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2012年6月12日

あるいはこんなエイラーニャ2

まとめました。
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El Presidente @lowen_lowe

1) 「大尉、次5秒後に右から」「ペリーヌ、スターボード、回りこめる」「少佐、今エーリカが吹き飛ばしたところでコアが出ます」…… 「すごいなエイラ…あんな的確な指示は初めてだ」「ミーナより向いてるんじゃない?」「……」「最近、前よりもう少し先まで予知できるようになったんだ」

2012-06-11 23:03:36
El Presidente @lowen_lowe

2) 皆を見ていれば、誰がどう動くか、その結果どうなるか、10秒後くらいまで先が現実の情景に重なるように見えるようになった。最近のことだ。おかげで余程飽和していなければ余裕をもって警告できる。私は前に出て戦闘に参加するより、サーニャと組んで支援に回るようになった

2012-06-11 23:06:37
El Presidente @lowen_lowe

3) こういった特殊能力は他の皆も持っている。少佐のコア探知、大尉の怪力、それも能力を向上させることができるのかもしれない。ともかく私は未来がより長く見えるようになってきた。5秒が10秒、10秒が15秒。敵は止まっているのと同じだ。

2012-06-11 23:08:38
El Presidente @lowen_lowe

4) それでも皆の戦闘センスが統制されることはない。皆うまくやっている。私の警告に最善の選択で応えてくれる。ミーナ中佐の戦闘指揮がなければ効率はガタ落ちになるだろう。私が一言警告しただけで先に見える敵をなぎ倒すエーリカは驚異的だ。そしてサーニャの火力支援、何もかも万全に思えた

2012-06-11 23:10:11
El Presidente @lowen_lowe

5) もう大尉が被弾したときのようなことは起こらないだろう。私はペリーヌが被弾する未来を見て背筋にぞっとしたものを感じたこともあったが、それもすぐ警告して事なきを得た。恐ろしいものを見るのは自分だけでいい。恐ろしいものを見るのは。

2012-06-11 23:11:58
El Presidente @lowen_lowe

6) 戦場ではそうだった。恐ろしいものは見なくて済むようにできる。しかし日常生活ではどうだろう。「あ、大尉のズボンに入ったな」あのとき私が「あ、大尉のズボンに入る」と言っていたらどうなっていた?言わないほうがいいこともあるのだ。言わないほうがいいことも。

2012-06-11 23:13:14
El Presidente @lowen_lowe

7) 言わなくていいことと言ったほうがいいことを見極めるのは難しい。中佐が階段から転げ落ちそうになったとき私は呼びかけて足を止めてやるだけでよかった。少佐がスイカ割りで寝ているエーリカのほうへ向かうことが解っていたときは黙っていた。それは興ざめというものだ。

2012-06-11 23:16:42
El Presidente @lowen_lowe

8) あるとき私は見てはならないものを見た。格納庫で何かが爆発する未来視だ。20秒あった。私は窓から叫んだ。「格納庫から離れろ!!」それは届かなかったし、私には何が爆発するのかまでは解らなかった。5名が死亡し、3名が重傷を負った。爆発したのは燃料車で、それは格納庫の入り口にあった

2012-06-11 23:19:34
El Presidente @lowen_lowe

9) 「なぜだ!」少佐が壁を殴って憤る。憤るのはわかる。ネウロイとの戦いならともかく、地上で事故死するなどやりきれない。皆、腕の立つ整備員だった。だが、私には見えるのだ。すぐに中佐が今の言葉を諌め、少佐が「わかっている、エイラは何も悪くない」と漏らし、場の空気が凍るのが見えるのだ

2012-06-11 23:21:33
El Presidente @lowen_lowe

10) 一分後まで見えるようになった。なぜ見えるのだろう。見てばかりいるから鍛えられているのか?原因は不明だが、先の事故のこともあり、私は一層はやく危険を察知しなければならないと思うようになっていた。失敗は許されないのだ。外部から私が何を見ているか解らないゆえに、尚更

2012-06-11 23:23:03
El Presidente @lowen_lowe

11) 「エイラ」ああ、サーニャ。来るって解ってた。「今日の買出しなんだけど」宮藤とエーリカが行くんだろ。私が欲しいものを聞きにきたんだよね。「この間私が貰ったプレゼントのお返し、何か考えなきゃって……」うれしいな。サーニャ。ありがとう。 これが30秒後に起こる。

2012-06-11 23:26:35
El Presidente @lowen_lowe

12) 気が狂いそうだ。実際に起こったことと、これから起こることの境目がわからなくなってきた。先読みした未来のやりとりに先走って返答してしまうミスを起こした時から、自分が危険な領域に入り込んでしまっていることに思い当たっていたが、あまりに明瞭な感覚が私に拒否をさせてくれない

2012-06-11 23:28:23
El Presidente @lowen_lowe

13) 相談したくなって、やめた。部屋に入る前から回答がわかってしまう。わざわざ相手を煩わせる必用もなくなっていた。しかしそれでいいのだろうか。皆心配になって私の様子を見に来る。それがどういう顛末になるのかまで含め相手が来る前から解るのだ。どうしたらいい?

2012-06-11 23:30:04
El Presidente @lowen_lowe

14) だんだんと、皆から「エイラは気難しくなった」「物言いが尖っている」「なんだか不機嫌なことが多い」といわれるようになった。私がいくら先のことを見て、精神がそこにあっても、現実は何十秒も後ろにある。そして私の身体は現実にしか存在しない。煩わしさで混乱しそうだ。

2012-06-11 23:31:35
El Presidente @lowen_lowe

15) 「中佐。今日の出撃ではバルクホルン大尉が戦死します」「出撃するなって言うの?」「ストライカーユニットの故障が原因になるようです」「そう……トゥルーデ無しで大丈夫かしら」その瞬間、更新された未来の情報が脳裏を埋め尽くし、私は何が未来なのか解らなくなって倒れた。

2012-06-11 23:33:42
El Presidente @lowen_lowe

16) 起き上がるとバルクホルン大尉が枕元にいた。「起きたか」「大尉」「お前の言うとおりにした。確かに重大な故障があった。命拾いしたな……」予感は当たっていた。さっきの予感は。「大尉、宮藤は」「出撃したが…」「私は何時間昏睡していましたか」「小一時間だな…まさか、エイラ?」

2012-06-11 23:36:14
El Presidente @lowen_lowe

17) 宮藤が死ぬ?嘘を言うな。あれが死んでいいものか。皆の泣き崩れる姿が全て脳内で再生される。ああ、くそ。これを換える手段は?引き返してくる宮藤は既に負傷している。すぐ手当てを……誰が?宮藤の心臓は基地に戻る前に停止する。出血も甚大だ。「おい、顔が青いぞ!エイラ!」

2012-06-11 23:38:28
El Presidente @lowen_lowe

18) 私は501から転属になった。黒海上空で監視飛行に就けばいいらしい。そこならほとんど単独飛行だ。ネウロイも稀にしか出ないだろう。警報を発したら逃げればいい。中佐がはからってくれた。どう感謝すればいいだろう。宮藤を守れなかった私に。……皆がなんて言って送ってくれるかもう見える

2012-06-11 23:42:06
El Presidente @lowen_lowe

19) 2年が経った。あれから必要以上に未来が見えることもなくなった。基地の皆は10人に満たないが、いい人ばかりだ。家族同然の付き合い。久々の平穏があった。未来を見ないことすら思い出せるようになった。もしかしたら私は健常者に戻れるのではないか、そう期待できるほどには。

2012-06-11 23:44:55
El Presidente @lowen_lowe

20) 欧州正面でネウロイに対する大反抗作戦が開始されたらしい。タイフーン作戦とか言うらしい。私も黒海沿岸から、今はなきクリミア半島の付近までを哨戒してリベリオンの攻撃隊に情報を提供する任務に就くことになった。また未来を見なければならないな。

2012-06-11 23:46:48
El Presidente @lowen_lowe

21) 作戦は順調に進んだ。誰が死ぬのか解ってしまうから攻撃隊の面子とは顔を合わせなかったが、あまり快くは思われなかったらしい。仕方あるまい。前線は恐ろしい勢いで進み、もはやオラーシャの西側を解放するのも時間の問題かと思われた。私も黒海から対岸へ進出し、展開することになった

2012-06-11 23:49:45
El Presidente @lowen_lowe

22) 久々に大勢のウィッチを見る。基地には沢山の将兵がいて、ウィッチが離陸していったり着陸したりするのがひっきりなしだった。誰が帰ってこれないか解る。目の前の自分より幼い少女が、カールスラントの誰かに似ているウィッチが。そして私は唐突に吐き気を覚えた。501で倒れた時以来の

2012-06-11 23:52:00
El Presidente @lowen_lowe

23) 「サーニャ?」明らかにサーニャだった。目の前に存在しない。ここに来るわけでもない。だが私には見える、あれは間違いなくサーニャだ。緑の戻った地で、小さな家に住み、あたたかな家庭を築いているサーニャの姿。何年後だろうか、解らないが、それが、見えた。

2012-06-11 23:53:24
El Presidente @lowen_lowe

24) 「ああ」嗚咽で声にならない。周囲のものは私を囲んで驚き、衛生兵を呼んでいる。この後私は医療テントに運ばれ鎮静剤を打たれるようだ。だがそれより私は脳裏に流れ込んでくるサーニャの将来を見るのに必死だった。覗き見と謗る奴は謗れ。儚いサーニャが、大好きなサーニャが、こんな立派に…

2012-06-11 23:55:31
El Presidente @lowen_lowe

25) 担ぎ込まれ、鎮静剤を打たれながら私は歓喜していた。それは何十年も先のことだった。サーニャは年老いていたし、伴侶は既に墓の中だった。子はなく、孤独だったが、オラーシャは取り戻されたのだ。この作戦は失敗し、何万もの将兵が戦死するが、何十年か後、必ず掌理するのだ。私にはそれが…

2012-06-12 00:00:22
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