Flying Zebraさんの「40年の運転制限に関する連続ツイート」について

福島第1・第2・・女川の状況、それと新しい原発の安全性向上についての知見。 そう言ったものから新しい原発の方が安全だろうと思っていました。 その辺もうちょっと考えないといけないのかなって思っているところです。 補足や関連情報ナドご存知の方はコメントいただけたら嬉しいです。
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Flying Zebra @f_zebra

原子力規制委員会を設置する法案がようやく衆院通過。本来関係ないはずの短期的な再稼働問題と絡めたために時間ばかり浪費して、本来の長期的な原子力規制のあり方についての議論はほとんど進んでいません。与党も野党も、自分の任期さえ無事にやり過ごせばいいとでも思っているのでしょうか。

2012-06-16 01:12:39

40年を超えるプラントは危険なのか?

Flying Zebra @f_zebra

枝野氏は原則40年での廃炉に随分こだわりがあるようですが、それが何故必要なのかという根拠は示されていません。実際のところ、高経年化プラントの安全性については世界中で数十年にわたって議論が重ねられてきましたが、40年を越えるプラントがより危険であるという知見はありません

2012-06-16 01:13:02
Flying Zebra @f_zebra

徹底した確率論的リスク評価を取り入れて規制を行っているアメリカでは、重大な事故だけでなく、ある一定の頻度で重大な事故に繋がるような軽微な事象についても発生頻度をモニタリングして、傾向を分析しています。軽微な事象であっても頻度が増えれば重大事故の確率も高まるという考えです。

2012-06-16 01:13:39
Flying Zebra @f_zebra

その結果、事象の発生頻度とプラントの運転年数に有意な相関は見られず、適切な管理を行えば古いプラントも新しいプラントと同等の安全性(低い事故発生頻度)を達成できるというのがコンセンサスとなっています。だからこそ、60年運転の免許が認められ、その先の更新も否定されていないのです。

2012-06-16 01:14:31
Flying Zebra @f_zebra

実際には、古いプラントで高い安全性を確保するには新しいプラントよりも費用が掛かります。また、出力も小さなものが多いので、費用に見合う便益が見込みにくく、事業者にとって運転を継続するメリットがなくなる「経済寿命」が機械的な寿命より先に来ることになります。

2012-06-16 01:15:33

海外での状況は?

Flying Zebra @f_zebra

原子力の規制というのはどの国でも原子力プラントの安全を確保するのが目的なので、安全に直接関わりのないプラントの運転年数を規制している例はなく、廃止時期は経済的なバランスから事業者が判断することになっています。

2012-06-16 01:16:35
Flying Zebra @f_zebra

ドイツやスイスなど、国策として段階的な脱原子力を進めている国においても法的な運転年数の制限はありません。ただし、政府と事業者が柔軟性のある段階的廃止計画に合意しています。ドイツでは合意よりもさらに早めることになるため、政府と事業者の間で補償の交渉が行われているところです。

2012-06-16 01:17:30
Flying Zebra @f_zebra

例外的に30年の設計寿命を定めているのがロシアです。ただし、安全性向上策を施して評価を受けることで延長が認められています。既に30年を越えて運転しているプラントも複数あり、これらは少なくとも40年運転される計画となっています。

2012-06-16 01:18:24
Flying Zebra @f_zebra

枝野氏のアイディアに最も近いのが、かつてのアメリカでしょう。以前アメリカでは、運転認可は40年とされていました。TMI(スリーマイルアイランド)以降新規建設が途絶えてしまったため、そのままではエネルギー供給に重大な支障を来すとして2000年から20年ずつ延長が可能になりました。

2012-06-16 01:19:37

ここからは憶測ですが。

Flying Zebra @f_zebra

ここからは憶測ですが、恐らく枝野氏の中では30年程度の最短コースでの完全な脱原子力という前提があるのでしょう。その目的のためには、運転年数を制限するのが最も確実です。アメリカですらTMI以降30年間新設は途絶えました。日本でも当面は新設が認められる可能性は低いでしょう。

2012-06-16 01:20:29
Flying Zebra @f_zebra

つまり、法規制で運転年数を40年に制限してしまえば、黙っていても原子力の依存度はどんどん下がり、30年後には完全にゼロになります。脱原子力が究極の目的だとすれば悪くない戦略です。問題は、それが安全な社会の実現にとってプラスになるとは限らないことです。

2012-06-16 01:21:41

今後のエネルギー政策をどう考えるべきか

Flying Zebra @f_zebra

エネルギー問題は非常に複雑な問題で、日本くらいの経済規模ですと世界の一次エネルギー供給体制への影響も避けられません。エネルギー戦略を練り直すのであれば、10年単位の時間をかけた議論と調整が不可欠なはずです。どの国でも、時間をかけて議論しています。

2012-06-16 01:23:13
Flying Zebra @f_zebra

政治家が政治的な判断をするのに必ずしも科学的な根拠は必要ないのかも知れませんが、国家の将来を大きく左右するエネルギー戦略に関して、十分な検討をすることなく従来の計画を覆し、実現性が確認されてもいない方向性を強引に進めるというのは、閣僚として極めて無責任だと思います。

2012-06-16 01:24:20
Flying Zebra @f_zebra

30年後に完全に脱原子力を達成することが、原子力に頼り続けるよりも確実に社会のためになると信じるのであれば、その根拠を示して国民に訴えるべきでしょう。長期的な戦略についての議論から逃げ、安全性からは何の根拠もない運転年数の制限という「戦術」を押し通すのは卑怯です。

2012-06-16 01:27:11
Flying Zebra @f_zebra

専門的な知識のない一般の人は、運転年数を制限するという法案が出されればそれだけで古い原子炉は新しいものより危険だと思い込むでしょう。先に説明した通り、これは明確に誤りです。敢えて誤解を招き、自らに有利なイメージに誘導するというのはニセ科学でもよく使われる手法です。

2012-06-16 01:29:17
Flying Zebra @f_zebra

本気でこの国の将来を良くしたいのであれば、姑息な戦術に頼らず、堂々と議論すべきです。原子炉の運転年数を40年に制限するのであれば、根拠のない直感に訴えるのではなく、科学的な根拠を示すべきです。根拠が示せないということは、戦略そのものに妥当性が乏しいということに他なりません。

2012-06-16 01:30:20
Flying Zebra @f_zebra

40年の運転制限に関する連続ツイートは以上です。こんな時間なのに、起きてる人が結構いるんですね。

2012-06-16 01:33:32

もし同じ設計の炉であれば、古いものは劣化した分危険性が上がると思われるし、新しい設計では新しい知見に沿った安全システム作られているんじゃないかと思います。
ただ、新しい安全システムの分、従来の安全性の一部を削っても同じ安全性が得られるわけですから、全設計として安全性を向上させているのかは分かりません
また、古くなった分、よりお金をかければ新しい時と同様の安全性を確保できるという部分はあると思います。(そういう話も↑でされています。)
この辺りは全然知識が無いので、まともな質問すらできる自信がありません。もし詳しい方がいらっしゃれば、補足などをしていただければ幸いです
また、参考になるデータなどをご存知の方は教えていただけると嬉しいです