細馬宏通@kaerusan氏による触感オノマトペツイーツ

ぷにょーん,と自分用のメモ.
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細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

今日、網棚から週刊現代をとって、オセロ中島と霊能師の記事を読んでいた。当時の彼女を目撃した人の証言として「肌がぱさぱさ」というフレーズを目にした瞬間、なぜか、「なぜ人はかくも乾燥を厭い、保湿をたっとぶのか」と妙な気分になった。それで。

2012-07-05 02:01:06
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

ぷるんぷるんだとか、しっとりだとか、湿度を思わせる単語が化粧品CMにかくも繁殖したのはいつからだったろうか、そんなに古いことではあるまい。そして、こうしたことばはどういうわけか、食品と共有されており、ゼリーだとかプリンだとかスポンジの食感にも使われる。

2012-07-05 02:04:06
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

肌の触感と口内の食感とがリンクさせられて、適度な湿度を持つことが弾力を持つこととリンクさせられている。肌を押したときの弾力性が、噛んだときに軽くこちらの力をはね返してくる口内のできごととリンクさせられている。

2012-07-05 02:06:08
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

お肌の保湿ワールドと、口内の食感ワールドは、ぷるぷる、しっとり、もちもちといったオノマトペによって、音の上でリンクするのである。これらオノマトペはいわば保湿ワードであり、われわれの乾燥意識に水分を与え、乾きやすい心を保湿する。

2012-07-05 02:08:44
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

かさかさ、ぱさぱさといった乾燥ワードは、ぷるん、しっとり、もちもちした保湿社会をおびやかし、転落の象徴のごとく響く。

2012-07-05 02:10:31
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

じつのところ、口の中に入れる食物は、ぷるんだのもちもちっだのしっとりだのといったことばでシミュレートできる噛み応えを持っているわけではない。むしろ、口内ではむにゅ、とかにっちゃにっちゃとか、じゅぐといったことばが似つかわしい、まことにべたべたねばねばした運動が起こっている。

2012-07-05 02:12:56
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

湿度を表す上品なオノマトペは、リアルな咀嚼行動や接触行動を、ほんのワンタッチのできごととして時間的空間的にスロー再生どアップ処理された、きわめて人工的な音声の産物である。

2012-07-05 02:14:59
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

これはあくまでヤマカンだが、このようなオノマトペがCMに繁茂するようになったのは、おそらく、ビデオ時代以降、視聴者が自らスロー再生を繰り返し体験することができるようになり、できごとのディティールに過敏になってからあとではなかろうか。

2012-07-05 02:16:48
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

時間空間的に保湿効果が肥大した世界で、ありもしない、しっとり、ぷるん、もちもちをたっとび、乾燥を遠ざけ、現実界から遊離している。「木綿以前のこと」から、わたしたちの触世界はずいぶん遠くまで来てしまった。

2012-07-05 02:18:47
ミヤコ蝶々夫人 @xxkae_kaexx

@kaerusan 面白いですね。保湿が売り文句になる以前は、美容系はもっぱら“リッチ”がそれにあたった気がします。バブル後、ギトギトした豊かさから素朴な豊かさ(保湿性)に移行した気がします。東アジア我々は西欧の化粧品を珍重しますが、ただ今バンコクで南亜女性の肌の美しさに目眩中。

2012-07-05 03:35:56
oʞɐsɐ ɐɹnıɯ @asarin

細馬さん @kaerusan の触感オノマトペに関するツイート面白かった。

2012-07-05 05:52:04
ikeken @ikekenzzz

同感、同感、どかーん。しっとり。@asarin 細馬さん @kaerusan の触感オノマトペに関するツイート面白かった。

2012-07-05 07:53:49
中村聡史(BADUIの人) @nakamura

議事録で調べるとしっとりは1970年代後半から現れてるみたいですね http://t.co/tZYR88mH RT @kaerusan ぷるんぷるんだとか、しっとりだとか、湿度を思わせる単語が化粧品CMにかくも繁殖したのはいつからだったろうか、そんなに古いことではあるまい。...

2012-07-05 08:05:55
中村聡史(BADUIの人) @nakamura

とはいえ,数が少なくて弱いなぁ.でも,1970年代前半までは1件もあらわれず,70年代後半からのみ現れるというのは面白い http://t.co/3vW2NwRj

2012-07-05 08:10:30
shimatoneriko @saikoropon

@kaerusan ほんとに「潤い」を表すオノマトペの増殖、気になります。一方で、かさついた現実、ぱさぱさに枯れた心、など「乾燥」はひどい扱われようですね。乾燥が肯定的に使われるのは文体とビールくらいでしょうか?音楽用語の「secco」も否定的なニュアンスなく使われますが。

2012-07-05 09:33:21
神田ぱん @kandapan

@kaerusan 私も気になってました!95年から放映の「世界ウルルン滞在記」の存在は大きいのでは。あと04年に発売のロート製薬「極潤」、資生堂「肌水」あたりから「化粧品に日本語を用いる」ことが解禁された気もします。ここ十数年で発達したゲル化剤研究の成果でもあるんでしょうねー。

2012-07-05 09:46:09
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

@xxkae_uchxx なるほどなるほど、ある時点から、「塗りをできるだけ薄くする」ってあったような気がします。あと「ナチュラルメイク」ってのもどこかから始まったような。(雑ぱくな記憶ですんません、メイク無縁なもので)

2012-07-05 12:23:27
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

@asarin わー、togetterしてもらうとはおもわなんだー。ありがとうございます。

2012-07-05 12:24:15
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

@nakamura おお、議事録を調べる頭がありませんでした。ありがとうございます。どんな文脈だったんでしょうね、しっとり。

2012-07-05 12:27:34
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

@saikoropon さらっと、というのは使いますね。でも乾燥というよりは「べたつかない」という不粘着、摩擦の不在って感じで。

2012-07-05 12:28:37
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

@kandapan おお、ウルルンがありました。あと、化学テクノロジーの歴史、だいじですねー。

2012-07-05 12:29:10
中村聡史(BADUIの人) @nakamura

こんな文脈のようです.しっとりとした街/共同体/食事という表現ですね. http://t.co/3vW2NwRj RT @kaerusan @nakamura おお、議事録を調べる頭がありませんでした。ありがとうございます。どんな文脈だったんでしょうね、しっとり。

2012-07-05 12:50:48
神田ぱん @kandapan

@kaerusan 化粧品の保湿オノマトペは以前から気になっていて、ヒートアイランド(70年代に顕著化)時代に育った自分世代(現40〜50代)からぷるるんを欲するようになったのではないかと。「六甲のおいしい水」(83年)も流行したし…て擬音から離れた話ですみません。

2012-07-05 14:48:35
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

おお、実際の使用例まで出るとはすばらしいです。食べ物に使った最初はH16ですね。 RT @nakamura こんな文脈のようです.しっとりとした街/共同体/食事という表現ですね. http://t.co/Gx8tasnM

2012-07-05 17:42:27
細馬宏通(『フキダシ論』) @kaerusan

@kandapan ヒートアイランド現象の肌効果という問題をいま初めて知りました。不明を恥じる〜。資生堂等の歴代CM追っていくとわかるかもですね。ポカリスエットとかスポーツドリンクの勃興期てのも気になりますね。

2012-07-05 17:49:19