藤原編集室(@fujiwara_ed)さんのH・R・ウェイクフィールド『ゴースト・ハント』収録作紹介

藤原編集室(@fujiwara_ed)さんのH・R・ウェイクフィールド『ゴースト・ハント』収録作を紹介,関連情報等も追加
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藤原編集室 @fujiwara_ed

9月のある昼下がり、出版社のチェルトナム氏のオフィスに、カトウという日本人がやってきます。出版したいという詩集の原稿を、あまり気乗りせずに預かったチェルトナム氏ですが、一読、その素晴らしい才能に驚かされます。

2012-06-18 09:50:32
藤原編集室 @fujiwara_ed

これは天才の作品だ。氏は早速、カトウ氏と契約をかわして、原稿を印刷所にまわします。彼の頭の中では、本書の刊行が読書界に巻き起こす称賛と興奮の嵐を早くも思い描いていました。

2012-06-18 09:50:59
藤原編集室 @fujiwara_ed

しかし、校正刷の出るのが思いのほか遅れ、その理由を氏が尋ねると、印刷屋は、残業中の植字室に小柄な黒い髪の男の姿がみえるというので職人たちが嫌がっている、と不思議なことを言います。やがてチェルトナム氏の周囲でも、怪しい出来事が次々に・・・。

2012-06-18 09:51:27
藤原編集室 @fujiwara_ed

呪われた書物など「本」の怪談は数多くありますが、「出版」そのものにまつわる怪談はめずらしいのでは。また、本作にはカトウ氏の他にもうひとり日本人の名前が登場しますが、その名はなんと「ゴネサラ」。作者はいったいどこからこんな名前を引っぱり出してきたのでしょうか。

2012-06-18 09:53:07
西崎憲 @ken_nishizaki

怪奇豆知識。東京創元社から刊行されるウェイクフィールドの短篇集『ゴースト・ハント』に収録された「“彼の者、詩人(うたびと)なれば・・・”」に登場する奇妙な名の日本人「ゴネサラ」氏は、倉阪鬼一郎氏のある作品にも「五根皿」氏として登場しています。どの作品かは楽しみながら御調査下さい。

2012-06-18 10:25:57
江波倉子(CV雨宮伊都) @serpentinaga

創元推理文庫版ウェイクフィールド短編集『ゴースト・ハント』所収の「“彼の者現れて後去るべし”」について。ラヴクラフトは1930年ロングに会いにNYを訪れた際、本短編の入ったThey Return at Eveningを購入しています(1930年10月17日付ロング宛書簡参照)。→

2012-06-18 12:04:32
江波倉子(CV雨宮伊都) @serpentinaga

→そして、1935年3月6日付エミール・ペタヤ宛ラヴクラフト書簡ではこう述べられています。「1890年代の流行を追うデカダン派どもは凡ゆる類の禍々しい黒ミサカルトに属しているふり、凡ゆる類の寒気だつオカルト知識に通じているふりを好みました。→

2012-06-18 12:05:13
江波倉子(CV雨宮伊都) @serpentinaga

→この手の集団の唯一の生き残りが、やや宣伝過剰ぎみなアレイスター・クロウリー、……因みに彼は疑いなく、ウェイクフィールド作「“彼の者現れて後去るべし”」に登場する悪役のモデルです」。HPLがクロウリーのことをどう認識していたかがわかる貴重な一節です。

2012-06-18 12:07:26
藤原編集室 @fujiwara_ed

H・R・ウェイクフィールド『ゴースト・ハント』(創元推理文庫http://t.co/JaXVM80Y)収録作紹介の五日目は、「見上げてごらん」。

2012-06-20 16:30:59
藤原編集室 @fujiwara_ed

アドリア海に浮かぶ美しい島、ブリオニ島に神経衰弱の療養にやってきたパッカード氏は、ひとりの奇妙な小男に目をとめます。その男は食事のときも散歩中も、つねにおよそ35度の角度で上方を見つめていたのです。

2012-06-20 16:31:46
藤原編集室 @fujiwara_ed

パッカード氏はこの男の奇妙な振舞いに神経を苛立たせるものを感じ、頭から締め出すことにしましたが、島を出発する前日、嵐の迫る海岸のベンチで隣りあわせた男から声を掛けられます。

2012-06-20 16:32:29
藤原編集室 @fujiwara_ed

「私は悪魔の存在を信じる理由があると思っています」と言いだした男は、促されるままに、彼がかつて滞在した古い館にまつわる奇怪な言い伝えと、彼自身の体験を話し始めます・・・。

2012-06-20 16:33:17
藤原編集室 @fujiwara_ed

幽霊屋敷、お化け屋敷はウェイクフィールドお得意のテーマで、本書には他に「赤い館」「ゴースト・ハント」「目隠し遊び」「死の勝利」など、多くの傑作が収められていますが、そのヴァリエーションの豊かさにも目をみはらされます。

2012-06-20 16:34:14
藤原編集室 @fujiwara_ed

幽霊屋敷好きはウェイクフィールドだけではなく、たとえば本篇の訳者・南條竹則氏が訳出したJ・A・ブルックス『倫敦幽霊紳士録』(リブロポート)、P・アンダーウッド『英国幽霊案内』(メディアファクトリー)をひもとけば、英国の由緒ある建物には幽霊が付きものであることがよくわかります。

2012-06-20 16:36:01
藤原編集室 @fujiwara_ed

H・R・ウェイクフィールド『ゴースト・ハント』(創元推理文庫http://t.co/JaXVM80Y)収録作紹介の六日目は、「通路(アレイ)」。田舎屋敷を購入したカミングズ氏は週末に友人たちを招きますが、その家には「通路」と村人から呼ばれる用途不明の部屋がありました。

2012-06-21 14:43:26
藤原編集室 @fujiwara_ed

実は昔、この家の主は妻子を拷問したあげく狂い死にさせ、村人の手で火炙りにされたという言い伝えがあり、村の子供たちは日没後は決して屋敷周辺に近寄ろうとしないというのです。

2012-06-21 14:44:08
藤原編集室 @fujiwara_ed

「二度見ちゃいけない、二度見ちゃいけない/炎の小径の影なし坊主を二度見ちゃいけない」---子供たちの間に伝わる不気味な戯れ歌は、何を警告しているのでしょうか。本邦初訳、「呪われた部屋」テーマの怪談です。

2012-06-21 14:45:05
藤原編集室 @fujiwara_ed

H・R・ウェイクフィールド『ゴースト・ハント』(創元推理文庫)見本が到着(http://t.co/RPmmjaWx )。英国怪奇小説の正統を継ぐ傑作怪談18篇を収録。来週28日発売です。

2012-06-22 09:00:34
怪と幽 @kwai_yoo

いよいよかー。とても楽しみ。(雅)RT @fujiwara_ed: H・R・ウェイクフィールド『ゴースト・ハント』(創元推理文庫)見本が到着(http://t.co/cScS6XSp )。英国怪奇小説の正統を継ぐ傑作怪談18篇を収録。来週28日発売です。

2012-06-22 09:46:33
西崎憲 @ken_nishizaki

創元推理文庫からH・R・ウェイクフィールドの短篇集『ゴースト・ハント』が28日に刊行されます。訳者は鈴木克晶、倉阪鬼一郎、南條竹則、西崎憲です。穏健なゴーストストーリーから前衛的心理小説と言えるものまで収められています。18作品収録。

2012-06-22 13:12:07
怪と幽 @kwai_yoo

小野不由美の百物語怪談集『鬼談百景』(メディアファクトリー)と書き下ろし長篇怪談『残穢』(新潮社)、そして英国の小野不由美と異名をとる(嘘)ウェイクフィールドの怪談集『ゴースト・ハント』(創元推理文庫)をまとめて読める、ゴースト・ストーリー三昧の夏が来る!(雅)

2012-06-22 13:22:28
文庫新刊情報 @BunkoNewAM

『ゴースト・ハント (創元推理文庫)』(H・R・ウェイクフィールド/東京創元社) 2012-06-28 発売予定(あと6日) 画:http://t.co/gowhZPYI link:http://t.co/BoC56Q6i

2012-06-23 00:44:18
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藤原編集室 @fujiwara_ed

鈴木克昌氏の解説によると、この本は1930年代当時2万5千部以上売れたそうです。良い国、良い時代だ。@kwaidan_yoo 『ゴースト・ハント』発売記念ツイートその1。平井呈一翁遺愛の一冊。(雅) http://t.co/D4zHW9Ab

2012-06-23 07:56:13
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藤原編集室 @fujiwara_ed

『ゴースト・ハント』訳者陣のひとり、今本渉さんが《ミュージック・マガジン》7月号に登場。題して「大の大人がももいろクローバーZに「魂を抜かれる」件についての考察」。「芸能」、神がかりのパフォーマンスという観点から ももクロZ をみる。 

2012-06-24 19:40:18
藤原編集室 @fujiwara_ed

H・R・ウェイクフィールド『ゴースト・ハント』(創元推理文庫http://t.co/JaXVM80Y)収録作紹介の七日目は、「死の勝利」。

2012-06-26 09:43:00