クローズアップ現代「“里山”汚染メカニズムを解明せよ~福島農業・2年目の模索~」書き起こし・ほぼ完全版 #nhk 

6月20日に放送されたものを文字起こししています。 進行:国谷裕子アナ ゲスト:小山良太(福島大学・准教授)
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とし @toshihiro36

<ナレーション> 水田の中で、夏にいったい何が起こっていたのか。塩沢さんは高い汚染が出た水田を調べるうちに、ひとつの共通点に気づきました。調べた水田のほとんどが山に近く、落ち葉や雑草などが表面を覆いやすい環境だったのです。

2012-06-21 01:23:48
とし @toshihiro36

<ナレーション> 原発事故直後に落ち葉や雑草に降り積もったセシウムが、夏になって稲に影響を与えたのでは。塩沢さんはそう推理し、ある実験を行いました。春から夏にかけての水田の環境を再現し、土に落ち葉や雑草が混じった場合と土だけの場合で、同じ量のセシウムをかけて吸収量を比較しました。

2012-06-21 01:29:02
とし @toshihiro36

<ナレーション> すると塩沢さんの仮設を裏付ける結果が出ました。落ち葉や雑草があるポットでは、そうでない方に比べ2倍ものセシウムが検出されたのです。この実験から塩沢さんが導き出した汚染のメカニズムです。春、原発事故によって水田に降り注いだセシウム。

2012-06-21 01:35:37
とし @toshihiro36

<ナレーション> 土の表面に落ちたセシウムは多くが粘土に吸着され、稲の根からほとんど吸収されませんでした。一方、落ち葉や雑草などの有機物についたセシウムは、水に溶けだすことなく夏になるまでそのままの状態で残っていました。

2012-06-21 01:40:39
とし @toshihiro36

<ナレーション> 夏、水田の気温は上がり有機物の分解が急激に進み、葉や雑草についていたセシウムが流れ出します。その大量のセシウムが稲がいちばん根から養分を吸収する時期に、一気に吸収されたのではないかというのです。

2012-06-21 01:43:57
とし @toshihiro36

根本:夏はいちばん蒸散が盛んで、根からも水を吸って。成長する時期に(セシウムを)吸うのが一番影響が大きい。いろんな形で実験を進めて、このメカニズムをもう少し証明していくようにしなければいけないと思っています。

2012-06-21 01:49:00

スタジオに戻ります

とし @toshihiro36

国谷:今夜は震災後、福島県の農家の支援を続けていらっしゃいます、福島大学・准教授の小山良太さんにお越しいただきました。いったいどのようにして高濃度の放射性セシウムが稲に移行したのか。そのメカニズムの一端が見えてきたわけですけれども。

2012-06-21 07:13:22
とし @toshihiro36

国谷:夏、有機物についていた放射性セシウムが、有機物が分解されたことによって一気に吸い込んだのではないか。この意義をどう見てらっしゃいますか?

2012-06-21 07:16:00
とし @toshihiro36

小山:稲に関しては土だけじゃないだろうと、水の問題があるだろうということは指摘されていたわけですけれども。山からの沢の水にセシウムがストレートに溶けだして入ってきたわけではないと。それだけではないだろうと。

2012-06-21 07:21:43
とし @toshihiro36

小山:むしろ有機物から溶けだしたということであれば、事前に取り除くとか対処の仕方があるという点では朗報かと思います。

2012-06-21 07:23:36
とし @toshihiro36

国谷:全部水に溶けていたものが入っていたのなら、これは対処が難しいですけれども。そうでないとわかったことで対処の仕方も…

2012-06-21 07:26:17
とし @toshihiro36

小山:そうですね。もちろん沢の水にも…山にも有機物はありますから…溶けだす可能性はあるわけですけれども、水自体…すべての水に含まれているということは、どうもなさそうだということが仮説的に。今年は実証が必要だと思いますが。

2012-06-21 07:31:04
とし @toshihiro36

国谷:それにしても、この里山の周辺の田んぼから集中して、高濃度に放射性セシウムに汚染された米が収穫されたということなんですけれども。この里山の対処の難しさを、どう見てらっしゃいますか?

2012-06-21 07:34:50
とし @toshihiro36

小山:基本的に農業は自然の循環の中で行われるわけですけれども、特に中山間地域の里山というのは自然の最前線にあるわけですよね。逆に言うと、自然の豊かな恵みというのを、恩恵を受けて農業ができるということで。あまり科学的な処理をしない自然農法でやっていたりだとか。

2012-06-21 07:46:42
とし @toshihiro36

小山:そういう方も大勢いたわけです。自然とかなり接点を持ちながら農業をやられてた方、そういうところでおいしいお米を作っていた方は、今回放射性物質という化学物質が入ってしまったということで、かなりがっかりされている方も多いということです。

2012-06-21 07:51:25
とし @toshihiro36

国谷:そういうミネラルを取り込みながら、おいしいお米を作っていた。そこの自然の中にセシウムが入ったということで、やっぱり対応は難しいですね。

2012-06-21 07:54:16
とし @toshihiro36

小山:要因も複雑ですし、里山自体も地域ごとに異なるし、里山の中の田んぼの条件もそれぞれ異なります。そことの農家のかかわり、つまり農業の仕方というのも本当に千差万別なんですね。平場の大規模に区画整理されたところと違いますので、そういう意味でも対処の仕方にもより注意が必要になります。

2012-06-21 08:01:55
とし @toshihiro36

国谷:この1年間でより安全な農業ができるように、いろいろ研究されてきました。ここまでで、はっきりわかったことって何ですか?

2012-06-21 08:30:06
とし @toshihiro36

小山:まず一つは、水田農業というのは…世界で初めて水田農業地帯で原子力災害が起こったのが今回の事例です。そのなかで、過去に知見がなかったわけですけれども。たった1年間の間にいろんな研究者の方が、いろんな実験をされて。いくつか仮説の段階のものもありますが、要因が絞られてきたと。

2012-06-21 08:34:40
とし @toshihiro36

小山:水も有機物の関係ではないか。成長(吸収?)する時期も特定できるのではないか。土壌の成分にも原因があるんじゃないか。いくつかに絞られてきたというのは、今後に役に立つと思います。 それから昨年の段階でも、福島県のお米というのは97.5%は基準値を下回っていたわけです。

2012-06-21 08:40:29
とし @toshihiro36

小山:今回、里山っていうのは…2.5%の基準値を超えたところが、そういうところに当てはまると。今回の知見をそういう地域に...どういう条件で基準値を超えてしまうのかというメカニズムと、その地域の条件というのもを合わせていく作業がこれから必要になると思います。

2012-06-21 08:45:15
とし @toshihiro36

国谷:高いところが出るところをだんだん絞り込めるようになって、そこへの対処方法がこうした研究成果の結果を使って生かしていくことになるんでしょうか。梅雨の季節になって懸案の、懸念の夏になっていくわけですけれども。農家は何を気をつければいいのか。

2012-06-21 08:55:18
とし @toshihiro36

国谷:二本松では農家と研究者が共同でプロジェクトを行って、取り組みの対策を練ろうとしています。

2012-06-21 08:55:43