双子でＤＱ風パロ～ロッカクカクの兄弟～

煌＠妄想専用【ベカ☆ひと300】 @kou_humo

「がッ…！」サエキの口から鮮血が飛び散りました。兵士の突き出した剣がサエキの脇腹を抉ります。握力を保てず、サエキは剣を落としその場に倒れました。「リョウ…アツシ…」それでも思うのはただ二人のこと。「どうか…」その先は声にならず、サエキはゆっくり目を閉じました。 #テニプリＤＱパロ

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リョウは与えられた船室から出ると、甲板に向かいました。海からの涼しい風がリョウの長髪を揺らします。結局船が出るまでにサエキは追いついて来ませんでした。アツシは船室に籠ってずっと嗚咽を漏らしています。「何のためにこんなことをしてるんだろう…」リョウが呟きました。 #テニプリＤＱパロ

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父を失い、故郷を捨て、憎しみを糧に生きてきた。だけど憎い仇を討つことは出来ずに、また大切な人を失って。「サエ…」リョウの頬を涙が伝いました。船はヒョウテールに向かって進みます。二人の悲しみなどまるで知らぬように。「リョウ…」そんなリョウに声がかかりました。 #テニプリＤＱパロ

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「あ、アツシ！？」リョウは咄嗟に目元を拭って振り返りました。アツシは握りしめた水晶玉を手に、リョウの横に並びます。「光がほんの少し強まったんだ」「え…？」「僕たちが導かれし、勇者様の光」「勇者？」「悪しき力からこの世界を救う方」 #テニプリＤＱパロ

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アツシが前を見つめます。「僕、もう泣くのはやめた。サエが命を掛けて護ってくれたこの命を、勇者様に掛ける。きっと勇者様ならあの進化の秘法から世界を救ってくれるから」「アツシ…」「リョウ。それで、間違ってないよね？サエはきっと喜んでくれるよね」「…ああ！」 #テニプリＤＱパロ

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リョウが力強く頷き、遠くにぼんやりと見える灯りを指差しました。「行こう、アツシ…俺たちに出来ることをするために」「うん。父さんとサエのためにも」悲しい双子の新しい旅が始まろうとしていました。 #テニプリＤＱパロ 【第四章・完】