【スワローズ妄想劇場】戦国絵巻燕の城 こぼれ話 第１０話

スワローズ妄想劇場 @swa_mou

スワローズ妄想劇場】戦国絵巻燕の城 こぼれ話10 「勝敗の行方」 #swallows #swamou

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【スワローズ妄想劇場】戦国絵巻燕の城 こぼれ話10 「勝敗の行方」・・・「うわあ・・・」館山はいわゆる「荒木トンネル」の出口、クラブハウスの駐車場で途方に暮れていた。あと４０ｍでクラブハウスなのに、いわゆるゲリラ豪雨で視界は真っ白。１０ｍ先も見えないほどであった。 #swamou

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「はやく戻れば良かったかなあ」と後悔するがどうにもならなかった。それでも今日は室内練習場から引き上げるとき急に雨が振り出してきたので、いつもの球場外のルートを諦め16番入口から外野裏を通り、荒木トンネル経由でここまで来たが、これ以上は進めなかった。 #swamou

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（まあ、少し待てば止むだろう）そう考えて空を見上げた。叩きつける雨を生み出す真っ黒い雲が覆った空。と、雲が光ったかと思った瞬間、轟音と共に辺りの何もかもが白くなった。（落雷か？）自分の体が何かに弾き飛ばされる感覚の後、意識を失って行くのが分かった。 #swamou

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・・・どのくらい経ったのだろう。館山は意識を取り戻した。無意識のうちに身体の痛みが無いのを確認すると、倒れた身体を起こしながら、恐る恐る目を開けた。「・・・なんだここは。」４０ｍ先にあるはずのクラブハウスが無かった。そこには時代劇に出てくるような屋敷があるだけ。 #swamou

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右側に見えるはずの伊藤忠ビルの所には暗闇が広がり、球場がある筈の左側は・・・城が建っていた。「なんだここは。」もう一度同じことを呟き目を閉じ、開けてみたが同じ光景だった。いや、少し悪化した。後ろから首筋に刃物・・・日本刀が当てられていた。 #swamou

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「何奴っ！」と怒声がしたので館山は反射的に両手を挙げ、ゆっくりと首を巡らせる。視界の端に荒木トンネル…ではなく入口の開いた土蔵がある。そして自分に日本刀を当てている人物を見ようとする。和装の男。そして慎重に身体と首を向け、正面を向いたとき、相手の顔が見えた。 #swamou

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髭が特徴的な見たことのある顔。それは紛れも無い自分であった。「うわあああっ！」お互いに声を上げ後ずさる。「貴様！何奴！」刀を向けた自分が叫ぶ。館山は手を上げたまま「館山昌平(たてやましょうへい)っていうんだが・・・あなたは？」と言うと 、もう一人の自分が答えた。 #swamou

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「たてやましょうへい？・・・私は館山房州守昌平(たてやまぼうしゅうのかみあきひら)と申す。」そしてお互いの顔を改めて見合って、同時に言った「怪しい奴ではなさそうだ」・・・居間に招かれた館山は房州守に、ここは戦国の世、関東の南青山城である事を教えられた。 #swamou

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そして自分は、落雷に合い、気づいたらここにいた事、早く神宮(という自分の国)に帰らなければならないことを説明した。「まあ、私にはどうにもできぬが、今日はもう遅い。ゆっくり休んでゆけ。」と言われた。「しかし・・・」館山は出れない試合を心配していた。 #swamou

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代わりに誰が投げるんだろう、いや、もしかしたらこれは夢で、醒めたら今すぐにでも投げなきゃいけないかもしれない。そう思うと、いても立ってもいられなかった。バックの中からグローブとボールを出し、 庭に出て壁に掛けられていた弓の的に当て始めていた。 #swamou

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「ほう、その距離から正確に当てられるとはのう…」房州守が感心したように言うと「どうじゃ、一勝負せぬか？」とニヤリと笑い、弓を取り出した。「お互い交互に五回狙って当てられるか勝負じゃ。」そういうと弓を絞り放つ。ヒュッという音と共に飛び去った矢は的の中心に刺さった。 #swamou

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房州守は満足そうに土蔵の壁に小刀で○を刻み込んだ。館山は内心(こんな勝負がなんになる…)とも思ったが、やはり勝負と聞いては負けるわけに行かなかった。肩をグルグルと回すと、大きく振りかぶって投げた。ビュッと音を立てた硬球は的の中心に当たり先に刺さっていた矢を折った。 #swamou

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「ほう」と言いながら房州守は土蔵の壁に刻み込んだ○の下にもう1つ○を彫り込むと、先ほどより少し真剣な眼差しで矢を放ち難なく当て、最初の○の横に新たに○を刻み込んだ。お互い譲らす３回目、「私が勝ったら何を貰えます？」と言いながら館山の投げた硬球はやはり的に当たった。 #swamou

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房州守は弓を引き絞りながら「そうだな・・・館山殿が元の国に帰れる方法を教えてやろう」と言った。「方法を知っているのか！」身を乗り出して聞こうとする館山。そして房州守放った矢は大きく的を反れ植え込みに飛び込んだ。「外れた！さあ、教えてくれ！」と言い寄る。 #swamou

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房州守が「いや、当りだ」と言うと植え込みが揺れ、手裏剣を持った忍者が倒れてきた。「うわあっ！」思わず館山が声を上げる。房州守が壁に○を刻みながら「館山殿は暫くの間、居間の押入れに隠れておれ。」と言うと館山を押入れに押し込み「曲者じゃ！誰かおらぬか！」と声を上げた。 #swamou

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トトトッと廊下を走る音がしたかと思うと「館山様！只今、この屋敷に忍びが数名入り込んだ模様！すぐに城内にお逃げください！」と声がした。館山が少しだけ押入れを開けて見ると・・・田中浩康がいた。いや刀を持っている所を見ると、この世界の田中浩康なのだろう。 #swamou

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命がかかっていると言うのに、少しだけ笑いが込み上げてきた。と、障子を開けてもう1つ人影が飛び込んできて「館山様！そいつは私に変装した忍びです！お逃げください！」と叫んだ。なんと、その人影も田中浩康だった。「田中が二人・・・どっちが本物なんだ？」困惑する房州守。 #swamou

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二人の田中浩康はにらみ合い「何を言う！私が田中だ！」「貴様！正体を明かせ！」と二人の田中が切り合いを始めた。その様子を見ていた館山は(どちらが本物か分からないが…片方は、きっとそうなんだろうなあ…)と思い、意を決して押入れを開けて飛び出しセットポジションで構えた #swamou

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そして投球モーションに入りながら、こう叫んだ「おい山井！」と、二人の田中のうち片方が「なぜ私の名を！」と口走ったのを聞いて、そちらの方に渾身のストレートをぶち当てた。倒れこみ気絶する田中…いや山井を見て田中は山井の顔を気味悪そうに見た後、他の忍びの探索に向かった。 #swamou

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房州守が「良く分かったな」と笑った。館山は山井の落とした刀で壁に計8個目の○を刻みながら「ええ、まあ」と曖昧な返事をする。と、(ポツリ・・・)その刀を持った手に水滴が落ちたかと思うと、あっという間に豪雨になり夜だというのに辺りは真っ白になった。 #swamou

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「これは・・・あの時と同じくらいの雨・・・」と、房州守が「館山殿、すぐにその土蔵の中に入るんだ！」と言った。「どういう事です？」と聞き返すと「館山殿が現れる直前、同じような豪雨だった。同じような時、同じ場所に居れば戻れるかもしれない。」と言い、土蔵を開けた。 #swamou