【天の農場 】福間健二 2factory46 

タイトル「天の農場」は、ずばり宮沢賢治の「小岩井農場」とジョン・スタインベックの短篇連作集『天の牧場』をガッチャンしたもの。臆面もなく、というのはこういうときに使う言葉でしょうか。途中、暁方ミセイさんをゲストに迎えたワークショップがあり、そこでミセイさんに「ストロベリー」「生活」「国立」の三語をもらって表現をつくるというのをやった。それも使いました。どこをどう歩いても最後はスタインベックの名作「朝食」に出ようと思っていたのですが、その場面までは届かなかった。それはまたいつかということにします。 音楽は、珍しくクラシックで、ピアニスト、アルフレッド・コルトーの、古い古い録音のショパン。 http://www.youtube.com/watch?v=Ot46i1Jhpt8
0
福間健二 @acasaazul

このこと、そのこと、あのこと。仕事着ぬれたままですが、きょうは寝ますね。そう断って九月の老いた銃たちにはぼんやりされた。お金の計算をする鉛筆とざら紙にも耳はなかった。ふたたび冷たい雨のなかを歩くしかない。ジョンと賢治さん、どこに行ったんだろう。(天の農場1)#2factory46

2013-10-01 09:12:51
福間健二 @acasaazul

銃は鳴らない。詩集は眠っている。「雑味のない、すっきりした味」のモカイリガチェフが飲みたい。強気でドアをあけてもらうとそこは笑わないおばさんたちの休憩所。缶切りではあかないアフリカが霧のなかで弄ばれている。よくあること。でも、よくないことだ。(天の農場2)#2factory46

2013-10-02 08:55:41
福間健二 @acasaazul

だれが口笛吹いて思い出しているのか。失敗をつみかさねてきた者だけにわかる甘い香りのことを、この黒い雲の下。線になって浮きあがる山を逆転させて。疑問符の帽子と熟れすぎた果実、しわくちゃにして。はい、ネスカフェでもいいよね。ちゃんと顔を見せなさい。(天の農場3)#2factory46

2013-10-03 12:18:43
福間健二 @acasaazul

どうしてどうしていつもこうなんだろう。いい匂いの、波打つ液体へと投げられたジョンの物語。おもしろかったのによく覚えていない。でも、葡萄。葡萄を踏んでその汁にまみれる素足の、それぞれにはらむ夢を盗みながらの、仕事。好きな音楽かけていいんだよね。(天の農場4)#2factory46

2013-10-04 08:58:38
福間健二 @acasaazul

兄さんの仕事は全部ちょこちょこやり残している。エチオピアの川と森へと流れようとしても、その思い、空気に溶けていかない。リスに尋ねること、なんだった。「魚を食べるか」よ。本当の行先は決まっている。売れない帽子のスタインベックさんが案内してくれる。(天の農場5)#2factory46

2013-10-05 10:39:01
福間健二 @acasaazul

遠くの灯り、それが次の課題。その前にきのうの課題。ボールペンをさがしているうちに大きな林檎のなかをすすむ賢治さんの「さびしい未知」にもはぐれ、だけど、くにたちには戻らない。あせっている秋、不自然なストロベリーたちが朝から意見を言う生活には。 (天の農場6)#2factory46

2013-10-06 09:38:06
福間健二 @acasaazul

ストロベリー、生活、国立。だったら「国立は雨。生活はジタッとこんがらがる。ストロベリーJKたち、朝からシケタこと言わんといて!」ではどうか。先生、それは地上の物語。ぼくは実質化一歩手前の宇宙草。灯りが見えて、ぬれたズボンで反抒情的秋の発明です。(天の農場7)#2factory46

2013-10-07 08:02:51
福間健二 @acasaazul

この空気、その光、あの黒い点。ここで、ぼんやりと方向感覚をあたえあう「わたしたち」。何が足りないんだろう。悪意にみちた装置の影はいつまでも見えている。まだ夜。まだ固体にならない生命。遅い。自分を守ることで精一杯な容器からは、こぼれでるしかない。(天の農場8)#2factory46

2013-10-08 09:05:51
福間健二 @acasaazul

サイクルひとまわりして、望むことと関係なく読むだけの雲と風が仕事をして、この空の音。そして受付係の帰ってしまった入口だ。可愛い声の人だったのだろう。青い存在のしるしを残している。びゅうびゅう、だれかの孤独をいやす。そのために生きる。草の上に。(天の農場9)#2factory46

2013-10-09 08:35:31
福間健二 @acasaazul

ヘヴン、何色にもなる。人の思いを食べる自然現象として。会うべき人たちには会った。そう思え。収穫された大きい根と白い菜に教えられる。ぼくらを運ぶくらいは手伝って、それから歩いていくんだ。幻影の夜を、本物のパンの焼ける匂いがする夜明けまで。(天の農場10)#2factory46

2013-10-11 09:26:42