#僕の廃墟体験記 2(ゾンビサバイバル、体験記風まとめ。)

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@n_kano_mywords

「かもしれませんねえ。」向こうを向いてとぼけた声で言う青年。大きな尻尾がふわりとなびいた。僕は今まで僕ですら向き合うことから目を逸らしていたような、個人的な女々しい心理に対して、青年が真摯に取り合ってくれていたことに対して、嬉し…いよりその何十倍も恥ずかしかった。#僕の廃墟体験記

2012-08-01 20:06:04
@n_kano_mywords

まあまあ、気にしなさんなとでもいうように青年は軽食パンを僕にすすめた。大きなソーセージが間に挟まっている揚げパンで…これも、美味しかった。ここしばらく、ろくなものを食べていないのを思い出した。僕は食べるのに夢中になった。先の羞恥心など、食物の前では消え失せていた。#僕の廃墟体験記

2012-08-01 20:12:02
@n_kano_mywords

そういえば、と、青年が口を開く。「僕は、猫さんを明日にでも埋葬しに、ここを離れるので、明日朝にはここから出立したほうがよいでしょう。」唐突な話だったので少し驚いた。僕は、その拍子にコーヒーを少しこぼしかけた。 #僕の廃墟体験記

2012-08-01 20:21:57
@n_kano_mywords

青年が何事なしにふき取って、続ける。「僕が居なくなれば、ここは留守になり、外の廃墟と同じような空気の流れが入ってきます。そうすると、ここは人気がないので逆に危険になるでしょうね。」僕は、青年が一瞬そばを離れた時のことを思い出した。あの時急に空気が殺伐としたことを。#僕の廃墟体験記

2012-08-01 20:25:13
@n_kano_mywords

僕はなんだか少し名残惜しい気もしたが、青年の言うように、明日の朝にここを出立することに決めた。さっき、外でゾンビサバイバルをしていたことは実はただの悪夢だったんじゃないかと勘繰ったが、やっぱり夢はこっちのほうだったのかもしれない…。 #僕の廃墟体験記

2012-08-01 20:27:53
@n_kano_mywords

「どっちも夢じゃないですよ。」後ろから青年の声がかかる。その時僕は、バックパックの整理をしていた。声に応じて振り向くと、青年が、小さな赤い物―銀の刺繍で縁取られた―を手に持っていた。それはお守りのようだった。「夢じゃない、ですから。」青年が、確かめるようにいった。#僕の廃墟体験記

2012-08-01 20:31:18
@n_kano_mywords

僕がきょとんとしていると、そのお守りを彼は僕の目もとにちらつかせ、「旅路への、支えになればと思って。」そうして、僕の鞄の空いていたポケットに突っ込んだ。僕は余りそういう宗教的なものは信じない方だけれど、神社を守る妖狐さんから直々にもらえたらそりゃ素直にうれしい。#僕の廃墟体験記

2012-08-01 20:38:29
@n_kano_mywords

「ええ、それはそうでしょう。」青年がやはり僕の心を読み取ったかのように言う。「これ、あなたの「欲しい物」を物体化してみたんですよ。」いたずらっぽく笑う青年。 …とたんに僕はまた、ものすごく恥ずかしくなった。その時の顔は、きっと鳥居顔負けの赤さだったんだろうなあ…。#僕の廃墟体験記

2012-08-01 20:41:54
@n_kano_mywords

その晩僕は、久々に車の助手席、リクライニングシートでぐっすり眠った。来る明日は不安だったが、死にたいとか消え去りたいという気持ちはもう、なくなっていた。≪六日目終了≫ HP87 食糧91 アイテム:治療薬、お守り(時刻で効果が変わる【アクシデント】で好きな効果を選べる。使い捨て)

2012-08-01 20:48:59

最後の方で出てきた青年は、 コンビニたそがれ堂 (村山早紀先生 @nekoko24 著) の風早三郎さんのちゃっかり二次創作でした。ありがとうございました。

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