野尻美保子先生による、ヒッグス粒子の解説(分かりやすい、たぶん)改訂版

野尻先生によるTwitterでの解説をまとめてみました。単位云々の話が省かれているのは、ひとえに数学オンチである私の理解不足のせいです(・・;) 追記:ノーベル物理学賞受賞記念(?)で、リニューアル公開します。
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🐱野尻美保子(1) @Mihoko_Nojiri

あ、そっちに誘導するか(読んでないけど)RT @yasu_71: @Mihoko_Nojiri 橋本省ニ先生の「質量はどのように生まれるのか」という本は、対称性の破れについてもきちんと説明されていて、かなりわかりやすいと思います。

2012-07-05 20:09:14
🐱野尻美保子(1) @Mihoko_Nojiri

普通の粒子は0の周りにふらついてるんだけど、ヒッグス粒子の場合はなんか大きい真空期待値 v の周りのふらつきなのね。 @ainiasobu

2012-07-05 20:10:48
あ〜る菊池誠(反緊縮)公式 @kikumaco

いやあ、普通は真空期待値って言葉を知らないから、イメージできないと思う

2012-07-05 20:11:58
🐱野尻美保子(1) @Mihoko_Nojiri

ヒッグスっていうのは真空期待値が0のところは不安定という性質を持っている粒子なのね。電子とか、光とかは、真空期待値をもっていない。こいつらが真空期待値をもつと、空間に向きがついて、物理法則が方向によってかわっちゃうんだけど、そういう事実はないので。@ainiasobu  

2012-07-05 20:14:54
Hal Tasaki @Hal_Tasaki

@Mihoko_Nojiri 普通は「量子場の振動モードとして粒子が表現できる」ってことを知らないから根本のところでわからないと思うよ。さらに、「ヒッグス場」「(対称な真空での)ヒッグス粒子」「(対称性を破った真空での)ヒッグス粒子」を全部「ヒッグス粒子」って言ってるので混乱する

2012-07-05 20:19:27
🐱野尻美保子(1) @Mihoko_Nojiri

そーだねー。 粒子が波の性質をもってるというのは、しかしそれだけで一日もつような話題で。 @HalTasaki_Sdot

2012-07-05 20:20:58
Hal Tasaki @Hal_Tasaki

@Mihoko_Nojiri で、さらに言えば「量子場の振動モードとして粒子が表現できる」ということを理解してもらうには、最低限、調和振動子の量子力学で遊んだことがあるくらいの予備知識がいる。あと、やっぱり、連成振動もいじったことないとダメだよなあ。要するに難しいんですよ。

2012-07-05 20:21:43
🐱野尻美保子(1) @Mihoko_Nojiri

歌にすればいいのではないか、電子だって、波なんだ〜♪、光だって粒子なんだ〜♪

2012-07-05 20:23:37
🐱野尻美保子(1) @Mihoko_Nojiri

光に粒子性があるというのはγ線が測定器をカツカツならすのでみんな分かっていてもいいはずのような気がする。

2012-07-05 20:25:18
Hal Tasaki @Hal_Tasaki

@Mihoko_Nojiri そうそう。それは量子力学でしょ? それだけで、当分「もつ」。まして場の量子論になったら、ずっとずっと「もって」しまう。要するに、あっさりとは分からないものはある。それは認めたい。数学を使わずにきちんと理解する道もあると思うけど、時間がかかるのは確実。

2012-07-05 20:26:01
🐱野尻美保子(1) @Mihoko_Nojiri

それが大統一理論。RT @Iutach: @Mihoko_Nojiri それぞれの対称性が破れて獲得された電荷がちょうど同じ大きさで符号が逆なのは、更に上のレベルの対称性の名残り…とかなんでしょうか?

2012-07-05 20:35:10
🐱野尻美保子(1) @Mihoko_Nojiri

で、この質問の答えをかくまえに、なんでヒッグスは質量の元か RT @9umech: ヒッグス粒子が質量の元ってよく聞くけどヒッグス粒子が質量の元だとするとヒッグス粒子に質量があるって….. http://t.co/jxriYoEA

2012-07-06 06:15:29
🐱野尻美保子(1) @Mihoko_Nojiri

まず物質の運動や性質を表すのに質量以外にどういうパラメーターがあるか考えてみる。まず光の速度 これは 299792485m /s 。あとはプランク定数 6.626068 x 10-34 m^2kg/s この2つが1という単位系を発明すると長さ、時間 が質量の単位でかけるようになる

2012-07-06 06:21:47
🐱野尻美保子(1) @Mihoko_Nojiri

(これを自然単位系っているのね。みじかなものを自然単位系で表すのはあとでやるから)

2012-07-06 06:22:28
🐱野尻美保子(1) @Mihoko_Nojiri

この単位系で表すと電荷は単位のない量になる。つまりただの数字。素粒子は三つの相互作用をもっていて(強い相互作用と弱い相互作用と電磁相互作用)どれも固有の力(電荷)であらわせるんだけど、それは単位のない量。

2012-07-06 06:30:35
🐱野尻美保子(1) @Mihoko_Nojiri

実はヒッグスが真空期待値をもつまでは、素粒子の相互作用をあらわす方程式の中に質量の単位をもった量はヒッグスの質量しかない。

2012-07-06 06:32:23
🐱野尻美保子(1) @Mihoko_Nojiri

もっと正確にいうとこれは ヒッグスの質量じゃなくて、ヒッグスの質量変数といういう。ヒッグスの真空期待値(何度か説明)はヒッグスの質量変数の関数。ほかの粒子の質量は、ヒッグス粒子と物質の相互作用の強さを表す「湯川相互作用」で決まっていて 湯川相互作用xヒッグスの真空期待値が質量

2012-07-06 06:37:28
🐱野尻美保子(1) @Mihoko_Nojiri

質量の単位をもってる量がヒッグスの質量しかないので、素粒子標準模型で質量の単位をもった量(粒子の質量を含む)を計算すると必ずヒッグス真空期待値ー>ヒッグスの質量が出てくる。

2012-07-06 06:38:49
🐱野尻美保子(1) @Mihoko_Nojiri

で、もとの質問に戻ってヒッグスの質量変数はどこからきたの、って問題は答えがよくわからない。これを研究している理論屋さんもいる。

2012-07-06 06:40:05
🐱野尻美保子(1) @Mihoko_Nojiri

実は質量の単位をもってる量は「素粒子標準模型」の枠を出るともう一つだけあって、それは「重力定数」(重力の強さを表す量)これは 6.67384 x 10-11 m^3 /(kg s^2)とかいう量でこれを自然単位系になおしてプランク質量という量が作れる

2012-07-06 06:45:57
🐱野尻美保子(1) @Mihoko_Nojiri

プランク質量は 1.221 x 10^19 GeVつまり陽子の質量の 10^19 倍とか何これという感じの量。プランク質量は相互作用の強さを表すより基本的な量だし、きっとこれが本物だよね、ヒッグスの質量変数をこれで計算してみようね、とか考えるとうまくいかないので困る。

2012-07-06 06:49:58
🐱野尻美保子(1) @Mihoko_Nojiri

ここにあるヒッグス粒子の説明 (18page ) だと、素粒子の周りにヒッグス粒子があつまってくるように見えてなんかへんで、右側の海の例えはもうすこし本当に近い感じがする。http://t.co/51c7O3K4il

2013-10-09 06:46:41
🐱野尻美保子(1) @Mihoko_Nojiri

重い粒子はヒッグス粒子に大人気っていうのは、『ヒッグス場」と「ヒッグス粒子」の区別がついてない上に「粒子にヒッグス粒子がはりついてるから重さがある」という大間違いに発展しがちなので避けたほうがいいたとえだと思うのだよね。

2013-10-09 06:48:43
🐱野尻美保子(1) @Mihoko_Nojiri

温度がさがってヒッグス粒子の性格が変わる、っていうのも、温度がさがると真空からヒッグス場が出てくるみたいなほうが正しいんだよな。。。この図でツンツンヒッグス粒子君は実は「真空期待値が0」ってことで、、、、

2013-10-09 06:52:47
🐱野尻美保子(1) @Mihoko_Nojiri

で、海がヒッグスの真空期待値で水があるから魚の泳ぐ速度がかわるというたとえをやると(前ニコ生のときにそういう言い方をした)、じゃあ真空期待値が0になったら、海の底がみえて、苦しそうなお魚がピンピン跳ねているみたいな情景を想像するので、これも実はよろしくないのではないか。

2013-10-09 06:55:22