぐらいに「場所がグランデ21に変更になった」と伝えに来ました。その時は「若林体育館は安全性が確保できないので、場所が変わった」というふうに。江澤先生も僕もなぜ若林体育館が安全性が確保できないのか、よくわからなかったんですけども。
2012-06-03 11:57:51<ナレーション> 二人は沿岸部で何が起きたのか詳しい状況を知らぬまま朝を迎え、指定された場所を目指した。 これは二人が到着した直後の映像。遺体安置所に選ばれたのは、郊外の山あいにある総合体育館グランディ・21。午前10時、到着した二人は初めて津波被害の詳しい情報を知った。
2012-06-03 12:29:52柏崎:本当に午前中は体育館の中は、まだまばらな状態で。海上保安庁がヘリで運んでましたから。すごいうるさかったですね、バリバリとヘリの音が。
2012-06-03 12:33:57<ナレーション> 遺体安置所の中では警察の指示のもと、医師がまず1体づつ死因を調べDNAを採取。その後歯科医師が呼ばれる。
2012-06-03 12:37:40柏崎:やはいご遺体ということで緊張しましたね。ただ実際に始まると、口の中の記録を取るという作業になりますから…普段の臨床なんですね。ご遺体を前にして、記録を取る時の冷静さは歯科医師なんですよ。そこだけは歯科医師なんですね。
2012-06-03 12:44:05柏崎:ランドセルが置いてあって、その中に避難する時の教科書とかお菓子とかいっぱい詰まってるんですよ。それを持って、津波から一生懸命逃げたんだなあっていうのが…
2012-06-03 12:50:43