ツイッター小説 お気に入りセレクト 2012/06/05

yosizaki @0Y0y0y00480

「とうとうできたぞ」何かにとり憑かれたかのように、研究に没頭していた老人が１人。作り上げたのは「命の値段をはかる機械」。こんな素晴らしい機械を作る自分はさぞ、高い値段だろう。機械を作動する。０の文字。機械から音声が。「私を作り上げた時点であなたは無価値です」 #twnovel

layback @laybacks

気がつくとズボンに右足を入れていた。おれはいつもズボンは左足から穿くことにしている。なのに無意識に右足からズボンを穿いていた。不吉だ。穿き直すべきだろうか？　だが穿き直したところで右足を先にズボンに入れた事実は消えない。散々悩んだすえ穿き直した。案の定遅刻した。 #twnovel

あまたす @amatasu

３０歳、正社員経験なしですか。ハローワークの職員は俺の経歴を見て、ため息を吐いた。ご存知でしょうが、非新卒者の就職は難しいんです。職を選ばなければ、あるにはありますがね。そう言って、パソコンの画面を俺に向ける。戦闘員、悪の秘密結社？　ここって、社保ありますかね。 #twnovel

浅葉積木 @tsumiki_a

#twnovel 化け猫ならぬ化けパンダが訪ねてきた。「熊猫と呼ばれるからには、一度はあんどんの油を舐めなければと思うのです。あんどんはどこですか」「写真でしか見たことないなあ。てゆうかキミは猫じゃなくて熊だろう」「では、油を舐めなくてもよいのですね」　化けパンダは帰っていった。

@tofuhamburg

若者に人気の美術館、だが出てくるのは老人ばかり。長い列に並び中に入ると、母と赤子の絵。少年、青年、壮年と続き、出口で老人は「辛い事もあったが美しい人生だった」と満足気。行列が面倒と出口から入った若者。出てきた老人は「歳を取るたび昔ばかり思い出す空しい人生だった」 #twnovel

かなりひこくま @kanarihikokuma

私は丘で叫ぶ。風に逆らい叫ぶのが好きなのだ。寒々しい。私を病人と呼ぶのはかまわない。だが私が病人なら相応に接してくれたまえ。お喋りの外にいる者として、天使のような微笑みを貴方に要求してもいいんじゃないか？子供らは面白い。私を見るなり逃げていく。まるで千切れ雲だ。 #twnovel

Cal Que El Lulu-rain @senzaluna

人よ魅かれよ陽だまりの鳥。鳥よとめ行け黄玉の羽。羽よはらめよ花揺らす風。風よ奏でよ彼の地に歌を。歌ようたえよ美しき月。月よ続けよ尽きせぬ時に。時よ永久なれ尊き海に。海よ生み出せ有情の命。命生きろと一途に土に。土よ包めよ罪無き人を。安らかなれよと。安らかなれよと。 #twnovel

工房径（koubou-kei） @pleaseinuplease

@laybacks いつもああいう長年の逃亡の末の逮捕劇で、一緒に暮らしてる方の気持ちを考えてしまうんです。そして私、自称ハッピーエンド偏食家なので、何らかの形でハッピーエンドを迎えて欲しくなるんですね。現実には逮捕も逃亡も、苦しい結末なのは間違いないと思うんですが。

Hiroyuki inoue @hiro_kinako

#twnovel 「博士！我々が開発したのは不老不死の薬です。なぜ不老長寿の薬として売り出されたのですか？」憤慨する助手を博士が宥める。「確かに不死の薬だ。臨床試験の結果も申し分ない」「だったらなぜ？」「だからだよ。被験者が誰1人死んどらん以上、不死なのか長寿なのか判別がつかん」

Hiroyuki inoue @hiro_kinako

#twnovel ハザマさんは時の狭間に住んでいて、僕の人生の節目に現れてはアドバイスをくれる。そんな彼がタイミング悪く現れた。今カップラーメンにお湯を入れたんだ。伸びると嫌だから20分後に来てよ、急いで食べるから。そう言うと彼は足元の画鋲を指した。「20分後はまだ床掃除中だぞ」

N.T.Works/凪司工房＠介護生活中 @nagi_tter

#twnovel 今日子さんはアイドルを卒業する。でも彼女はいつの間にアイドルをやっていたのだろうと尋ねたら恐い目をされた。「今日子はアイドルを卒業します」彼女はマイク代わりのマジックを置き、トイレへ。暫くするとすっきりした表情で戻ってきた。「おならくらいここですればいいのに」

よしのちほ @chiho_yoshino

子どもみたいなクシャっとした帯をして、君が少し前を歩く。縁日なんて何年ぶりかな。わあ、懐かしい。金魚すくいに立ち止まる。二人とも失敗して、ケンカになったわよねえ。幼馴染みならではの昔話。あの日つかまえそこねた金魚、そして。今度は逃がさないでね。君が甘く囁いた。 #twnovel

黒崎 澪 @kurosaki_mio

#twnovel 野良幽霊を見付けた。僕は拾って帰った。お母さんに「ねえお母さん。この野良幽霊、家で飼っていい？」すると「あらあら」と言いながら飼う事を許してくれた。こうやって野良幽霊が増えていった。「尚くん、おじいちゃんの幽霊散歩の時間よ！それから…」数が増えると世話が大変だ！

23時の夢物語 @23novel

#twnovel 夜の中でらくがきをした。白鳥、山猫、キリンに、鴉。大クマ、小クマ、蛇使い。冠、髪の毛、カシオペヤ。いつか私の暗号を解く人が現れるだろうか。秘密の物語を知ってもらえるだろうか。満天の星に思いを託す。いつまでも想像力を絶やさずに、人々が夜空を見上げていますように。

添嶋譲 @literaryace

「うさぎさんだー」着ぐるみの青年は考えます。必要とされているのは自分を覆うウサギであって自分ではない。事実バイトをしていない時の自分はいてもいなくても同じ。そのことに気がついてはいけないような気分です。「(^○^)/」愛想を振りまきながら本当は泣きたい気分です。 #twnovel

onai shigeo @onaishigeo

#twnovel 王は愕然とした。民が一斉に消えたのだ。民のいない王など滑稽極まりない。慌てて王は隣国を訪問した。ところが隣国でも事態は同様。思案した二人は交代で王になる事にした。最初の王が命じる。「食事をもて」至福の時。しかしもう一人の王は途方に暮れていた。「料理が出来ない…」