豊﨑由美・著『ガタスタ屋の矜持』に始まる、書評とは?批評とは?

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牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

豊﨑由美『ガタスタ屋の矜持』(本の雑誌社)読了。読者としてはめっぽう面白く、おなじ書評仕事をする身としては悲鳴と溜息が交互に出てしまう。悲鳴は極太の精神注入棒で尻を叩かれている気がするからであり、溜息は豊﨑さんの器量に惚れてしまいそうだからである。 

2012-07-02 12:19:02
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

書評集の類は世の中にあまたあって、ぼくも参考資料として携えてはいるが、読んで面白いものは少ない。なぜ面白くないかといえば、評者があまり本気で書いていないか、本気であっても論調に変化がない(どの本も同じアルゴリズムで処理している)からだ。 (続く

2012-07-02 12:19:40
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

まあ、書評はバイヤーズ・ガイドとしての機能さえ果たせばよいという考え方もある。しかし、非本気・単論調だと、一冊にまとまったとき、読んでいてだんだん飽きてくる。しかし、『ガタスタ屋の矜持』はちがう。本気度はなりふりかまわぬレベルで、作品ごとに異なった斬り結びかたをしている。 (続く

2012-07-02 12:20:01
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

作品ごとに評し方を変えるのは、豊﨑さんにかぎって小手先の技巧ではない。作品との相互作用だ。真摯な書評家は、オツに澄まして作品を判定したりしない。作品に押されたり引かれたり回されたり、もうぐるんぐるんになって、その動いている実感をなんとか文章化しようとする。 (続く

2012-07-02 12:21:06
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

言うなれば、作品をパートナーとした即興舞踏で、相手次第でどうにも変わる。あるときは華麗なリード&フォロー、あるときはめっぽう愉快なタコ踊り。『ガタスタ屋の矜持』には、さまざまなダンスが収められている。 (続く

2012-07-02 12:21:28
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

ぼくもつねづね見ならいたいと思っているのだが、思いきりが足らぬためか足腰が弱いせいか、なんとなく中途半端な盆踊りになってしまうのだ。

2012-07-02 12:21:48
豊崎由美@アンチ維新 @toyozakishatyou

まじ、目に水が。書評書いてきてよかったなあと心の底から思えた。ガイブン読みとしては足元にも及ばない、尊敬する牧さんからの言葉だったからだ。励ましをいただいた。牧さんの言葉を忘れないよう精進しようと思う。

2012-07-05 22:32:31
栗原裕一郎 @y_kurihara

豊崎由美さんより『ガタスタ屋の矜持』(本の雑誌社)いただく。帯はピンチョン・バージョンではなかった(笑)。『本の雑誌』連載書評から選ばれた計87本を収録。既読の本の書評から読み未読へと移る。やはり批評の一形態という考えが強いらしい>自分 http://t.co/vSISxyyQ

2012-07-06 01:46:37
栗原裕一郎 @y_kurihara

『ガタスタ屋の矜持』。あとがきに、辛口書評家と思われているが「実はこと書評に関しては実は批判はほとんど書いていません」とある。これは本の選択権を持っているからこそ可能な面もあり、わたくしなどは大抵の場合「この本書評して」と指定される。駄本率も自然そこそこになり悶絶するわけですね。

2012-07-06 01:58:04
栗原裕一郎 @y_kurihara

7/14の「com-post」批評イベントやまた文芸時評を始めたこともあって「批評(評論)とジャッジ」ということを考えている。批評(評論)家って作品がいいとか悪いとか好き勝手にいってる(ジャッジしてる)イメージがあり嫌われているわけだがw、実はジャッジって必ずしも不可欠ではない。

2012-07-06 02:05:29
栗原裕一郎 @y_kurihara

まあ詳しいことは7/14にでも話せればと思いますが、おれは批評(評論)って3次元で考えていて、xyz座標でいうとz軸が時間でxy平面が現在(の広がり)なんですけど、批評(評論)においてジャッジが不可欠とされるのってxy平面だけなんだよね。で書評というのは典型的にxy平面に属する。

2012-07-06 02:11:32
栗原裕一郎 @y_kurihara

z=0(現在)のxy平面上における批評(評論)にはジャッジを必要とする形態があり、それは書評であり時評である。だがジャッジのあり方はメディアおよび市場との関係ならびに要請によってひと通りではない。ジャッジに対して批評(評論)家がどのような意味と重きを置いているかもそれに応じる。

2012-07-06 02:27:27
栗原裕一郎 @y_kurihara

…この調子で書いているとけっこう長い論文になってしまうな(笑)。いきなり結論をいうと、おれ的にはジャッジというのは「せずにすめばありがたいのですが」商売的に要請として避けるのが困難で、ほどなく歴史の澱に沈み、いつか発掘されるかもしれない風俗資料を提供する作業という認識、ですかね。

2012-07-06 02:34:40
田中秀臣 @hidetomitanaka

栗原さん@y_kurihara 、僕も『ガタスタ屋の矜持』読むの楽しみですね。豊崎さんとは石原イベントで何度もお会いして、本当に同世代であることが嬉しくなるような味わいの深い方です。7日のイベントも参加いたしますので、またご教示ください! @toyozakishatyou

2012-07-06 02:02:37
栗原裕一郎 @y_kurihara

ありがとうございます。『ガタスタ屋の矜持』の前に『ニッポンの書評』(光文社新書)を読まれるとよいと思います! RT @hidetomitanaka 栗原さん、僕も『ガタスタ屋の矜持』読むの楽しみですね。@toyozakishatyou

2012-07-06 02:41:19
豊崎由美@アンチ維新 @toyozakishatyou

栗原さん、お忙しいのに目を通してくださってありがとうございます。田中さん、7日献本しますから買わないでくださいね。 @hidetomitanaka @y_kurihara

2012-07-06 02:06:40
和田尚久 @naonao200170

@y_kurihara ツイートの途中かもしれませんが、批評が審判(ジャッジ)になっちゃうと本当、つまらないですよね。でもそう思いこんでいる人が多数・・。

2012-07-06 02:16:58
栗原裕一郎 @y_kurihara

@naonao200170 その誤解(しかし多くの場合正しい認識)は、永遠に解けないものだと思いますw

2012-07-06 02:46:45
栗原裕一郎 @y_kurihara

まあ詳しいことは7/14にでも話せればと思いますが、おれは批評(評論)って3次元で考えていて、xyz座標でいうとz軸が時間でxy平面が現在(の広がり)なんですけど、批評(評論)においてジャッジが不可欠とされるのってxy平面だけなんだよね。で書評というのは典型的にxy平面に属する。

2012-07-06 02:11:32
栗原裕一郎 @y_kurihara

おれはネガティブなジャッジも必要だと思っているんですが、でも考えるとその「必要」はどちらかというとz軸上の問題になってくるのかな。まあ歴史を視野に入れると、個々人のジャッジなどそれ自体は芥子粒ほどのものにすぎませんよw

2012-07-06 03:04:33
藤津亮太/7月発売『増補改訂版「アニメ評論家」宣言』(ちくま文庫) @fujitsuryota

批評におけるジャッジについて @y_kuriharaさんのツイートをおもしろく拝読。僕個人は、「ジャッジ」はそれだけが一人歩きしやすいし、プラスならまだしも、ネガティブなのは「溜飲を下げる」効果とかがメインで、できれば避けたいなーと。それ以外に取り上げる意味があるものを語りたい。

2012-07-06 02:43:14
藤津亮太/7月発売『増補改訂版「アニメ評論家」宣言』(ちくま文庫) @fujitsuryota

個人制作でかつ、商業の論理の働きにくいもの、は「ここがダメ」指摘もフィードバックされやすいとは思う(コミュニケーションの土台があるのは前提)んだけど、集団でつくる大衆芸術(エンタメ)にはあまり効果がないような。ま、やりたいひとはやればいいと思うのですが>辛口評

2012-07-06 02:49:23
藤津亮太/7月発売『増補改訂版「アニメ評論家」宣言』(ちくま文庫) @fujitsuryota

ここのところ「言葉の流通」について考えていて、流通経路=コンテクストが共有できる場がいるよなぁとようやく思い至るようになったのだった。<遅い

2012-07-06 02:58:50
Hiroshi Odagiri @smallboxman

@fujitsuryota いやー案外流通してると思いますよ、「評価基準が共有されていない善し悪しの判断」。たとえば小林秀雄の評価基準とか誰が共有してるんでしょうか。

2012-07-06 03:02:07
藤津亮太/7月発売『増補改訂版「アニメ評論家」宣言』(ちくま文庫) @fujitsuryota

@smallboxman  文芸評論業界では、基準の是非は別としてある程度共有されているんじゃないですかね。

2012-07-06 03:06:14