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解雇規制の緩和で雇用は立ち直るのか?

解雇規制の緩和によって労働市場を流動化することによって、雇用は量・質とともに改善するという議論を頻繁に聞くようになりました。しかし、解雇規制の緩和は本当に雇用を立て直してくれるのでしょうか?労働法学者の@theophil21さんが解雇規制の現状の解説とともに雇用規制の誤解について語ったツイートをまとめました。昨今のブラック企業問題を考えるうえでも参考になると思います。
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theophil21 @theophil21
解雇規制の誤解(1)相も変わらず「日本は解雇規制が厳しい。これを緩和しなければ雇用は改善されない」という何とかの一つ覚えの主張が垂れ流されている。しかし、日本の法制度は、厳しい解雇規制などしていないし、実態も解雇が厳しいために雇用が制約されているなどという具体的事実はない。
theophil21 @theophil21
解雇規制の誤解(2)「解雇規制を緩和しろ」という論者には立証責任があるので問いただしたい。第一に、いったい日本の法制度のどこに「厳しい解雇規制」があるのか、具体的に明確に示してほしい。第二に、「解雇規制があるので解雇できず困っている」という具体的な実例を、ぜひ示してほしい。
theophil21 @theophil21
解雇規制の誤解(3)日本の法制度には、正当な理由がなければ解雇はできないとか、解雇をするには役所に届け出が必要だとかいったルールは全くない。あるのは、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当性が認められない解雇は権利の濫用となる、という抽象的規定だけである(労契法16条)
theophil21 @theophil21
解雇規制の誤解(4)たとえば、無断欠勤ばかりで出てくれば暴力沙汰を起こして仕事は全くできない、という労働者を解雇するのに、日本の法制度に障害となる規定はない。まず、法制度において解雇規制が厳しいなどということはない。では実態はどうか。
theophil21 @theophil21
解雇規制の誤解(5)解雇規制緩和をとなえる主張をさんざん見てきたが、具体的実例を挙げて「かくも解雇規制は雇用を妨げている」と指摘するものは皆無である。これに対して、「やらずぼったくりのトンデモ解雇」なら、何千件でも実例があがる。一例として濱口桂一郎先生の「日本の雇用終了」参照。
theophil21 @theophil21
解雇規制の誤解(6)公平の為に指摘しておくが、裁判所は確かに解雇に対して比較的厳しい態度をとっている。解雇権濫用法理の内実は、一般的な権利濫用法理とは似て非なるものであることは周知のとおり。しかし、裁判所は解雇を厳しくするルールをことさらに作ってはいない
theophil21 @theophil21
解雇規制の誤解(⑦)裁判例をみると、実は企業自身が、自ら解雇を自制することを労働者に約束していたとみなされる場合に、実際になされた解雇を「それは労働者に対する裏切り」として無効としているというのが通例である。ではなぜ日本の企業は解雇を自制してきたか。
theophil21 @theophil21
解雇規制の誤解(8)日本の企業は、「雇用保障」と引き換えに他の先進諸国ではみられないような「強大な人事権」を取得してきた。わかりやすく言えば「めったなことであなたをくびにはしません。だから、会社に絶対服従してください」という取引を企業側から提示し、それが社会的慣行となったのだ。
theophil21 @theophil21
解雇規制の誤解(9)したがって今までも、雇用保障も強大な人事権の下への服従も内容としない労働契約においては、裁判所も解雇を自由に認めていた。「担当すべき仕事だけきちんとやってください。過酷な残業も家族を引き離す転勤も一方的に命じたりしません。」というドライな労働関係がその例だ。
theophil21 @theophil21
解雇規制の誤解(10)日本の企業社会は、そうしたドライな雇用慣行を自ら拒否し、雇用保障を労働者に与えることで会社の為に身を奉げるロイヤリティーを獲得してきた。したがって、解雇をもっとしたいなら、労働者へのロイヤリティーの要請もやめることだ
theophil21 @theophil21
解雇規制の誤解(11)私見では、日本の労働市場がもっと活性化し、転職市場が充実して、「解雇されてもすぐ転職できて転職先の方が待遇がよかった」という可能性も十分にあるような状況(アメリカでは珍しくない)ができるなら、雇用保障と強大な人事権の取引などやめたほうがよい。
theophil21 @theophil21
解雇規制の誤解(12)労働者の側も、自分を解雇しようとする企業など、後足で砂をかけてこっちから辞めてやる、と言える状況になるほうが望ましい。企業もそれを望むなら、まずは企業から、ドライな個別労働契約の慣行、職務給の徹底、雇用平等の実現などを通して労働市場の活性化をはかることだ。
theophil21 @theophil21
解雇規制の誤解(13)日本の労働市場が硬直的であることは確かである。それを改善するのは、ありもしない解雇規制の緩和などではない。まずは企業自身が、労働関係をめぐる自己改革をとげること、そして政府は、雇用平等法制の徹底と非雇用就労の拡大のための制度整備に本格的に取り組むことである。
theophil21 @theophil21
解雇規制の誤解(14)そして、濱口先生が指摘するように、日本においても非正規労働者など縁辺的な労働力として扱われてきた労働者については、雇用保障と強大な人事権という慣行自体が希薄であった。そこでは昔も今も、レッセフェールの状態における解雇が日常的に行われているのである。
theophil21 @theophil21
解雇規制の誤解(15)最後に確認したい。現在の日本の労働市場において「解雇規制の緩和」を主張するのは、事実認識として単純に誤りであり、実態の評価として全く的外れであり、政策的主張としておよそ説得力がない。この主張が現実味を帯びるような労働市場の形成から検討し直すことを勧めたい。

コメント

UKB0927 @ukb0927 2012年7月21日
「雇用の流動化のために解雇規制」というのは労働関係のトピックでしばしば出るが、見るたび思う。「そもそも誰が何のために流動化を望んでいるのか」ということと、「流動化を達成するなら解雇という出口ではなく、採用数の拡大や同業他社よりも待遇を上げるといった入り口の強化を行なうべきでは」ということを。
うんこちんちん @Unko_Chin_Chin_ 2012年7月21日
職安をはじめとした雇用関係者のイカれた社会通念を「制度」として認識してるアホがいるらしい。
テリ基地 @TerryATtwitte 2012年7月22日
雇用の流動化とは言うけれど、それって短期間の利益しか見えてない株主主義的な経営者の都合でしょう?解雇規制をしても結局不況で雇用枠が狭いんだから意味が無い。とは言えどこうも国がデフレを放置してるので経営者の気持ちも解らなくもないけど・・・
赤木智弘@真実の赤(白) @T_akagi 2012年7月22日
この人は、解雇整理の4要素を知らないのかしら?
赤木智弘@真実の赤(白) @T_akagi 2012年7月22日
あと、解雇規制を緩和すれば、雇用は量・質とともに改善する。なんて言っているのは誰?
赤木智弘@真実の赤(白) @T_akagi 2012年7月22日
あと、労働者に対するロイヤリティ要請を是としてきたのは、企業もそうだけど、正社員の側もそうだよね。そうやって一見、理不尽な労働に身をおくことで、安定した給料と自尊心を獲得してきた。その指摘がない。
赤木智弘@真実の赤(白) @T_akagi 2012年7月22日
で、結局最後まで読んで、この人が言っていることと、解雇規制の緩和って、同じ事だとしか思えないんだけど。
赤木智弘@真実の赤(白) @T_akagi 2012年7月22日
解雇規制の緩和が必要なのは、もはや全ての日本人に行き渡らない希少な資源である「賃労働」を平等に分配し、身分によって生じる格差を解消し、国民の労働スキルをある程度、一定に保つため。
赤木智弘@真実の赤(白) @T_akagi 2012年7月22日
社会全体の効率化によって、労働はどんどん減っていくんだから、雇用が拡大したり、待遇が向上するということはありえない。雇用人数は減るし、仕事は高度化していく。
Ikunao Sugiyama @Dursan 2012年7月22日
「解雇整理の4要素」なんて中小じゃ「なにそれ」ですよ。解雇された方も争うより職を探したほうが効率がいいのでほとんど争うことなんて無いですし。これだけは言いたいので言いっぱなしますが
赤木智弘@真実の赤(白) @T_akagi 2012年7月22日
ならば、そのことを前提に、賃労働によって分配されていたお金や、自尊心をどのように国民に再分配していくかが、今後の社会制度において最重要なわけだ。その視点を欠いた労働問題には何の意味もない。
Ikunao Sugiyama @Dursan 2012年7月22日
「解雇規制の撤廃」にて解決するだろうと言われてるのは多分「失業率」だけですね。まあ、低く広く均す効果の方が強いでしょうが。
赤木智弘@真実の赤(白) @T_akagi 2012年7月22日
でた!「中小じゃそんなこと関係がない」論。海老原嗣生メソッドwww
赤木智弘@真実の赤(白) @T_akagi 2012年7月22日
解雇規制の撤廃によって、失業率だけでも改善するならやるべきですね。どうせ中小では解雇規制に意味がないというなら、解雇規制の緩和に異論はないはずでは?
赤木智弘@真実の赤(白) @T_akagi 2012年7月22日
もし解雇規制の緩和に反対したいなら、緩和に伴い発生する「問題点」を提示するべきであって、「やっても意味が無い」「中小には関係ない」なら別に緩和してもいいじゃんということにしかならないのだけど。
Ishigure Kagero @fahtharo 2012年7月22日
「整理解雇の四要件」って言葉に瞬間反応で「中小企業」とか言うがいるけど、上場企業ではこの四要件は正社員に対してしっかり機能しているはずよね。あのリーマンショック前後の大手企業による「派遣切り」を忘れちゃったのかしら?
赤木智弘@真実の赤(白) @T_akagi 2012年7月22日
あ、自分も少し前に「何の意味もない」という批判をしてしまっていました。「再分配の視点を欠いた労働問題の提唱は、本来の問題解決をいたずらに長引かせる結果となる」に訂正します。
AQN@ヮ<)ノ◆ @aqn_ 2012年7月22日
「無断欠勤ばかりで出てくれば暴力沙汰を起こして仕事は全くできない、という労働者を解雇するのに、日本の法制度に障害となる規定はない」って言ってるけど、そんなことは「日本の解雇規制は厳しい」って言ってる人たちにとっても百も承知のことだと思うんですけどね。「無能だというだけでは解雇できない」という話はよく聞くけど。
Ikunao Sugiyama @Dursan 2012年7月22日
解雇規制撤廃論者が失業率が改善すると「言ってる」とは言いましたが、私自身はあまりそうは思ってません。均したとして総体が小さくなって縮小するデメリットのが大きいと思っとります、個人的には。
Ikunao Sugiyama @Dursan 2012年7月22日
言葉を変えてもう一度言いますけど、デメリットとしては失業率はあまり改善しないのに、被雇用者に支払われる給料の総額が減ってしまう可能性のほうが高い。と云う点です。
UKB0927 @ukb0927 2012年7月22日
T_akagi 「解雇して開いた枠にそれまで失業していた人がやってくる」というのが無ければ、格差の解消やスキルの保持はありません。それに解雇規制の緩和とは「解雇してもいい権利」であって「解雇しなければならない義務」ではありませんから、エース級・レギュラー級の人材は入れ替わりが起きず、均等化が起きるはずがありません。あと、こういった政策は後で失敗だと分かっても失業者を元の職場に戻してリセットするというわけにはいきませんから「別に緩和してもいい」というのは危険です。
Ikunao Sugiyama @Dursan 2012年7月22日
まあ、約62%が従業員50人未満の企業の従業員な訳で、といってみたものの。思ったより割合が低くて困ったでござる。
生島 勘富 @kantomi 2012年7月22日
解雇規制というのは、法的には大したことは書いてないけれど、裁判所と労組の共同作業でできた。 正社員という特権階級の利権を剥奪しなければ若者に仕事が回らない。
生島 勘富 @kantomi 2012年7月22日
解雇規制がなくなれば、正社員も採用しやすくなり、枠も開けやすい(空きやすい) 正社員の立場になれば、今より思い切って辞め易くもなる。 出来の悪い、会社にしがみつくスキルしかない人には都合が悪いけれど……。
Ikunao Sugiyama @Dursan 2012年7月22日
世の中、勘富さんみたく優しい経営者ばっかりちゃいますよ。
生島 勘富 @kantomi 2012年7月22日
Dursan 優しくはないけどね(苦笑) 解雇規制がなくなって辞めやすくなるということは「優しくない経営者を切る権利」を新たに得るということです。 鎖自慢をする奴隷になるべきじゃありません。
七海@路上喫煙許さないウーマン @nanamiutena 2018年2月24日
毎度毎度こういう話を見ていて思うんですが、仮に本当に解雇規制が強いとして、それと「採用されやすくなる」事には何ら論理的因果関係はないですよ。
七海@路上喫煙許さないウーマン @nanamiutena 2018年2月24日
企業が人を増やす方向で行けば解雇規制が強いままでも雇われやすくなるし、人を減らす方向で行けば解雇規制を緩和しても雇われにくいまま。 解雇規制の緩和=採用されやすくなる、という理屈は、企業が常に同一の社員数を維持しなければならないという前提に立たなければ成り立たないのですが、実際にはそれまで社員がやっていた仕事を派遣に置き換えたり人の数自体を減らしたりしているのでその公式は成り立たなくなっている。
nekosencho @Neko_Sencho 2018年2月24日
簡単に解雇できるようになれば、当然ローンの金利も上がるぜ(失業しやすい=支払えなくなるリスクが高い→それをおぎなうために利率が上がる、審査が厳しくなる)
nekosencho @Neko_Sencho 2018年2月24日
家や車などの高価な買い物しづらくなるだろうし、結婚なども収入の安定という面では難しくなるね。
nekosencho @Neko_Sencho 2018年2月24日
過去に行われた改革、たとえば年功序列の撤廃が若い人でもがっぽり稼げるみたいに宣伝されて実は年長者の給料削っただけとか、成果による報酬ってのが、がんばった人は稼げるみたいに言われてて実はそれほどでなかった人の給料下がっただけとか、うまい話で釣って結局給料や待遇下げってのが多かったよね。
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