- toshihiro36
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行世:どれだけの仕事量っていうか、仕事が来るかっていうのもまだ全然わからないんで。そういう点ですかね。仕事がなければ、もちろん収入もないんで。その点がいちばん心配なところです。
2012-06-23 09:17:20<ナレーション> 父親の末永政次さんは、水道配管工になるための職業訓練を続けていました。一緒に授業を受けているのは30人。ほとんどが新卒で仕事につこうとする、10代20代の若者です。授業はすべてICレコーダーに記録しています。わからなかったところを聞き直すためです。
2012-06-23 09:23:33<ナレーション> 職業訓練が終わった後も、仮設住宅で復習を重ねる毎日。1日4時間、休みの日は10時間以上の勉強を続けています。
2012-06-23 09:25:37末永:もう…なんていうの、自分の力でやれるだけ精一杯…行きていくんじゃなくて、生かされたなかで精一杯、人生を全うしたいというか。それだけ。
2012-06-23 09:29:12<ナレーション> いよいよ就職活動が始まりました。さっそく配管の仕事を探します。選んだのは年齢や資格の条件を問わない、5つの会社です。末永さんはいったん家に戻って妻の明美さんと相談し、応募する会社を決めることにしました。
2012-06-23 09:37:03<ナレーション> 震災で失業した人の中には失業給付を受けられず、無収入の状態に陥った人たちもいます。個人で事業を営む自営業者です。美容師の米谷康予さん(40)です。海岸からおよそ1キロのところにあった店は、津波で全壊しました。店は3年前25年のローンを組み、新築したばかりでした。
2012-06-23 09:43:46<ナレーション> 2階は自宅にして、ひとり息子と2人で暮らしていた米谷さん。被災したのは息子の小学校入学を間近に控えた時でした。
2012-06-23 09:48:26米谷:息子が小学校に入ると、お店とアパートが離れていると寂しい思いをさせると思って…もう無理をして。そしてちっちゃい家だけど、壁紙ひとつにしても考えて考えてやりました。ハァ…
2012-06-23 09:52:34<ナレーション> 残されたのは営業することができない店、そして1500万円の借金です。再建のために新たなローンを組めば、月々の返済は現在の8万円に新たな借金の返済8万円が加わります。収入を絶たれた米谷さん、二重ローンはあまりにリスクが高すぎると店の再開に踏み切れずにいました。
2012-06-23 09:58:19米谷:急いで、国の政策を待たずに(市が)貸してくれれば一番いいんじゃないのかな、立ちあがるのには。(借金が)一本化になったら、みんな支払い年数が長くなっても、毎月の支払いで考えたときに苦しいと思わなくなるんじゃないかと。
2012-06-23 10:05:46<ナレーション> 米谷さんが訴えたのは、今の借金と新たに必要になる資金を一本化して市に融資してもらうことです。借金を一本化できれば、支払期間を長くして毎月の支払額を抑えることができるからです。
2012-06-23 10:10:04市の担当者:今回の被災状況があまりにも大きくて、二重ローンをひとつの自治体だけで解消するっていうのは実際には難しいんですね。
2012-06-23 10:11:53米谷:私たち(自営業)のことって、なんか置いてけぼりで忘れられてるんですね。結局は二重ローンが始まるんだって、やっていけるわけないよなぁ。せめて毎月払う金額が少なければ、生きていけるのになって思います。
2012-06-23 10:15:48<ナレーション> 結局、二重ローンを組むしか方法はありませんでした。米谷さんは地震保険でおりたお金で高台に土地を買い、それを担保に店を再建するための借金をすることにしました。月々16万円の借金を返していけるのか、不安を抱えた中での再出発です。
2012-06-23 10:20:05<ナレーション> 米谷さんの新しい美容室が開店しました。中古のトレーラーハウスを改装したものです。 1年半ぶりに会う、なじみのお客さんです。ひとり息子の香亮君、学校から帰ると店で過ごします。震災から1年を過ぎ、故郷でようやく前に進みはじめた米谷さんです。
2012-06-23 10:44:51<ナレーション> 被災地ではいま仕事につけず、日々の食べ物すら買えない人が出てきています。今年になって仮設住宅の玄関に貼られていた1枚の紙。「賞味期限切れの食べ物でいいから、お願いします」この張り紙をきっかけにNPOが食料の支援に動き始めました。
2012-06-23 10:51:25<ナレーション> 配布先は失業し、苦境に陥っている人たちです。佐藤一郎さん(仮名・45)、最初に訪れた時、3日間何も食べていなかったといいます。佐藤さんは日雇いの仕事に登録していますが、1ヶ月以上仕事がありませんでした。食べ物を買うお金もなくなったといいます。
2012-06-23 10:54:27<ナレーション> 震災前、佐藤さんは漁船の乗組員など、さまざまな仕事をしていました。これまでは生活に困ったことはありませんでした。自宅を被災し、交通の不便な場所にある仮設住宅に住むことになった佐藤さん。運転免許がないため、就職先が見つけにくかったといいます。
2012-06-23 11:01:04<ナレーション> ようやく見つけた日雇いの仕事もほとんど入らず、食べ物にも不自由するようになったのです。支援を受けている人の中には、震災前安定した仕事についていた人もいます。震災前、電子部品工場の正社員として働いていた男性です。失業給付も切れ、日雇いの仕事で暮らしています。
2012-06-23 11:05:12