病院と軍隊：相手の身になって考える

ネヨ筑摩屋松坊堂⋈ 🇺🇦 @chikumaya

「相手の身になって考える」は別に倫理とかそういうのぢゃないという話をしよう．

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「筑摩屋さん採血うまいんですよね，採血の秘訣を教えて下しあ」オレ「献血をしろ！！」いや実際には採血がそれほど上手い訳ではないと思うが（結構しくじるし），しかしいままで124回の #献血 経験が無ければ今の自分の技倆は無かったとは思う．

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それはそうやって訊かれる度に言っているのだが，別に針を刺されて痛い思いを自分も味わえというのではなく，#献血 回数を重ねてその痛みに慣れてきたら，「静脈にうまく針が入った」感触を覚えることができるからなのだ．

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で，軍隊の話．毛沢東語録だったか，「敵が我々の作戦を褒めたとしたら，それは敵を利するまずい作戦なのである．敵が我々の作戦を非難すればするほど，それは我々にとって良い作戦なのだ」という格言が中国にあるという．

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「相手の身になって考える」これはあらゆる「戦い」（ビジネスでも訴訟でも）に於いて勝機を探す秘訣なのだが，看護だとなぜかヘンな自己犠牲精神の発揮の場とされてしまう．

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以前にも言った通り，モンスターペイシェント予備軍と呼ぶべき人々がなんかわめいていたら，まず我々がやるべきは「その言葉に隠された真意（瞋恚）の本質は何か」「何が彼／彼女にそう言わせているのか」をアセスメントする事だ．それこそが医療者の土俵なのだから．

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そうすればモンペの言いなりになることはないし，言いなりになるべきでもない．「自分が敵の立場ならどんな作戦を組むか」は戦争では勝敗を決する肝だが，医療においても必要なことなのだ．

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ていう結論をとあるクレーム事案の始末書に書いたことがある．

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ところが想像できない場合というのがある．自分の子供なり恋人なりが病院に行くと，テストステロン全開のオスは「どうすればこんなにえげつなくなれるんだ」て感じで病院に無茶を言って来る．

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或いはターミナルの人が救急車で「100キロ先にかかりつけの病院があるから，そこにやってくれ，自分はそこで死にたい」と言うとかね．

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だがそれも予想可能なことだ．自分の生命，或いは自分の遺伝子を残すカノジョや息子のためならどんなに汚い存在にもなれる，それが生き物ってもんだ．人間社会のかりそめの法律や礼儀なんて吹っ飛んで当たり前だ．

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その極致が戦争である．だから軍隊では，相手にどんなに汚い手段を使われても矜持を保つように交戦規定（RoE＝Rule of engagement）が厳しく定められる．違反すれば軍法会議で銃殺刑だ．

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最近米軍では，コーランを燃やしたり敵の死体に小便をかけて問題になる兵士が出ているし，日本に来たアメリカ占領軍ってのも終戦直後は好き放題やってたりしたが･･････

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そういうのがみんな軍法会議送りになるのが軍隊という組織である．相手が命がかかった状況で汚い手を繰り出してくる，それに対して遵法に対処する，その術も病院は軍隊に学んだほうがいい．