小山薫堂・人を幸せにする企画術 第1回「先入観を捨てて発想せよ」書き起こし・ほぼ完全版
- toshihiro36
- 10528
- 0
- 1
- 38
冒頭のVTR
<ナレーション> 話題のテレビ番組を次々と生み出してきた放送作家。アカデミー賞受賞作品「おくりびと」の脚本家。「仕事学のすすめ」今月は小山薫堂さんです。多彩な才能を発揮している小山さんはラジオのパーソナリティー、企画を教える大学の教授、老舗ホテルの顧問など数多くの肩書があります。
2012-07-06 15:59:25<ナレーション> すべてのジャンルに共通するのは、新しい価値を生み出す企画を立てるということです。多くの人を喜ばせる企画とは、どのように生まれるのでしょうか。第一回は小山さんの仕事を通じて、ヒット企画を生み出す発想術を解き明かします。
2012-07-06 16:03:15野田:テレビ・映画やイベント・本の企画と、さまざまな分野でヒットを飛ばし続ける小山薫堂さん。なんといっても秀逸なのはそのアイデアです。「あっ」と人を驚かせ、そして深く共感させるそのアイデアは、いったいどこから生まれてくるのか。小山流発想法に迫ります。
2012-07-06 16:08:31ここから本編です
<ナレーション> 野田さんが小山さんが経営する企画会社を訪れました。会社の受付で待ち合わせのはずですが、小山さんがいるのはどこかお店のように見えます。
2012-07-06 16:12:13野田「おはようございます。ここでよかったんですよね?」 小山「はい、ここで。当社の受付になります、これ」 野田「パン屋さんですよね?」 小山「パン屋さんなんですけど、彼はここの店長兼受付係です」
2012-07-06 16:16:57<ナレーション> パン屋の奥にある秘密の扉、会社の訪問客はここから通されるようです。今日の対談は、受付奥の会議室で行われました。会社の受付をパン屋さんにしてしまった小山さん。その発想術とはどんなものなのでしょうか。
2012-07-06 16:25:38野田:事務所の受付がパン屋さんなのか、パン屋さんに事務所の受付を作ったのかよくわからないんですけども。どういう意図で、ああされたんですか?
2012-07-06 16:29:14小山:まず会社を新しく作った時に、受付が欲しかったんです。受付嬢を置きたかったんです。でも受付嬢を置くほどの会社でもないし、受付嬢を雇っても…それほどお客さんの来る会社でもないし、彼女は多分サボるだろうと。それにお金を払うのはもったいないなと。
2012-07-06 16:33:08小山:どうしようかと考えた末に出た結論が、受付嬢がお金を生むシステムを作り上げようと。あと、この辺にオフィスを構えようとした時に…この辺は飲食店が少ないので、パン屋さんができたらきっとこの辺のサラリーマンやOLの皆さんが喜んでくれるだろうと。
2012-07-06 16:37:26小山:そしてウチを訪ねてくるお客さんに場所を説明しやすい。駅を出てずっと歩いてくるとパン屋さんがあります、そこがわが社ですと。そしてお客さんが来た時に一見パン屋さん。でも「打ち合わせに来たんです」と言うと、パン屋さんの奥にある扉を開けるとオフィスがある。
2012-07-06 16:43:57小山:つまり、他のお客さんは「何だこの人?なんでパン屋さんの奥に入っているんだ?」と、やや優越感というんですか…昔のスパイ映画で本棚を開けると、裏にに秘密基地があるみたいな。
2012-07-06 16:47:54小山:意外とよかったのは、外の気配を感じるんですね。ふつう企画会社っていうと閉ざされた空間でみんなで考えますけど、このパン屋さんがあることによって、例えば雨の日にはこんなお客さんが増えるだとか、意外とゴールデンウィーク直前はお客さんが来ないねだとか。
2012-07-06 16:51:41VTRが流れます
<ナレーション> “もったいない”から生まれるという、ひとつめの発想術。次は小山さんが脚本を担当した、映画「おくりびと」での発想術です。この作品は所属楽団の解散に伴いチェロ奏者の夢をあきらめた主人公が、故郷山形に戻り遺体を棺に納める納棺師に転身するストーリーです。
2012-07-06 16:59:20<ナレーション> 実は小山さんはこの脚本を、ある特定の人に向けて書いていました。映画プロデューサーの中沢敏明さん、彼は納棺師という題材をエンターテイメントにすることは難しいと感じていました。そこで放送作家として人を楽しませる企画を次々と生み出していた小山さんに脚本を頼んだのです。
2012-07-06 17:03:53中村:なんか場末のサーカスみたいなものをシルクドソレイユみたいに…要するに「わあー」ってお客さんが喜んでもらえるような印象を、僕は番組を見てちょっと思ってたので。突然彼に電話をして…「喜んで」ってことで引き受けてくれることになった。僕にとってものすごいラッキーだったですね。
2012-07-06 17:11:47