Sサーニャ ドSサーニャ

素晴らしかったのでまとめました。
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@lowen_lowe

Sサーニャ ドSサーニャ

2012-06-18 15:06:46
@lowen_lowe

1)エイラはもがいていた。絶え間なく与え続けられる苦痛と疲労は、いっそ自我などかなぐり捨ててしまいたいと思わせるほどだが、しかしその疲労と苦痛を与え続けている当人が、どうしても自分がエイラであることを忘れさせてくれないのだ。「エイラ、なんで寝るの?」再び電流、声にならない絶叫

2012-06-18 15:14:17
@lowen_lowe

2)エイラと仲良くしている、という実感はあるし、もしかしたらエイラに好意を抱いているのかもしれない、という感覚もあった。だが、それが大きくなるほど、かえって自分が気に喰わないエイラの部分が際立って見えてしまうのだ。どうしたらいいだろう?サーニャは考えた

2012-06-18 15:16:10
@lowen_lowe

3)結論が出なかったので誰かに相談することにした。人当たりのいい、付き合いの良さそうな知人といえば、真っ先にシャーリーを思いつく。風呂場で一緒になったときを考えていたが、なかなか機会がないので呼び出して相談してみることにした。場所は基地の外周にある茂みの中。他に誰もいない。

2012-06-18 15:18:51
@lowen_lowe

4)シャーリーが恋愛相談だと思ったのも無理はないだろう。サーニャはあえて相手の名前を伏せた。「誰だろうなぁ、誰かなぁ」意地の悪いにやけた顔でサーニャをいじめつつも、シャーリーは相談に乗ってくれた。意識するほど相手の良い点も悪い点も大きくなって見える、悪い点をどう見ればいいか

2012-06-18 15:21:09
@lowen_lowe

5)「そうだなぁ、私なら」シャーリー自身に恋愛の経験があるかどうかは知らないが「相手を強引に私好みにしちまうかもな」それはえらく突拍子もないアイデアで「あの手この手で。具体的にどーやるかっていうと、まぁ、なんだ。相手によるから一概にはいえないかな」気弱な相手なら?「押せ押せ!」

2012-06-18 15:23:06
@lowen_lowe

6)サーニャは押すことにした。強引にエイラを自分好みにしてしまうことにした。「エイラ、ちょっと話があるの」使われていない地下室にエイラを連れ込むのは造作もなかった。後ろから瓶で頭を殴り気絶させるのもうまくいった。手足を椅子に縛りつけ目隠しをして、後頭部の手当てをし、起きるのを待つ

2012-06-18 15:25:04
@lowen_lowe

7)サーニャの話は簡単だった。「エイラ、なんでも自分がリードしようとしないで」「私はエイラと一緒に歩いていきたいの。エイラのものになりたいんじゃない」「でもエイラはそうは思っていないみたいだから」「私がエイラを私のものにする」

2012-06-18 15:26:47
@lowen_lowe

8)まずサーニャはエイラの髪に鋏を通し始めた。エイラはそれなりに自分の長い髪を気に入っていたので、触覚と音で髪を切られていることに気づいたときわめいたが、サーニャは首にかけたロープをくいと引っ張ることで黙らせた。数秒間も絞めると静かになる。息を詰まらせたエイラが再び喋る前に切る。

2012-06-18 15:29:46
@lowen_lowe

9)だんだんとエイラは反抗しなくなっていった。だが散髪が終わり、目隠しを外され、サーニャとおそろいの長さにされた自分を鏡で見せられたエイラは「ねえ、エイラ。これで一緒。嬉しい?」の言葉に涙声で返答した。「なんで泣くの?」「嬉しくないの?」サーニャは再び縄を引っ張る。

2012-06-18 15:32:48
@lowen_lowe

10)「エイラは私と一緒にならなきゃいけないの。平等じゃなきゃいけないの。本当はその足を斬って身長も同じにしたいし、目の色を薬品で換えてしまいたいし、声は換えられないから喉を潰して喋れなくしてしまいたい。でもそれじゃ可哀想だから平等になる努力をする時間をあげる」エイラは泣き叫んだ

2012-06-18 15:35:33
@lowen_lowe

11)「いやだよ、おかしいよ!サーニャは一体どうしちゃったんだ!私に不満なところがあるなら言ってくれればよかったのに!酷いことしなくたってサーニャの言うことなら!」「きいてくれた?」エイラはサーニャが持っているものに気づき、真っ赤な顔面を蒼白に換える「聞くよ、きまってる」

2012-06-18 15:38:01
@lowen_lowe

12)サーニャの手にした電極がエイラの首に突きつけられ、エイラの身体が激しく痙攣した。サーニャはたまらなく不愉快だった。「聞いた?嘘。エイラ、私の話なんて真面目に聞いてくれなかったじゃない。私の話だから仕方なく聞くばっかりだったじゃない!」サーニャの激昂は珍しい。しかも暴力を伴う

2012-06-18 15:39:52
@lowen_lowe

13)電極を外されたエイラはしばらく声も出ない様子だったが、ホースで水を浴びせられると狂ったように泣き出した。もういやだ、帰りたい、私が悪かった、許してください、ごめんなさい、なんでもします。なんだ、エイラはこのくらいで自我を投げ捨てるのか。サーニャは失望露に部屋に鍵をかけて出た

2012-06-18 15:42:33
@lowen_lowe

14)部屋に戻って、愛読書をもう一度めくる。リーネの故郷の人間が描いた作品で、オラーシャの体制を批判した作品だった。だがそれゆえに引きつけられるものがあり、特に後半、主人公が拷問で信念を打ち砕かれるシーンはお気に入りだった。オブライエンはどうやったんだっけ。それを確認して戻る

2012-06-18 15:44:58
@lowen_lowe

15)部屋の中は静かだったが、ドアが開いた瞬間にエイラが悲鳴を上げたので、サーニャはエイラの口を塞ぐことにした。「好きだったよね、エイラ」エイラのズボンを外して口に詰めてやる。静かになった。さぁ、エイラを徹底的に否定し、破壊し、そしてその抜け殻にわたしを充填するのだ。

2012-06-18 15:48:17
@lowen_lowe

16)「エイラ、あなたはだれ?」矛盾した質問が浴びせられる。もう二日間寝ていない。サーニャはいったいどこからこんな体力を搾り出しているのだろう。「イッルだよ」消えそうな声でそう返答した。私はイッルだ。それ以外の誰でもない。そういえばサーニャとは誰だ?激痛。悲鳴を上げる力もない。

2012-06-18 15:51:01
@lowen_lowe

17)エイラは501を否定することで、忘却することで自我を維持しようとした。これはどこか敵国軍により行われている尋問であり、自分は軍事機密を守らねばならない。悪魔のようなやつらだ。戦時国際法を守れ、誰が屈するものか。言葉に出ているのか出ていないのか。ただエイラは耐え続けた。

2012-06-18 15:53:43
@lowen_lowe

18)結局のところ、サーニャはエイラを屈服させることができなかった。その前にサーニャ自身が力尽き、二人がいないことを不審に思った皆の捜索で発見され、拷問は終わりを告げた。ミーナは激昂し、サーニャは営倉に放り込まれたが、問題はそれよりもエイラのほうだ。宮藤が回復させたものの……

2012-06-18 15:56:21
@lowen_lowe

19)「ユーティライネン少尉、身体は……」「煩いぞ、カールスラントの豚め。スオムスに対していい顔をしていたくせに、オラーシャの仲間か。もう信じるものか」バルクホルンが声をかけてもこの具合だ。もはや修復不能だった。スオムス軍人になりきり、自我を閉じ込め、それ以外を忘れてしまったのだ

2012-06-18 16:00:21
@lowen_lowe

20)「少佐、あれをどうするんだ」「ここに置いておく限り彼女は自分を捕虜だと思っているからな……何をしでかすか解らない」自由にさせたら破壊工作を目論む恐れすらあった。彼女はネウロイのことなど忘れている。本国へ送り返すこともできない。誰も彼もが途方に暮れた。「それで、サーニャは」

2012-06-18 16:04:01
@lowen_lowe

21)「まさか501で銃殺刑をやる嵌めになるとは思わなかった」「連合軍とオラーシャの関係は悪化するわね」「501は解散か?」「私が責任を取るだけよ、あなたが後を継いでほしいのだけど」「おい、バカな真似は!」 小さな銃声がひとつ響く。また開かない部屋がひとつ増えた。

2012-06-18 16:06:57
@lowen_lowe

22)シャーリーの部屋も閉まったままなかなか開かなかった。補充が来て、坂本少佐が司令官になり、501は再び動き出す。バルクホルンは少佐になった。無論、そこにミーナが築いたアットホームな雰囲気は残らなかったし、リベリアンが堅物と衝突する風景もない。責任を感じた彼女は口数を減らした。

2012-06-18 16:09:17
@lowen_lowe

23)誰が何を間違えたのだろう?そもそもミーナが自由恋愛をもっと頑なに禁じていればよかったのか?それは違う。実物のサーニャはこんなことはしないし、エイラはサーニャをきちんと扱っていた。そこにこのような致命的な齟齬が生じる余地はない。

2012-06-18 16:11:43
@lowen_lowe

24)つまり、あれはサーニャではなかったのだ。サーニャに化けたネウロイだったのだ。そうとしか考えられない。実物のサーニャは夜間哨戒中に撃墜されており、そのときネウロイがサーニャをコピーして、何食わぬ顔で501に送り込んできたのだ。戦闘力を減じる工作を行うために。

2012-06-18 16:13:06