兄に期待を抱かれたという使命感からか、弟の目はキラキラしてた。本当にそう見えたんだ。純粋な、忠実な僕(しもべ)の目だった。
2009-10-21 15:56:41「で、何を買ってきてくれたんだ!?」「これだよ、兄ちゃん!面白そうだったから!」 弟の手には黒いカセットが握られていた。
2009-10-21 15:59:26「何、これ?」「え?面白そうじゃない!?」「ま、まあやってみようか。」 当時僕は小学4年生。それまでの経験からパッケージを見て面白い/つまらないを判断するスキルはある程度習得していた。
2009-10-21 16:00:51明らかにそのソフトからは「つまらない」臭がプンプンしていた。が、とりあえずやってみないとわからない。わくわくしている弟を横目に、ファミコンの電源を入れる。
2009-10-21 16:01:43いや、確かにお金を出したのは自分だが、弟に判断をゆだねたのも自分だ。弟を責めるのは間違っている。が、当時の私は10歳。そのことに気付かず、弟を責めてしまった。
2009-10-21 16:04:10みるみる涙がたまる、弟の目。「だって。。。面白いと思ったから。。。」「いや、お前もみただろ?これ、つまらんよ。。。」「お兄ちゃんに喜ばれると思ったのに。。。」「いや、だけどつまらんもんよ。。。」
2009-10-21 16:05:06突然、弟は立ち上がって激こうした。「ひどいよ、兄ちゃん!ひどいよ!僕はっ!僕はお兄ちゃんのためにっ!」 「す、すまん弟、でもおまえがこんなの買わなければ」「知らないよ!ばか!」
2009-10-21 16:06:26弟は泣きながら出て行ってしまった。画面にはむなしくリセットされてオープニングを延々と垂れ流し続ける「太陽の神殿」が映し出されていた。
2009-10-21 16:07:10その頃少しずつ自責の念を感じ始めていた私だが、当時小遣いが月500円だったため、失った金額の大きさの悲しみが大きく、ふとどちらかの感情からかほほを一筋の涙が伝った。
2009-10-21 16:08:28ちなみに「太陽の神殿」はPCでは名作だったようです。よくあるファミコン移植でだめになった典型例かと。まあどちらにせよ10歳の子供がやるべきゲームではありませんね。。。
2009-10-21 16:17:35