小山薫堂・人を幸せにする企画術 第3回「出会いを仕事につなげる方法」 書き起こし・ほぼ完全版 #nhk
- toshihiro36
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冒頭のVTR
<ナレーション> 「仕事学のすすめ」今月は放送作家・脚本家の小山薫堂さんです。料理の鉄人など斬新なテレビ番組の企画で、若くして注目を浴びた小山さん。脚本を手掛けた映画「おくりびと」ではアカデミー賞外国語映画賞を受賞しました。
2012-07-21 10:30:42<ナレーション> 首都高の交通安全キャンペーンや、ふるさと熊本の観光キャンペーンも大きな話題を呼びました。近年は飲食店の経営にも乗り出した小山さん。東京・六本木の一等地にある物件を独特なコンセプトのカフェに生まれ変わらせました。
2012-07-21 10:32:41<ナレーション> さらには創業139年の老舗ホテルの顧問も務めています。しかもすべてが特定の人との偶然の出会いからスタートしたというのです。偶然の出会いがどう仕事に発展したのか。第3回は小山流コミュミケーション術に迫ります。
2012-07-21 10:37:01ここから本編です
<ナレーション> タクシー内の何気ない会話は、仕事のヒントの宝庫だといいます。この日のドライバーは降りる少し手前でメーターを止めてくれました。
2012-07-21 10:46:20野田:タクシーに乗る時って、疲れてて黙りたい時もあると思うんですけれども。タクシーの運転手さんに話かるっていうのは、なぜなんですか?
2012-07-21 10:48:22小山:ひとつは…その人の人生に自分の足跡を残したいというのがひとつですよね、大げさに言うと。それはどういうことかというと、新人の運転手さんが道に迷ってる時に…まさにこの会社まで運転してもらった時なんですけど、「大変ですね」と。「いま必死にここまで来たでしょう」と。
2012-07-21 10:53:25小山:だから「僕、ここでコーヒーとパンを売ってるので、慣れて余裕ができた時にもう一回ここにコーヒーとパンを食べに来てください」と。「そのためにチケットをあげますから」と言って、即興で名刺に「この券をお持ちいただいた方は…」と書いて自分のサインをして。
2012-07-21 10:57:27小山:「これをウチの社員に渡してくれたらタダになります」と言って、名刺を渡しちゃうんですよ。一番すんなり入れるのは食べ物の話で、特に今までの経験だと東京の車だと「運転手さん、おいしいラーメンどこですか?」と聞くことが多いですよね。
2012-07-21 11:02:16小山:聞きたいじゃないですか、それは。それで運転手さんに「何を食べることが多いんですか?」って聞いたら、「私、パンを食べることが多いんです」って言われたんですよ。それで「どこですか?」って聞いたら、江東区にあるあるパン屋さんという話で。
2012-07-21 11:08:08小山:「工場なんですけど、そこで売ってるんですよ」って。「じゃあ、そこに連れてってくださいよ」って言って連れてってもらって、パンを食べたことがありますね。おいしかったです。それからしばらくは、そのお店は仕事のネタになりましたね。情報になりましたね。
2012-07-21 11:11:03小山:もうひとつは単純に好奇心からですね。タクシーの運転手さんは一日に何十人もの人生とすれ違うわけじゃないですか。いろんなドラマをもっている人がやっぱりいるんですよね。以前大阪で乗った運転手さんのお話が本当に面白くて。
2012-07-21 11:15:34小山:イケちゃんと今でも呼んでまして、乗ってきたのがオカマちゃんだったらしいんですよ。オカマちゃんが乗ってきた時に、ボタンを押すんですって。男のボタンと女のボタンがあって、メーターのところにあって…男性客が乗ったら男性客1、二人なら男性客2とか押すらしいんですけど。
2012-07-21 11:20:05小山:その時にオカマちゃんだったんだけど、女性を押してあげたらしいんです。そしたらその人がいきなり泣き出して、「うれしい」て言って。「今までタクシーに乗るたびに男を押されて、それがコンプレックスだったんだ」と。
2012-07-21 11:22:52小山:「女を押してくれて、ありがとう」って…これは何かドラマになるなと。アイデアになるために聞くわけじゃないんですけど、好奇心からそういう会話をすると...何か得られるものが必ずあると思うんですよね。
2012-07-21 11:25:37