小山薫堂・人を幸せにする企画術 第2回「ポジティブ思考が人生を変える」書き起こし・ほぼ完全版 #nhk

NHK・Eテレ「仕事学のすすめ」で放送されたものを文字起こししています。 トランスレーター:野田稔(明治大学大学院教授)
3
とし @toshihiro36

野田:で芸術学部に進まれて、そこからどういうふうに自分の人生設計というかキャリア設計を?

2012-07-13 17:15:44
とし @toshihiro36

小山:まあ物を書く仕事はしたいなと思いつつ毎日を過ごしていたところに、大学の先輩が「アルバイトがある」と。「ラジオ局のADだ。まあ雑用係だ」と言われまして、そのラジオ局に行き…それが人生のひとつの分岐点だと思うんですね。

2012-07-13 17:19:25
とし @toshihiro36

野田:そのラジオ局の番組プロデューサーの方、恩人だということですけれども。どんなことを学ばれました?

2012-07-13 17:22:03
とし @toshihiro36

小山:まず言われたのが…いきなり「書いてみれば」と言われたんですよ。「僕がですか?」と言ったら、「何かいい感じがするから、書いてみなよ」と。これは今でも聞いたことがないんですけれど、その時に「ギャラを払ってやる」と。

2012-07-13 17:27:54
とし @toshihiro36

野田:いきなりプロとしてのというのも、ハードルが高いですよね。聞いた時どう思われました?

2012-07-13 17:30:20
とし @toshihiro36

小山:いや、僕にとっては「おっ、ラッキー」と…

2012-07-13 17:31:49
とし @toshihiro36

<ナレーション> アルバイトの小山さんに原稿を書かせていたのが、当時ラジオ番組のプロデューサーだった林安二さんです。現在制作会社の社長で、小山さんにラジオ番組の司会を頼んでいます。林さんは当時から他の同世代とは違う雰囲気をもつ小山さんに、一目置いていたといいます。

2012-07-13 17:36:00
とし @toshihiro36

林:既存のものとは違う、未知の可能性みたいなものを探してて。そういった中で、彼の当時の学生とは違う等身大の生き方がすごく興味があって。こういう人たちがどんなことを考えているのか…そんなものが文字になったら嬉しいなと思って。それで最初発注したのがきっかけですね。

2012-07-13 17:41:36
とし @toshihiro36

<ナレーション> この毎週原稿を書くという経験から、小山さんは仕事をする上でのある大切なことを学んだといいます。

2012-07-13 17:43:55
とし @toshihiro36

小山:ただ、何を書こうかと。テーマが何も出ないんですよ、「好きにやってよ」って。だから原稿用紙みたいなものにヘタクソなマンガを描いたこともありますし、今でも明確に覚えているのは「犬日記」というのを書いたんですよ。

2012-07-14 14:21:34
とし @toshihiro36

小山:これは僕が大学に通う途中のある家の軒先に一匹の犬がいて、毎日そこを通るんですよ。最初に通った時は「ワンワン」と吠えられるんですよ。何日後かに吠えなくなって、関心なさそうに見るようになって。途中からこっちに寄ってくるようになって、最後は尻尾を振って寄ってくるようになった。

2012-07-14 14:25:37
とし @toshihiro36

小山:それを日記形式で犬との関わりを書いていって…そして最後はどうだったかな。途中までは本当だったんですけど、オチはたしか創作だったような気がするんですよね。

2012-07-14 14:29:17
とし @toshihiro36

野田:で、その原稿は何かに使われたことはあったんですか?

2012-07-14 14:30:48
とし @toshihiro36

小山:ないです、全くないです。最初から放送に使う気がないですから…大切なのは書きたいから書くのではなく、人から対価をいただいてそれに見合うものを返さなければならないという緊張感の中で作品を作らなければいけないということ。自分自身が満足するものではいけないんだと。

2012-07-14 14:35:21
とし @toshihiro36

小山:ある意味、そこに原点を学んだというか…ものを作るということは自分のためよりも、誰かを喜ばせなければいけないということの始まりだったのかもしれないですね。

2012-07-14 14:38:42
とし @toshihiro36

<ナレーション> 学生時代から放送作家の仕事を始めた小山さん、仕事をする中で失敗体験をします。当時担当していたラジオ番組の企画で、東京・原宿にブランドショップをオープンしました。その店ではオリジナルキャラクターをプリントしたTシャツなどを売りだします。

2012-07-14 14:42:03
とし @toshihiro36

<ナレーション> 店長を任された小山さんは、店を成功させようと意気込んでいました。しかし全くれずにショップは10か月で閉店、大量のの在庫と苦い挫折体験が残りました。しかしこの体験がいま考えると財産になっているという小山さん。失敗から学んだものとは、いったい何だったのでしょうか。

2012-07-14 14:46:00
とし @toshihiro36

野田:ブランドショップを立ち上げようと思ったきっかけから聞かせていただけますか。

2012-07-14 14:47:58
とし @toshihiro36

小山:これは単純でして、僕がラジオのアルバイトをしていた時に、パーソナリティーであった吉田照美さんとCM中とかに雑談をするんです。それで「二人で金儲けしたいよね」という話になりまして、「何かやりましょうよ」という話をしたんです。それで「これからは原宿ですよ」と。

2012-07-14 14:51:48
とし @toshihiro36

野田:へえ、すごいなあ。でもこれ(Tシャツ)、なかなかカワイイですよね。

2012-07-14 14:56:03
とし @toshihiro36

小山:ただ今では本当に考えられないんですが、お店の名前が「バナナトリップ」という名前でして…その時の僕の考えた企画がいろんな人にバナナの絵を描いてもらい、それをTシャツにして売ろうという企画を考えたんです。大学生が考えそうな企画ではありますが(笑)。

2012-07-14 15:00:26
とし @toshihiro36

野田:で、どうなりました?

2012-07-14 15:00:58
とし @toshihiro36

小山:10か月で潰れました。一番売れたのは開店当日。本人・吉田照美さんがやってきてラジオでも宣伝し、竹下通りでビラ配りをやった時はすごい盛況で…なんて人が来るんだ。このままいける、これで僕はお金持ちになれると思ってました。

2012-07-14 15:04:40
とし @toshihiro36

小山:ところが1カ月後には、なんでこんなに人がたくさん歩いているのに、うちの店には人が入ってこないんだと。そのうちに売り上げがゼロという日が出はじめまして。

2012-07-14 15:06:42