肌が黄緑色になってしまったショックと、自分の肌がまだ「もち肌」に相応しいという喜びという、二つのせめぎ合う感情に振り回され、イタコ姉さまはへたり込みます。 ――そんな彼女には目もくれず、ずん子は再びきりたんを狙っていました。
2012-06-20 20:04:07じりじりと追い詰められて、後退していくきりたん。やがて壁に小さな背中がついてしまい、逃げ場がなくなってしまいます。 もはやずんねえさまを説得するしかない。そう決意したきりたんは、小さな声をできるだけ張り上げて、おずおずと口を開きました。
2012-06-20 20:04:20――ずんねえさま、思い出してください。あの優しかったねえさまを。わたしの言葉を忘れずに、ホタルイカを使った料理を作ってくれたねえさまを。わたし、楽しみなんです。ホタルイカは食べられなかったけれど、ねえさまと一緒にホタルを見に行きます。見に行きたいです。
2012-06-20 20:04:33――ずんねえさま……本当のずんねえさまは、どこへ行ってしまわれたのですか。ずんだを愛し、それと同じくらい人間を愛している、あのずんねえさまは……。
2012-06-20 20:04:48きりたんの言葉が通じたのでしょうか。ずん子は突然頭を押さえて、片膝をつきます。バーサーカーずん子が、ダメージを受けているのです。 自分の言葉が通じた。そのことを知ったきりたんは、いまが好機とばかりに、まくし立てます。
2012-06-20 20:05:14――そもそも、ねえさま? ねえさまは『ずんだ』全てを愛しているはずでしょう? ずんだはお餅だけではありません。ずんだ汁も、ずんだアイスも、あるんです。
2012-06-20 20:05:28――すべての「もち」をずんだ餅に変えてしまったら、他のずんだ料理たちはどうなるのですか? ずんだ餅の影に隠れて、ずんだ料理とは認められなくなってしまうかもしれません。 ねえさまが愛情こめて作った、数々の創作料理たちもです!
2012-06-20 20:05:43ずんだのために行ってきた行為が、かえってずんだの首を絞めていた。 知りたくなかった事実を突きつけられて、ぐらりと、ずん子の身体が傾きます。
2012-06-20 20:06:14今こそ、暴走してしまったずん子のずんだ愛を落ち着けるチャンス。 頭を抱え、短い呼吸を繰り返す目の前のずん子に向かって、きりたんは、トドメとばかりに言い放ちました。
2012-06-20 20:06:40――ずん子の頬に、一筋の雫が伝います。 ずん子の金色の瞳に力が戻ってきて、憑き物が落ちたかのように、全身の禍々しいオーラが霧散し――いつもの笑顔が、帰ってきました。 http://t.co/Tbm8Yv4y
2012-06-20 20:09:02ごめんね、きりたん。私が間違ってたよ……( ;∀;) 世界はずんだ餅だけじゃない。ずんだはもっともっと、色んな可能性にあふれてる!(`・ω・´)ってことだね!
2012-06-20 20:09:34感動の再会。しんみりとBGMが流れ、姉妹は涙を流しながら抱き合ってハッピーエンド! そう思って油断したずん子を、後ろからイタコ姉さまが羽交い締めにします。顔まで緑色なものですから、彼女の鬼気は並大抵ではありません。 感動の再会の場は、あっという間に、再び修羅場へと変化しました。
2012-06-20 20:10:39