クローズアップ現代「“里山”汚染メカニズムを解明せよ~福島農業・2年目の模索~」書き起こし・ほぼ完全版 #nhk 

6月20日に放送されたものを文字起こししています。 進行:国谷裕子アナ ゲスト:小山良太(福島大学・准教授)
11

冒頭のVTR

とし @toshihiro36

<ナレーション> 原発事故から2度目の春、福島の山あいの水田地帯です。去年は原発事故にもめげず米を作った農家が、今年は続々と作付けを断念していました。背景にあるのは稲の汚染の実態が明らかになる一方で、放射性物質がどのように吸収されたのか肝心のメカニズムが謎に包まれていることです。

2012-06-20 23:37:51
とし @toshihiro36

<ナレーション> 謎の解明を難しくしているのは、豊かな物質が循環し米に作用する里山の複雑な生態系。いったいセシウムはどう動き、どう稲に吸収されるのか。研究者たちが専門分野を越えて集結し、合同で調査。徐々に里山ならではの、セシウムの動きが浮き彫りになってきました。

2012-06-20 23:43:01
とし @toshihiro36

<ナレーション> 里山の稲の汚染メカニズムを解き明かそうと、模索を続ける研究者と農家。最前線からの報告です。

2012-06-20 23:47:08

ここからスタジオです

とし @toshihiro36

国谷:こんばんは、クローズアップ現代です。原発事故で農地が放射性物質に汚染されるという被害を受けた福島県の産地では、生産意欲を失う農家が増えることを懸念しています。自分が作る米が、目に見えない放射性物質に汚染されるのではないか。

2012-06-20 23:52:16
とし @toshihiro36

国谷:安全なものを作る自信を持てなくなった農家の方々が、福島県には少なくありません。というのも原発事故が起きた去年、福島県の農家の人々を戸惑わせる事態が起きたからです。

2012-06-20 23:56:49
とし @toshihiro36

国谷:当初、高濃度の放射性物質に汚染された米が、とれる可能性が低いと考えられていた農地で、去年秋1キログラムあたり500ベクレルを超える放射性セシウムが収穫された米から検出されたのです。高い濃度の米を収穫した農家の数は38戸。

2012-06-21 00:01:52
とし @toshihiro36

国谷:事故が起きる前まで、日本第4位の収穫量を誇った米作りの一大産地・福島県にとって、この戸数はわずかですけれども。自分のところでも同じようなことが起きるのではないかと懸念する、農家の不安を払拭することが喫緊の課題となりました。

2012-06-21 00:08:17
とし @toshihiro36

国谷:苦境に立たされた産地を積極的に支えようと、去年の秋以降さまざまな分野の研究者たちが分野や大学の壁を越え、共同で原因究明に向けた調査・分析に取り組んでいます。高い濃度が検出された稲のほとんどが山に囲まれた水田、里山という自然が豊かな環境の中で栽培されていました。

2012-06-21 00:12:39
とし @toshihiro36

国谷:目に見えないセシウムは、どこからどのように稲に移行していったのか。研究者の取り組みによって、効果的な対策に欠かせない汚染のメカニズムが次第に解明されてきました。

2012-06-21 00:15:32

VTRが流れます

とし @toshihiro36

<ナレーション> 田植えの季節を迎えた、福島県の北部・二本松市。周囲の山々からもたらされる豊かな栄養分によって、品質の良い米ができる産地として知られてきました。この地域で7代にわたって米を作ってきた専業農家の佐藤久さんは、ことし作付けを断念しました。

2012-06-21 00:21:18
とし @toshihiro36

<ナレーション> 去年、同じ市内で春には安全とされた水田から、その後放射性セシウムが1キロあたり500ベクレルを超える米が見つかりました。なぜそうした事態が起きたのか。その謎が解けていないため、米作りへの不安が募ったといいます。

2012-06-21 00:25:24
とし @toshihiro36

佐藤:やっぱり安全だという担保がないでしょ。だから、どうしても敬遠しがちになっちゃうんだよね。安全でないよっていうか、ちょっと不安があるよね。

2012-06-21 00:28:38
とし @toshihiro36

<ナレーション> 謎の汚染の原因調査を続けてきた福島県。当初、稲の汚染の原因は土壌にあると考えました。通常、汚染された米ができる水田は、砂が多い土壌だとされています。セシウムが(土壌に)吸着しにくく、その分稲に吸収されやすくなるからです。

2012-06-21 00:33:48
とし @toshihiro36

<ナレーション> しかしその後の調査で、春以降突然汚染が出た水田のほとんどが、セシウムを吸着しやすい粘土質であることがわかりました。土壌以外の原因があるのではないか。福島県は調査を続けましたが、突き止められませんでした。

2012-06-21 00:38:30
とし @toshihiro36

福島県・農地除染担当者:高い濃度の放射性セシウムが(秋になって突然)検出された原因を突き止めないと、このままでは対策も立てられない状況になってしまうので…

2012-06-21 00:42:04
とし @toshihiro36

<ナレーション> なぜ、そんな不思議な事態が起きたのか。その謎を解明しようと、東京大学を中心とした研究者チームが発足。植物・土壌・放射線測定など、40人以上の専門家が集結しました。

2012-06-21 00:46:31
とし @toshihiro36

<ナレーション> 里山の水田では、水・風・生き物などによって、1年を通じて四季折々のさまざまな物質が水田にもたらされます。複雑な里山の生態系の中で、セシウムがどこからどうやって稲に多く吸収されたのか。分野を越えた総合的なアプローチで、謎を解明しようというのです。

2012-06-21 00:53:57
とし @toshihiro36

<ナレーション> 農地の物質循環を研究する、塩沢昌さんです。世界各地の土壌のフィールドワークを行っています。塩沢さんがまず着目したのは水でした。水田で1年に使われる水は1000トン以上(10aあたり)。それが春には安全とされた水田に、高い汚染をもたらしたのではないか。

2012-06-21 01:01:06
とし @toshihiro36

<ナレーション> しかし調査の結果、水に含まれるセシウムの濃度は、検出限界の1リットルあたり1ベクレル以下。この値をもとに稲に与える影響を計算したところ、どれだけ高く見積もっても影響は低いと考えました。では水ではないとすれば何なのか。

2012-06-21 01:05:12
とし @toshihiro36

<ナレーション> その問いにヒントをもたらしたのは、植物の成長メカニズムが専門の根本圭介さんです。根本さんは汚染の原因を探るためには、セシウムの吸収が進んだ時期を特定する必要があると考えました。

2012-06-21 01:10:21
とし @toshihiro36

<ナレーション> 高い値が出た1本の稲の葉や茎を、春からの成長の順番に仕分けし、放射性物質の濃度を映し出すことができる特殊な装置にかけます。すると意外なことがわかりました。セシウムの濃度は原発事故直後の春よりも、数か月経った夏に成長した茎や葉・穂の方が3倍にも上ったのです。

2012-06-21 01:15:10
1 ・・ 4 次へ