【東京ヘヴン】福間健二　k2factory04

福間健二 @acasaazul

まず、だれかとキスをして、空の木がじゃま。ぼーっとして見上げると、濃淡の変化がほんの少しあるだけの青のなかに白い雲。その下で、どう苦しむ。ごまかしの連続だった。ここまで。遠く去った人たち。不在証明、うじ虫の壁。えっ、青い破片が降っている？（東京ヘヴン１）#k2factory04

福間健二 @acasaazul

もうだめか、ということが何度もあったが、ぼくは運がいいと思う。最後のところで、くさりが切れている。リズム。逃げ道。いい人たち。きのうもピンチをひとつ切り抜けて、そのあと、小雨、パラパラ。植物の香りのなかを歩き、人間の家をいくつも通りすぎた。（東京ヘヴン２）#k2factory04

福間健二 @acasaazul

朦朧として、もうケンカもできず、なんとかバス停まで引き返すとT・レックス。白亜紀と二十世紀の思い出。動物になったマークと仲間たち、この愚かさを甘やかすことはないよ。でも、ありがとう。明日・理解できない・顔面神経痛になって・東京は・嘘ばかり。（東京ヘヴン３）#k2factory04

福間健二 @acasaazul

ごめん、進化する少女たちの脚には弱い。でも、輪郭つくれない「癒されたくない理由」の誘惑には、このテレグラム・サム、しっかりしている。初期の夢を裏切らない電報を打つ。つまり、空の怪物見失った子どもたちの「大事な人」になる仕事があるからだ。 （東京ヘヴン４）#k2factory04

福間健二 @acasaazul

退行する。さびしい。でも、おいしい。主題にならない空虚のなかに生まれた「天使的女性」の作る、しっかり塩味のきいたミートボールのスパゲティ。コップの水を見つめるのは局外者の目。これ以上輝きようがないのはわかるけど、テーブルに足を乗せるなよ。（東京ヘヴン５）#k2factory04

福間健二 @acasaazul

おじいさん、おばあさんと一緒に見ていた。柵のむこうの線路から、性別不明の、若い裸体の立つ屋根と空まで。「シルエットと姿勢」の議論を通り雨に中断され、大丈夫、ほんの少し揺れただけって、懐かしい。けれど、朝には、ほら、老いて泣くための色彩と点。（東京ヘヴン６）#k2factory04

福間健二 @acasaazul

新聞で読んだ小学校六年生の女の子の、ずっと小六のままでいたいという夢。無理だとはわかってる。でも、いまがあまりにも幸福なのだという。ぼくの小六も、悩む曲線が濃く絡んでくる前の天国だ。えくぼのかわいい天使が隣の席でアメリカの歌をうたっている。（東京ヘヴン７）#k2factory04

福間健二 @acasaazul

天使じゃない。アメリカじゃない。生きるって生き残ることじゃない。苦手な部分を復習して、半世紀前の空地の、黒い穴。オートバイが入ってくる。十五歳になった春、最初のドストエフスキー。それからつきあったりつきあわなかったりの悪魔くん、年とったね。（東京ヘヴン８）#k2factory04

福間健二 @acasaazul

ただの生意気なやつだったが、いまは額に深い皺がある。そいつと同類であることを深刻に考えない。何がちがうか。ぼくは、椅子がひとつあればいい。そいつは要る。自分のために二つ以上。説得する相手、彼や彼女とつくるシステムには死骸を詰めこむ缶まで。（東京ヘヴン９）#k2factory04

福間健二 @acasaazul

子どもの描いた虹の橋をとおって天国から戻るバス。だれの苦しみも引き受けない怪物の手で、窓、割っちゃった。まいったか。街には、新しいと古いに分かれるだけの、歌う下半身。フラフラだけど、ぼくはきみに話しかける。きみの「大事な人」になりたくて。（東京ヘヴン10）#k2factory04